アビス大迷宮・5

俺は探知魔法で魔物の位置を次々に把握し、ほぼ即死と言える魔法、【死壊滅呪デストブレイク】を発動。

魔力が底を尽きる? 何それおいしいの?


「…………」

俺がやっていることを唖然と見るコウセイ。


苦労して倒していた魔物が、こんなにもあっさりと倒されていたら、ねぇ……


そんなことはさておき、最深淵近層への入口が近くなってきた。

入口付近に何人かの魔力反応があることに気づいた。


……リホ達か?

何をしているかは、近づくにつれ何となくだが分かってきた。


暫く歩いていると、重々しい巨大な扉があった。扉の前にはリホ達がいる。

予想通り、扉の解析をしているようだ。

「鑑定なら俺やるよ。」

「助かる。後は任せたのじゃ」

そう言ってリホは欠伸をした。

「了解。」

そう言って、俺は扉の鑑定に取り掛かった。


数時間後、鑑定結果が出た。


鑑定結果

最深淵近層への入り口

材質:聖星白創鉱クハクルム

硬度:魔伝導性鉱物オリハルコン緋緋色金ヒヒイロカネよりも遥かに硬い。

付与魔法:【絶対閉鎖】……魔物を絶対に通さない超強力な付与魔法。並大抵の魔力では付与出来ない。


なにこの扉。

とんでもない鑑定結果だ。

聖星白創鉱クハクルムって何? 初めて聞いた鉱石なんだけど。しかも硬度が訳分からんくらい高いな。

聖星白創鉱クハクルムを鑑定してみれば、創造鉱石――創造鉱石とは、自然に生まれた鉱石ではなく、創造魔法などで創られた鉱石のことだ――だった。

俺にも創れたりしないかな……

やっぱり創ることは無理か? ま、後で考えよう。


「鑑定、終わったぞ。」

そう言って、いつの間にか寝ていたリホに声を掛けた。

「うむ……どうじゃった………?」

今にも二度寝しそうなくらい眠そうな声で訊かれる。

「超凄かった。」

「もう少し分かりやすく説明してくれんかのう…」

そう言われてしまったので、先程出た鑑定結果を紙に写して、リホに渡した。

「創造鉱石が精霊鉱スピリスト以外にあったとはのう。」


「あの――…精霊鉱スピリストって何ですか?」

先程から空気になっていた皆さんの内、コウセイが声を挙げる。

リホに説明を促す。

精霊鉱スピリストは霊力をよく通す鉱石じゃ。それを核として精霊魔法を放つこともできるのじゃ。」

説明をしながら手を動かすリホ。

「なんかよく分からないけど凄いな」

『ね。』

しれっと会話に入っているエンをスルーして、リホは言った。

「そろそろ扉が開く。寝るなよ」

その言葉を聞いて、この場にいる全員が思った。

『いや、寝ていた張本人には言われたくないわ。』

と。


それから十数秒後。

ギィィィィ………

と音を立てて扉がゆっくりと開いた。

扉の向こうからは物凄い圧を感じる。最深淵近層を嘗めんなってことか………?

まあいい。


こうして俺達は最深淵近層へ、足を踏み入れたのだった。

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