昇格試験まで

昇格試験まで2日ほど時間がある。

それまで何をしようか。


ん、あれ?

俺、宿を探してなかったわ。

あやうく、住む場所なしのホームレスになるところだった。あ、今もホームレス状態だったな。

……そんなにお金ないし、家を造るか。主に土魔法を使うとして、どんな家しようか?

隠し扉とかあったら、なんか面白そう。

いろんな仕掛けがあってもいいな…

あと―――…




そんなわけで、色々考えた結果がこちら。

張り切り過ぎて、地下にダンジョンと化した家ができてしまったのだ。


無論、探知魔法に引っかからないので発見されない。

そこら中、罠だらけで、入られたとしても家にはたどり着けない。

そして、正解ルートを通らないと転移魔法で入口付近まで転送され、俺の家の存在を記憶から消される。

わぁ… ダンジョンより凶悪な家ができてしまったね。

はっはー…… で。これ、どうしよ。


今更、この罠の数々を取り外すのは面倒だし… 遠隔操作ができるようにしようではないか。


〜罠魔法をスイッチで遠隔操作できるようにしよう 第一講座〜

まず、魔石を用意します。

それに魔力回路をつくるための魔法陣を刻みます。

そして、その魔石を地面に埋め、もう1つの魔石に記録魔法の応用の魔法陣を刻みます。ついでに、罠魔法の魔法陣も刻んでおいた方が楽です。

次に、その魔石に自分の魔力を記憶させ、これも同じく地面に埋めます。

魔石が埋め込まれたスイッチを用意し、魔石にON・OFFの仕組みを作るための魔法陣を刻み、あとは先ほど記録魔法(の応用)と罠魔法の魔法陣を刻んだ魔石とスイッチを魔力線で繋いだら完成です。



意外と簡単なんだよなこれ。―――結構な量の魔力を使うけどな。


「よし、できた。」


俺は遠隔操作がちゃんとできるか試しに石を通路に投げ入れた。まずは罠魔法ONにした。

石が地面に着いた瞬間、地面がなくなった。

落下トラップだ。

そして、今度は罠魔法をOFFにして、石を投げ入れた。

何も反応しない。ということは、成功だ。

これで、家のセキュリティシステムはいいとして、あとは家具を置いたら完成かな。


する事ないからとりあえず、もうちょっと凝った服に作り直そう。



で、考えた結果。

ベースは黒で、元のコートみたいなのに少し模様を付けてみた。

それから、小一時間ほど服のデザインを考えていた。


うん、それっぽい服が出来たぞ。

改めて見てみると、格好いい。

では早速着替えよう。



サイズはこれで合っている。

あとは……剣でしょ。

剣は大事。

だが、剣を創る必要はない。なぜなら、【剣召喚クローツ】というスキルがあるからだ。

前前世の時から愛用している剣だ。

まあ、常に召喚しているわけでわないんだけど。

剣召喚クローツ】は発動していると、極少量の魔力を吸い取るのだ。1日に魔力が1消費されるだけだが、もしもいざという時が来たら…… と、思ったので、常に身に付けるという事はやめておいた。

夜が来たからそろそろ寝る。


おやすみー



◇■◇



うん。いい朝だ。といっても、ここは地下だから日の光は届いてないんだけど。


明日が昇格試験だ。

久しぶりに【剣召喚クローツ】を使おう。

リーナリアになってから全く剣を持った覚えがない。

……あ、そりゃそうだわ。転生前の記憶を思い出した日に脱走した気がする。

行動早いなー、俺。

あれ、ちょい待て。転生前の記憶によると、乙女ゲーの始まっていないが、もう始まっている。

確か、前日譚の始めは……王太子殿下の子供時代の話。内容はこうだ。

王太子、ルークストリア・リィ・カルティリュットの婚約者が決まった。

その婚約者の名は、リーナリア・ライ・マクストナリヤ。彼が聞いた情報は、彼女は英雄ノアが好きだ、という事だけ。

婚約者がどうのこうのという騒ぎの中、彼は12歳の誕生日を迎える。

彼は明日に行く予定のの冒険者登録に待ちきれず、城を飛び出した。

というのが前日譚の始まりだ。


現実はこうだ。

彼の婚約者が決まっ―――たはいいが、婚約者が失踪した。

そして、彼の性格はもっと大人しく、騒ぎも沈静化されている。王太子の手腕、恐るべし。


だが、確信はある。彼は絶対に冒険者登録に来る。

そして、彼の誕生日は、明日だ。

うん。なんという事だろう。いや、これ、絶対誰か仕組んだだろ。

俺の目は誤魔化せない。


……すみません。『俺の目は〜』は言ってみたかっただけです。



でと。まあ、彼には会って仲良くなっておいた方がいいだろう。

もしかしたら学園に入れてくれるかもしれない、もしかしたら。コネは持っていて損はない。


彼は、俺と同じ様に初日にAランク昇格試験をする筈だ。…少なくとも、シナリオ通りなら。

おそらく、この部分だけはシナリオ通りになると思う。


そして、彼は受かる。 無論、俺もだ。


ゲームのシナリオは、大事なので、前前世に創った物、《無限知識書》にメモる。

《無限知識書》はその名の通り、知識を無限に詰めこめる書だ。見た目は普通の本だが、開くと、そこに知りたい知識が書かれる。俺以外の人が開くと何も書かれない。 こんな機能を付けられている

、かなり便利な本だ。

今回は、知識を入れる方なので、入れる知識を思い浮かべたらいい。

そしたら、その思い浮かべた内容が書かれる。それを確認したら、完了だ。


俺は、シナリオをメモり終わったので、確認をして本を閉じた。




俺は特に何もすることがないので、今日はもう寝る事にした。

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