Side:王太子ルークストリア
『バレた? そうだよ、リリノは偽名だ。けど、名前なんてどうだっていいよ。俺には――…本名が3つもあるんだから……』
さっきリリノが言った事がすごく気になる。
本名が3つ?
一体どういうことだ?
もしかして……
いや、流石にリリノでも……ううん…。
でも、ああ――…う―ん?
ま、そのうち教えてくれるだろう。
……多分。
「どうした、リリノ。」
「………。」
無言だ。
「何か具合が悪いのか?」
「ちょっと話があるんだ。二人とも、ちょっと来てくれるかな。」
リリノが笑顔を浮かべて言う。
「え………?」
ん? どゆこと?
「いいですよ。」
あれー? ヴィオ、いいの?
「じゃ、一旦、人気がないところに行こうか。」
そう言ってリリノは歩き出す。
「「………?」」
何故に?
わざわざ人気のないところに行く必要あるか?
しばらく歩いていたら、人がいない裏路地に着いた。
「大丈夫なの? ここ。いかにも治安悪そうなところだけど……」
一応聞く。おそらく誰もいないだろう。
「おいルーク、俺の実力分かってて言っただろ。…ここは俺達以外誰もいない。」
「何をするんですか?」
「あのさぁ、ウィルもすること分かってて言ってるよね?」
リリノが呆れ顔で返してくる。
「はい。粗方本名が3つあることについて詳しく話すと思いまして。間違ってたら失礼なので、一応確認しました。」
「こえーよ。ヴィオル…いや、ウィルか。」
「「………え?」」
は? え? ???
「あ、ちょ、ここで騒がれたら嫌だし、ちょっと俺の家に転移させてもらうね。」
リリノが指先を鳴らす。それと同時に視界変わる。
「あ、ちょっと待って。」
そう言ってもう一度指を鳴らす。
「「………。」」
「あれ、どうしたの?
「―――まさか……私の本名を知ってるとは思いもしなかったよ……
知っているとは思うかも知れませんが、改めて自己紹介しましょう。私はヴィオル・フォン・ウィルスラントと言います。宜しくお願いしますね。」
「よろしくねー ……あれ、王太子サマは自己紹介しないの?」
「いや、そのことも知ってんのかよ…
じゃ、改めて――俺はこの国、カルティリュット王国の王太子、ルークストリア・リィ・カルティリュットだ。よろしく頼む。」
「はい、よろしくねー 俺はノアル・セル・リーラント。よろしく」
リリノはマクストナリア家の遠い親戚であるそうだ。
「この事は内密にしてくれると助かるな」
………
……
…
「――何か反応しろよ!」
「すまん、驚きすぎて腰が抜けてた。」
「私の予想は少し外れましたが、大方はあってましたね。ですが、マクストナリア家の親戚の方が何故ここに……?」
「そんなことはどうでもいいよ。ところでお前等、早く帰った方がいいんじゃないか?」
「「あ。(そうですね。)」」
その後、リリノ俺達を転移魔法で王城の近くに送り届けてくれた。
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