第118話 箱を沈める


求められているのはきっと「正しい」世界 

サイズの決められた箱

はみ出すことも許されず

この身体につきまとう息苦しさになんて

気づかなければよかった  


澱んだ空気に耐えられなくなったのは

きっと目覚めた本能

どうしたって合わない価値観に

さらに呼吸もできなくなって


ずぶずぶと沈んでいく

足下さえ見えなくなって

それでも残っている感覚だけで

もがき浮上のタイミングを計る


求めているのはきっと「自由な」世界 

歪な形だとしても

私のすべてを受け入れる

カッコよくても悪くても関係なくて

ただの私でいられる

そんな世界がどこかにあると信じて

私は私を抱きしめる


どうしたって合わない価値観は

海の底に沈めてしまおう

溺れそうな体の代わりに

新鮮な空気を求めて

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