第119話 雨を歩く


雨の中歩く

傘も持たぬまま

両手に花束を抱え

冷たく濡れながら

幾つもの花びら

跳ねて落ちる雫が

それぞれの色を映し

アスファルトに消えた

凍える指先で

口唇に触れる

微かに感じる温度

それだけが生命の証

雨は勢いを増し

さらに濡れてゆく体

そっと庇いながら

また雨の中歩く

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