第130話 夕焼け


背中で空が燃えていた

夕方五時半の西の空 

ゆらゆら揺蕩う灰色の雲を

焼き尽くすほどの勢いで


熱いのはイヤだからと

逃げるように漕ぐ自転車に

背後に広がるオレンジが

歪みながら反射した


心の底の奥深くで

このまま焼き尽くしてしまえと

ほんの少し願ったことには

しっかり重い蓋をして


揺れながら沈んでゆく

夕焼けを背中に感じながら

また一日が終わることを

感覚だけで受け止めた

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