謁見ではなくなった会談(?)

「………!?リーナリア嬢が失踪した!?」

王太子殿下こと、ルークストリア・リィ・カルティリュットが声を上げた。よほど驚いたのだろう。


「……はい。そして、リーナリアの机にこんな手紙が…」


「読んでもいいか?」


「ええ…どうぞ」


手紙を読むにつれて殿下の顔が曇っていった。


「………。」

「………。」


「1つだけ、リーナリアを見つける方法があります。」

沈黙の中、声を出したのはリーナリアの母、ロザリーだった。


「っ……!?それは……?」


「入学手続きの書類に使われている証明写真です。私達が知らない顔の人を手当たり次第に捜したら見つかると思います。殿下も協力してくださると心強いです。」


「……なるほど。協力しよう。」


「ありがとうございます、殿下。あと……」


「ああ、さがれ」

殿下はそう言って、人払いをした。



「はぁ、やっぱり堅苦しいですね。王城は。」


……この2人は切り替えがすごく早くてなんか怖い。


「ははっ。確かにそうだな。」


「私の事をすっかり忘れ去ってる気がするのだが…」


「「あ、すまん(ごめんなさいね)。忘れてた(ましたわ)。」」


「私だけ扱い酷くないか?」


「いや、そういうつもりはない。」


「無自覚でやってたなら余計に立ちが悪い」


「はは……(ほほほ)」

ルークストリアとロザリーが笑って話を逸らそうとする。

「笑って誤魔化すな。」


「あ、はい。」

そう言ったのはルークストリアだけで、ロザリーはただニコニコと笑顔を浮かべていた。


そんなこんなで協力は得られたので、2人公爵一行は屋敷へと帰って行ったのだった。


その頃、リーナリアは変身魔法で実験をしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る