前日譚:次期ウィルスラント公爵家当主・ヴィオル
家に帰った後はすぐに寝た。
布団はあったかいから好きだ。
俺は一日中布団から出たくない。というわけにもいかず、仕方がないので【暖房結界】という魔法を使った。ちなみに夏は【冷房結界】という魔法を使う。
魔法が地球にあったらよかったね。これで地球温暖化問題も改善されるんじゃないかな。一瞬そう思ったが、現実は甘くない。
地球の話から一旦離脱して。
さて、前日譚、どうしよっか?
あと、放心状態の王太子をギルドに置いて来たけど大丈夫だろうか。ま、いっか。
とりあえず、ヴィオルの前日譚の情報を整理しよう。
ウィルスラント公爵家の子息であるヴィオルは幼馴染の王太子、ルークストリアに誘われ冒険者ギルドにやってきた。
ここで1つ、隠し要素がある。
が、それはこの後の行動によって変わるのだ。
だが、隠し要素の内容は、俺には関係無いので説明しないしないでおこう。
冒険者ギルドにやってきた、からの続きの話だ。
ヴィオルはルークストリアと同様に、Aランク昇格試験を受ける。
受かる。
冒険者として活動を始める。
以上だ。
あまり作り込まれていない。
何せ、これは前日譚だからな。
本編は――いや、ネタバレは嫌だろうから言わないほうがいいかもね。
前日譚の日が変わるかもしれないな。
いくら王太子と言ってもまだまだ子供だ。……あの放心状態では通常運転は難しそうだ。
あくまで通常運転が難しいだけだ。全く動けないとは言ってはいない。
たまにボーっとする程度だと思うね。
あの王太子のことだ。2、3日くらい経てば完全復活するだろう。
わざわざ記憶を消す必要もないかな。
そのうち慣れてくれる……筈だ。
そうそう、俺は一応悪役令嬢だけど、破滅フラグとかを考える必要ねーんだよな。
え、理由?
1つ目は、単純に俺が強いから。
2つ目は、この乙女ゲー、青薔薇ノ学園は何でもありだから、だな。
面倒クサイカラ説明ナンテシナイヨ?
前日譚は、主な攻略対象……
例えば
王太子ルークストリア、
次期公爵家当主ヴィオル
とかね。
本編を楽しみにしておいてくれ。
乙女ゲーのシナリオ?
シナリオなんてどうだっていい。
俺はシナリオをガン無視し、己の道を突っ走るだけだ。
気にすんな。気にしたら負けだ。
とりあえず夜になったし、今日は寝るか。
◇■◇
鳥の鳴き声すら聞こえない地下で朝を迎えたよー
おはよー
突然だけど、腹減った。
よく考えたらまだ一回も飯食ってねぇわ。
って事で【
うん、硬い。
皆さん、「夜になるの早くね⁉︎」って思いましたよね?
実は昨日、夜に起きたんだよね。
え?
遅い?
知るかよ、人によって睡眠時間はバラバラなんだよ!(逆ギレ)
で、と。
話を戻そう。
ヴィオルの前日譚はえーっと、確か…約1ヶ月後だ。
あれ、今思ったんだけど、前日譚についてあんまり考えなくてもよくね?
だってさ……あ、いい事思いついた。
主な攻略対象を巻き込んで最強パーティーを作ろうぜ!
ついでに大厄災についても調べる。
これ、結構いい考えじゃね?
暫くこんな感じの目標でいこう。
そうと決まったら前日譚まで時間を早送りしよう。
俺は【
詠唱? 何それ美味しいんですか?
◇■◇
文字通り、あっという間に1ヶ月が経った。
よし、冒険者ギルドに行くか。
【
探知魔法には色々な種類がある。
探知魔法の最上位は【
【
だから、【
じゃないと、すごく頭が痛くなり、気絶する。
1度に2つの魔術を使わなければいけないので、その分魔力が消費される。それだけで俺の魔力の1/1,000,000,000,000(1兆分の1)が消える。
使いたくねぇ。
あっ、あった。
なるほど、そこか。
俺は人がいないところを見つけ、転移する。
今回はギルドから少し遠い。
ゆっくり歩いて行こう。
もしかしたら、ルーク達にに会うかもしれない。
噂をすれば。
俺の横をルークとヴィオルが通り過ぎる。
声が届かなくなる前に声をかけるとしよう。
「あ、ルークじゃん、久しぶり〜 隣にいるのは…友達?」
ルークが立ち止まって振り返った。
「あ、ああ。こいつは――」
「ええと…どうも、ウィルです。」
「あっ、こんにちは! えーっと、なんだったっけ? あ、そっか、リリノだよ」
「おい、自分の名前ぐらいは覚えろ。ってかその名前偽名だろ。」
ルークは呆れ顔。
いやお前も偽名だろうが。
「バレた? そうだよ、リリノは偽名だ。けど、名前なんてどうだっていいよ。俺には――…本名が3つもあるんだから……」
「……?」
ヴィオル――ウィルは「意味がわからない」という顔をする。
「いや、なんでもないよ。ま、本名はそのうち教えるさ。
でさ、今からギルド行くんだろ? 一緒に行こうよ。」
「ああ。」
「……。」
ウィルは考え事をしているのか、無言だ。
「じゃ、行こう!」
そう言って俺は歩き出した。
「――…本名が3つ……? もしかして……いや、そうなら後2つは何だ?
まさか―――」
「ヴィ……ウィルー、おいて行くぞー?」
「あ、ちょっと待って下さい!
いや、それはない、か――」
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