まさかとは思ってたけど
「な……な…なんですって!?!?」
ヴィラントって……
ここまできたら、もう分かる。
俺の前前世…ノア時代にいた世界だ。
まさか、乙女ゲーの舞台になっていたとはな……
テンプレかと思えば、
そうか、俺は男に…攻略されるのか。
うわぁ、考えたくもない。男が寄ってくるのか?俺は精神は、男だぞ?せっかくなら男に転生したかっ………いや、待てよ。確か、俺は変身魔法が使えたはず。なら、男として生きれる。
よし、決めた。
家出しよう。
「おーい、我が娘ー。意識大丈夫か?」
はっ……
「すみません、考え込んでいました。意識は飛んでいませんから大丈夫ですわ。お父様。」
すまない、我が両親よ。
しばらく俺……リーナリア・ライ・マクストナリヤは学園入学までの間―――失踪します。
この出来事が始めとして、
◇■◇
――コンコン
リーナリアの部屋の扉がノックされた。
しかし、何も返ってこなかった。声も、生活音も。部屋からは何も聞こえてこなかった。
「?…リーナリア様、入りますよ。」
そう言ってメイドの人はドアを開けた。
部屋の中には誰もいなかった。
ふと、目に入ってきたのは、
『お父様、お母様、この屋敷にいる方々、すみません。先に謝っておきます。
この手紙を読んでいるという事は、私はもうこの屋敷から出ているということだと思います。「その理由は?」と、聞きたいかも知れませんが、また別の人に聞いてください。
私は失踪しました。
でも、姿を消すのは学園に入学するまでの間ですからご安心ください。
学園には入学しますが、リーナリアとして入学する保証はありません。というか、絶対ないと思います。どうかお許しを。
入学するまでは、冒険者として活動します。探さないでください。
リーナリアより』
この手紙を読んだメイドがわなわなと震えだした。
「これはっ…」
そう言って、手紙を持ってリーナリアの父と母がいる執務室へと走りだした。
◇■◇
バンッと、執務室の扉が開けられた。
「何事だ!」
「っ……はぁ、はぁ、リーナリア、様のっ……机に、こんな手紙が……」
そう言って持ってきた手紙を差し出した。
リーナリアの父、ライラックはその手紙を受け取った。
「……部屋にはいなかったのか?」
「……はい。」
「そうか……」
「『捜さないでください』と書かれているから、表向きには捜しているようにしておけばいいと思うわ。あの子の事だもの、しっかり学園には通うと思うわ。
そして、リーナを見つけることができる唯一の手がかりは入学手続きの書類に使われている証明写真よ。私達が知らない顔の人を手当たり次第に捜したら見つかるはずよ。」
母、ロザリーはこんな深刻な時も呑気である。だが、それは表層だけのこと。冷静に考え、あっさりと解決策を出している。
「………あ。リーナの婚約者……王太子殿下にこの事をどう伝えようか?」
「……ここは正直に事情を話した方がいいかと思うわ。手紙を見せながら。」
「そうだな、それがいいと思う。」
「では、早速アポをとって 王城へ行きましょう。」
ロザリーは笑顔で言った。
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