第17話
俺はボロボロだが何とか立ち上がることができた。
あばらが折れているような気がする。
パンパカパーン!!
『レベルが84に上がりました。』
次はドロップ品だ。
魔石×1
純度40%
を入手しました。
「おぉ、一気に84レベルまで上がった」
さすがにレベル差があったのか、倒すと一気にレベルが上がった。
先ほどガジュラと戦っていた男たちが話しかけてきた。
「おい、あんた…一体何者だ?」
「なんでそんな強いんだ?」
「どこでそんな魔法教わったんだ?」
村人たちは一度に様々な質問をしてくるので、対応に困る。
また、モンスターを倒したのを村人たちが察知すると、続々と村人たちが集まってきた。
「サトウ様!」
俺の無事を見て安心したようにシュリが話かけてきた 。
「よくぞ御無事で!」
「ああ、シュリがあいつを足止めしてくれたおかげで助かったよ」
「いえ、とんでもございません。それより、さっきの魔法いつの間に習得されたのですか?」
「さっき考えた」
「う……、さらっととんでもないことをおっしゃいますね…。さっきサトウ様が放たれた魔法は、バーストエンドという最上位の魔法です。普通は魔力を操って圧縮するのですが、サトウ様は光の魔法でそれを行ったようですね。何にせよ、すごいです!!」
どうやら俺がさっきはなった技は相当強い魔法らしい。
その時、急に胸に激痛が走った。
「うっ!」
やはりあばらが折れているようだ。
俺は胸を押さえてその場にうずくまった。
「サトウ様?大丈夫ですか!?」
シュリはうずくまっている俺を仰向けにし、腕をどかし胸のあたりを触ってきた。
「っ!」
「ここが痛みますか?」
俺は静かにうなずいた。
「かの者に大いなる精霊の加護あらん、ホーリーヒール!!」
シュリが詠唱を唱えた。
すると目の前が光りでいっぱいになり、みるみる胸の痛みが消えていき、動けるようになった。これが光属性の中の治癒魔法か。
「どうですか?」
「ああ、治ったみたいだ。ありがとう」
「シュリよ、無事か?」
シュリの爺さんがシュリの身を案じて駆け寄ってきた。
「はい、おじい様。またもやサトウ様に助けていただきました」
「あんな大型モンスター、いつも襲ってくるのか?」
俺はシュリの目を見て聞いてみた。
「いいえ、初めて見ました」
シュリは首を横に振りながら言う。
「あのような大型の魔物は過去にも来ておるよ…。50年も前の話じゃが…」
シュリの爺さんがかすれた声でそう言った。
「なぜ50年の時を経て今現れたんです?」
「それはわしにも分からん…。じゃが、あのような大型の魔物が現れると同時に転生者が現れることは村の言い伝えで言われておる……」
どうやら俺は偶然この世界に呼び出されたのではなく、何か意図があって呼び出されているようだ。
しかし、その意図とは何であろうか?
魔物をこの世界から駆逐することなのだろうか?
それともモンスターの発生源を突き止めて破壊するとかだろうか?
その時、俺は王の間で最初に転生されたことを思い出した。
そうか、俺を呼び出した奴らなら、この世界のことや俺をこの世界に呼び出した目的を知っているかもしれない。これは話を聞きに行く必要がありそうだ。
「シュリ、王都まではここからどれぐらいだ?」
「王都ですか? ここからだと馬車に乗って丸1日ほどです。王都へ向かわれるのですか?」
「ああ、少し大事な用事を思い出してな」
「佐藤殿よ、ならば村の使者と一緒に行くがよい。今日起きたことを王都へ伝えに行かねばならんのでな」
「おじい様、私も行ってもよろしいですか?王都の案内役が必要でしょう」
「ああ、分かった。シュリ、お前も行ってやりなさい」
「それにしてもお主、普通の転生者ではないようじゃな」
それは俺が普通の転生者が持っているという宝具を持っていないからなのだろうか。
「俺は他の転生者を知らないから何が普通かわからないんだが……」
「ほっほっほ、ならば少し王都へ行くのはつらいかもしれぬが、臆するでないぞ」
すぐに旅の準備に取り掛からなければいけなかったので、このことについて詳しく爺さんに聞くことはできなかった。
こうして俺はその日のうちに王都へ発つことになった。
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