第3話 会議

「それでやはり相手はGRUになるのかね」


 伊藤は上司である栗林に聞くと、彼はそうだろうとの認識を示した。


GRUとは旧ソ連時代からある軍の情報機関である。そこのゾルゲという人物が功績を残した


ゾルゲ事件で、日本は大変な羽目に陥ったであろう。


 伊藤は栗林などと会議を開き、GRUについての情報を知ろうとする。今ではそこの部署ではサイバー部隊もいるらしく、近代化が目覚ましいようだ。


「それで対する日本は何かめぼしい結果を残せそうなのかね?」


「無理でしょう。同じ同盟国である情報を頼りに行動を進めるのしかないのでは? 単独で行動できる身分ではないでしょう」


 防諜と言えば公安が有名だそうだが、派閥争いが厳しいらしく、簡単には協力を求める事が出来ないでいた。


「今だとGRUの他に新組織が編成されているかもしれない。旧KGBみたいな組織が既に日本に根付いているのだろうなあ」


 栗林は日本の現状をそのようにつぶやいた。相手の諜報網が日本に張り巡らしてあるだろうとの見解は、伊藤を大いにがっかりさせてしまう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る