第29話

とある村で現在原因不明の病がはやっており、その原因として山に住むドラゴンがあげられており、その討伐が今回のクエストの目標である。


難易度は受付のお姉さん曰く、とても難易度は高いそうだ。


ゆえに、多額のお金が手に入る。


装備を整えるにも必要であるし、シュリにも妹のために買いたいものを買ってもらいたい。


そんなことを考えながら、俺とシュリとクロはその村へ向かった。



村に近づくにつれて空気がよどんでいることに気が付いた。


なんだ? この霧は?


村の近辺は薄気味悪く黒っぽい霧で覆われていた。


くぅぅぅん。


クロも何だか嫌そうにしている。


村の中に入るとすぐに村人が疲弊していることが分かった。


外を出歩いている村人が少なく、出歩いている人も顔色が悪く、暗い雰囲気だった。


俺はまず病院に向かった。


「クロ、ここでおとなしく待っているのですよ」


シュリがクロにじっとしているように言った。


病院に向かうと状況は悲惨だった。病院の前では病院に入れなかった人たちが倒れている。


病院の中でも患者があふれかえっており、その辺で人が倒れている。


「一体なんでこんなことに?」


俺は今にも死んでしまいそうなほど弱っている老婆を見つけた。


「私の治癒魔法でどうにかなるかもしれません」


「ああ、頼む、やってくれ」



シュリが老婆に治癒魔法をかけ、老婆は目を覚ました。


少し回復したようだ。


「一体ここで何があった?」


「ドラゴンの息吹じゃ。最近この近くの山にドラゴンが住み着くようになってから、この村はおかしくなってしまった」


「やはりドラゴンか……。今から討伐に向かうが、何か特徴はあるか?」


「いや、わしも最近のことで、ドラゴンのことはよく分からん」


村人に聞けば敵の情報が少しは手に入るかと思ったのだが……。


「助けを求めるために王都に使者を送ったのじゃが、王に断られてしまったようじゃ」


あの王ならそう言いかねないと俺は思った。



「サトウ様、村人を治療してから参った方が良いのではないですか?」


「無駄じゃ。たとえ回復魔法をかけたとしても、一時楽になるだけじゃ。直すには根本的な原因を消す必要がある」


「婆さん、心配するな。俺たちが必ず村人全員助けてやる。少し待っていてくれ」


「ああ、頼んだよ」


そう言って婆さんは他の人の看病に向かって行った。



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