第10話
俺は現実世界で眠りにつき、起きるとまた異世界だった。
起きるとシュリが目の前に立っている。
「サトウ様、朝ですよ。朝ご飯のご準備が整いましたので起きてください」
シュリの声は透き通っていてとてもきれいだ。
心地の良い声のせいで、二度寝してしまいそうだったが、俺は朝ご飯を用意してくれたシュリに申し訳ないと思い、起きた。
朝ご飯は現実世界のものとよく似ている。パンとバターと野菜が少々あった。
俺を泊めてくれた上にご飯まで用意してくれるシュリに素直に感謝した。その上で俺をしばらく泊めてくれないだろうかと考えていた。
「シュリ、しばらくモンスターを狩ってレベル上げをしたいと思うんだが、行く当てがないから、しばらく俺をここに置いてくれないか?雑用か何かあれば何でもする!」
何でもかんでもお世話になって申し訳ないが、俺にはいく当てがなかった。
「はい!サトウ様ならいつまででもいてくれると嬉しいです。ぜひここにいて下さい!お爺様には私から申し上げておくので大丈夫ですよ」
シュリは快く了承してくれた。現実世界なら人を避けるに決まっているのに不思議なものだ。
そして、その日から俺のレベル上げ(借金返済)ライフがスタートした。
レベルを上げるついでに魔法の使い方を勉強しようと考えていた。
シュリにモンスターがたくさん出るところを教えてもらったところ、昨日いた草原辺りは比較的弱いモンスターがたくさん出るようだ。
しかし、その草原の奥には荒廃地がありそこは強いモンスターが出るから近づかないように言われた。
俺はしばらく堅実にレベルを上げるとともにモンスターを狩り、お金を稼ぐことにした。
この日はとても順調にモンスターを狩ることができ、レベルも35まで上がった。
ドロップアイテムである魔石も純度が10%と20%のものだけだが、たくさん手に入れることができ、おそらく3万円くらいは稼ぐことができたと思う。
しかし、魔法について火と水と雷が使えるようになったが、上達の兆しが全く見えない。
いずれも小さな魔法が使えるだけで雑魚モンスターを倒すことしかできないだろう。
俺は晩御飯の時にシュリに魔法について聞くことにした。
「シュリ、魔法が上手くならなくて困っているのだが何かコツはあるものなのか?」
「魔法ですか?サトウ様の得意な属性は何ですか?」
「属性?」
「はい。魔法には火、水、風、雷、光の5属性があります。一般的に一人の人が使えるのは一つか二つです。私だと火属性と光属性が得意です。」
俺はすでに3属性使えるのだが、異常なのだろうか? とはいえ、得意な属性と言われても全く分からない。
「得意な属性か…。どうやったらわかるんだ?」
「魔懐石という石で分かります。うちにもあるので取ってきます」
シュリは魔懐石を取りに奥の部屋に行き、すぐに戻ってきた。
「こちらが魔懐石です」
シュリに魔懐石を手渡された。
手に収まるほどの石で思ったより小さく、灰色で独特な模様が入っている。
「どうやって使うんだ?」
「目をつぶって頭の中で火、水、風、雷、光を思い浮かべていってください」
俺は目をつぶって5つの属性を順番に思い浮かべていった。
本当にこんなもので分かるのだろうかと思ったが、とりあえずやってみた。
5属性すべて終わり、目を開けるとシュリが固まっていた。
そして急にしゃべり出した。
「サ、ササ、サトウ様は全部の属性が使えるようです……。あなたは一体!?」
3属性使えてた時点で普通ではないことは予想はしていたのだが……。
「そんなにすごいのか?」
「すごいってもんじゃありませんよ。全属性使える人はこの世界でも数人しかいません」
そんなものなのか?と俺は全属性使えることの凄さがあまり理解できていなかった。
「明日よろしければ魔法について私の知る限りのことを教えましょう」
この世界の人間に魔法を教えてもらえるとは願ってもない。おそらく異世界から来た人間が一人で魔法を練習しようとしても無理だろう。
こうして明日はシュリも一緒に草原に行くことになった。
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