ラパンさんへのお手紙

 ある日、ラパンさんのところに一通のお手紙が届いた。


 ラパンさんというのは、うさぎのパン屋さんのことだ。

 お手紙は、後輩のクマパンちゃんからだった。


 ラパンさんはお店の前のオーナーがクマパンちゃんだったなんて、お手紙を見るまで知りもしなかった。


 びっくりだ。

 世間って広いようで、案外狭い。


 数日前、クマパンちゃんも新入生のひとりから聞いて初めて知った。新入生のご両親が猫のお菓子屋さんの常連さんだったんだ。

 ずっとパン屋さんのことも猫のお菓子屋さんのことも気になっていたから、クマパンちゃんはうれしくなって、すぐにラパンさんにお手紙を書いた。残してきたお店を継いでくれたのが、尊敬してやまない先輩だったなんて感激だもの。



 縁って不思議。どこでどう、だれとつながっているかわからない。

 遠くに離れているようでも、案外近くにいたり、すぐそばにいるようでも遠く離れてしまったことだってあるからさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る