仲間探し、一旦中断。

賑やかな王都はもはや戦場だ。うわ……別の意味で賑やか。


そんなことを考えていたら、ゴウッ!!と炎が燃え盛る音が聞こえた。

後ろを振り返ってみたら、火柱が立っている。


うん、これはルークがやったことだ。

ってことは、なるほど。ルークは近くにいるのか。

よし、行こう。


「ちょっとお前らはここで待っておいてくれ。」

そう言って火柱の方へと走る。


『ボク達が来た意味……』

去り際にエンに言われる。


すまん。けど、知らない人がいたらルークも混乱するだろう?

というのは建前で、ただ単に経験値が欲しいという理由だ。

この世界の経験値システムは、出会ってから討伐するまでの時間が短かったり、討伐に参加した人数が少なければ少ないほど、ごく僅かだが経験値が増えるのだ。


張り切っていこーう!



◇■◇


Sideルークストリア



――キン

剣が弾かれる。


くッ リリノを呼んだ方が良いのか!?


戦いながらも考える。

答えはすぐに出た。


『聞こえるか!? リリノ! 大変だ! 王都に大厄災級の魔物が現れている 俺だけで敵片付けることは出来なさそうだ 手伝ってくれ!』


リリノに【思念伝達ユーリス】を送る。


戦いながらだったので、中途半端な魔法になってしまう。


――余裕がない。




『わかった。今すぐ行く。』


プツ……と【思念伝達ユーリス】が切れる。


後は時間を稼ぐだけか。

――最高で1分くらい稼げるかな。リリノは転移魔法を使えるし大丈夫だろう。


戦いながらも探知魔法を使う。

近くに複数の魔力反応がある。

4人か。



《――壱ノ型 火炎柱》 

ゴウッ!!


一刻も早く来てもらうために目印として火柱を。



タタタタ……!


誰かの足音が聞こえる。


これは――1人か。


「よう、ルーク。助けに来てやったよー」

上から目線で言ってきた事にムカつくが、今はそれどころではない。


「助かった、リリノ。……後は任せた。」



◇■◇



「任された。」

俺がそう返したら、ルークが後退した。


さて、この魔物(?)は見たことがないな。

剣が核の魔物。

初めて見るので一応鑑定しておこう。


―――――――――――――――――――――


創世之神剣ソウ(状態異常:暴走バーサク


創世の時代に神が創った剣。


―――――――――――――――――――――


おう、マジか。

ソウは俺のパーティー仲間だ。

そうと判れば早速、状態異常無効の魔法をソウに使う。


そしたら、肉体の部分が消滅し、先程は見えなかった神剣が顕になる。


「はっ……」

剣から声が聞こえる。


「たしか、奇襲されて……暴走魔法をかけられて…… 無念……」


「おい、奇襲ごときで遅れを取るな。」

「うわっ…… び、ビックリした…… 仕方がないだろ、いきなり後ろに転移されたんだからさ……」

ふーん。

「魔力の流れを見たら良いんじゃないか?」


「な、何が起こった………?」

展開に追いついていけないルーク。


「む、ソウじゃったか。暴走魔法を掛けられるとはのう。とんだ腑抜けじゃの。」

放ったらかしにしていた4人が来たようだ。

『ノアの幸運のステの∞は侮れないねww』

おい、笑うな。

「大厄災級の魔物ってソウだったんスか!?」

「すまん……」

ソウは俯き、謝る。



「話が変わるんだけど、俺等のパーティーメンバーはあと一人だ。」

『そのへんをブラブラ歩いてたら見つかるんじゃないの?』

エンが言う。が、

「いや、あいつには幸運ステなんて効くわけないな。しかも、神出鬼没だ。」

『えっ』

「えっ」

「えっ」

全員が一斉に呆けた顔になる。


「ってことで、サナルアに訊くことにするわ。」

「ふむ。それは良いと思うんじゃが、何故探知魔法を使わないのじゃ?」

リホは首を傾げる。


「あ―――… (説明するのが)面倒くさいから、【全体星地図オールマップ】を可視化する。だから、それを見てくれ。」

全体星地図オールマップ】発動。――可視化ver.


そう唱えたら、空中に画面が現れる。

その画面には、地球儀みたいなこの世界の球型地図が映る。

これは、世界地図だ。

2つめの画面が出てきてそれに「インストール中」と書かれていた。

しばらくすると、「インストール完了。 インストール内容:【万物探知オールサーチ】との連動」という文字に変わった。

やがて、2つめの画面は消え、球型地図が目に映る。

これは検索機能付きなので、もう一人のメンバーの名前を入力する。

―――検索。


………

……


―――検索結果、該当者なし。



「ね?」

リホに向かって言う。


「なるほどのう」

「そういうことですか」

「……?」

《なるほど☆》

「えっ」

『ふーん』

「えっ」


「もしかして……分かってないの、俺だけっスか?」

「わからないお主に説明してやろう。奴は今、ヴィラントこの世界にはいないのじゃ」

「えっ? って、ことは……」


「奴は簡単に空間を行き来することができるのじゃ」

「俺でもかなりきつい事だよ♪」


「ど、どんだけ魔力あるんスか!? そいつは―――――!?!?!?!?!?!?!?」

テイルの叫び声が響き渡る。





「ねぇ、俺のこと忘れてない?」

ルークだ。


「い、いや、忘れてない、よ?」

振り向いて返事をする。


「本当に?」

疑うような目で見てくる。


「あ、ああ。」


「ま、どうでも良いんだけどね」

「おい。どうでも良いのなら訊くな」

「……わかった。」


「じゃ、俺はサナルアに話を聞きに行くから。皆持場に戻ってねー。集合は明日の朝、さっきの山で! じゃね!」

俺はそう言い残してこの場を去った。




改めて思う。

転移魔法って便利。

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