第11話
次の日の朝、俺はいつも通りの時間に目が覚めた。外はいい天気でカーテンの隙間から朝日が差し込んでくる。
俺はいつも通り朝食を済ませ、家を出るとそこには女の子がそこにはいた。
昨日不良たちから助けた、進藤茜だ。
「おはようございます!」
進藤茜が明るい声であいさつをしてくる。
「な、なんでここに…?昨日断ったはずじゃ…」
「はい!だからたまたま通りがかりました!」
「はあぁ~」
俺は頭に手を抱えながらため息をついた。
「一体なんで来たの?」
「先輩が誰かと一緒に学校に行きたそうな顔をしていたからです」
「おいおい、そんなに寂しがりやだと?」
「…はい」
彼女は少し困ったような顔をして言った。
「人を信用するのが怖いかもしれませんが、がんばってください」
さらに優しく話しかけてくれる。
なんだか俺の心の中を見透かされているようで少し怖かった。
しかし、彼女の言っていることは大体正しい。俺は人を信じることが怖い。限りなく怖い。
おそらく不良グループに入るずっと前からそうなのだろう。自分に自信が持てず、人を信じることもできず、自分を強く見せたいと思い不良グループに入ったのだ。結局そのグループでも奴隷のような扱いを受けていたが……。
それを年下の女子に見透かされたというのか。昨日ちょっとしゃべっただけで…。
俺は彼女の人間的な観察力に感心とともに少し恐怖を覚えた。
「でも、なんで俺にそんなに気を遣うんだ?」
「それは先輩が良い人だからです」
‘’良い人‘’か……。
学校に着くといろんな人がこっちをジロジロ見てくる。
進藤茜は可愛い。おそらく学校内でも勝てる女子はなかなかいないだろう。
それに加えて内面が素晴らしさもある。
おそらく進藤茜は多くの生徒からその可愛さのため顔を覚えられているのだろう。
そんな彼女の隣にどちらかというと地味な俺がいると思うと、不釣り合いすぎて早く教室に行って進藤茜と別れてしまいたかった。
「ねぇねぇ、見て。茜の隣にいる人…」
「あの二人付き合ってるのかな…?」
「茜美人だからねぇ…」
周囲からはそんな声が聞こえてくる。
「先輩!またね!」
そう言って進藤茜とは廊下で別れた。
俺と付き合っていると勘違いされるのはさすがに進藤茜も嫌だろう。
『またね!』と言っていたが、おそらく明日の朝からは俺の家に来るまいと俺は思い、進藤茜と別れ教室に入っていった。
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