第120話 朝とカラス


カラスの羽は青い空によく映える。

そんなことを思ったのはいつもと同じ朝のことで

ごみ捨て場のど真ん中堂々と立つカラスは

決して群れることなくその場を支配していた


その存在は全てが鋭い。

目もくちばしも爪も羽根も全てが

そうやってここまで生き抜いてきたのかと思わず息を飲めば

まるでこちらが不審者かのように睨み付けられた


ほんの少しの恐怖と畏怖と。

近寄りがたいと思えば思うほど

なぜかその姿から目が離せなくて 

さわやかな朝の空へと飛び立つ漆黒を

食い入るように眺めていた


きっとカラスのように独りでは生きられない。

それは揺らぐことない事実だ

でも朝のカラスのようにくっきりと生きてみたい

そう思うことくらいなら許されるだろうと

私はまた、私の道を進むのだ

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