第299話 聖竜機皇 熱戦、激戦、超決戦②
爆発の中から<インドゥーラ>が姿を現す。その頭部は半壊しデュアルアイの右側は光が消えていた。
『――っ!? モニターに影響だと……ええい、よくもやってくれる!!』
バハムートの連続攻撃で与えたダメージは確実に<インドゥーラ>に蓄積している。自己修復される前に倒しきれば俺の勝ちだ。
「ここで押し込む!」
ふらついている<インドゥーラ>に接近していると向こうも俺に向かって突っ込んできた。
「このタイミングで仕掛けてくる。……玉砕覚悟か!?」
『たかがメインモニターがやられた程度で怯むとでも? <ヴィシュヌ>との戦闘でマツヤから多少ではあるがデータを取得出来た。機体性能は上がっている。まだだ、まだ終わりはしない!!』
<インドゥーラ>が左腕にサルンガを装備し射線をこっちに向ける。ここで下手に回避行動を取れば距離を詰めるのが難しくなる。
「突撃する!!」
『逃げないだと!? 直撃コースだぞ!』
サルンガから放たれた雷矢を刀身で防ぐとそのままの勢いで肉薄し<インドゥーラ>の左腕を斬り飛ばした。
『なんっ――!?』
「死中に活ありってやつさ。これでサルンガはもう使えないな、ガブリエル!!」
『まだだ!!』
<インドゥーラ>が右脚を少し後ろに引いた。これは蹴りに移行する動きだ。と言うことは奴のキック――ヴァーマナが来る。
読み通りに<インドゥーラ>は右脚でエーテルエネルギーを込めた蹴りをしてきた。それなら――!
「目には目を、蹴りには蹴りを――エーテルパイルバスター!!」
こっちもタイミングを合わせて右キックをお見舞いする。ぶつかる瞬間に膝部に展開した魔法陣からエーテル金属製の杭を射出し奴の右脚に打ち込んだ。
『そうか、奴にはこの兵装が……ちっ!!』
<インドゥーラ>はバランスを崩しながらもエーテルハイロゥを展開して逃げようとする。逃がすまいと奴の脚を掴んで追撃に入る。
『ええい、離せ!』
「心配しなくても離してやるよ。ただし、これを食らわせた後でな! エーテルパイルバスター……リボルビング!!」
膝部に複数の魔法陣を円を描くように展開すると魔法陣一つにつきエーテルパイルバスターを一発射出する。
回転式拳銃のシリンダーの如く発射の度に魔法陣を切り替え、エーテル金属製の杭を全て奴の右脚に打ち込んだ。
「こいつはオマケだ。とっときな!!」
即座にエーテル杭を蹴り込むと、複数の杭が奴の脚部を貫通し機能不全に追い込んだ。
『何て野蛮な戦い方を……! この蛮族がぁぁぁぁぁ!!』
「何を今さら。戦争行為そのものが蛮行じゃないか。それを裏で糸引いて他人にやらせてきたお前等は蛮族以下のド畜生だろうが!!」
<インドゥーラ>の半壊した顔面にパンチを叩き込み吹っ飛ばす。頭部の破壊は更に進み残ったアイカメラが点滅していた。
『モニターが半分以上死んだ? 修復不可能……これ以上の長期戦は困難か。ならばこれで決着を付ける! 死ねよ、第四特異点ハルト・シュガーバイン!!』
奴は距離を取ると全身に高密度のエーテルエネルギーを開放展開した。この攻撃パターンはさっき<ヴィシュヌ>がやったのと同じだ。
高速飛行による突撃攻撃――術式兵装ナラシンハ……恐らくカルキ・ラスト・アヴァターラの次に強力な奴の術式兵装だ。
攻撃が一箇所に集中している分、一対一の戦いではナラシンハの方が威力が高い。何の対策もせずに直撃すれば一撃でやられかねない。
「いいさ、受けて立ってやるよ! ブレードテイルパージ、レインフォースフォーメーション!!」
分割したブレードテイルのパーツを機体周辺に展開、エーテルエネルギーの増幅とエーテル障壁の強化を行う。
エーテルエクスカリバーにエネルギーを集中させると刀身から発生した黄金の光が機体を包み純白の装甲が黄金色へと変化した。
これで物理及びエーテルエネルギー攻撃に対する防御機能が増加した。
「ゴールドアストラルコーティング完了。一撃必殺で来るならこっちも同系統の必殺技でいく。術式解凍――リンドブルム!!」
強化したエーテル障壁を最大出力で展開、エーテルフェザーと各エーテルスラスターを全開にして最大速度で突撃する。
<インドゥーラ>もこっちと同時に突撃を開始した。
『この<インドゥーラ>が……我らクロスオーバーの技術の粋を集めた
「突っ込むぞ、<サイフィード>!! いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
お互い全速力で衝突し凄まじい衝撃がコックピットに伝わってくる。
機体から装甲に亀裂が入っていく
「頑張ってくれ相棒! 俺も頑張る……だから!!」
エーテル障壁の向こう側にいる<インドゥーラ>も徐々にダメージが広がっている。奴は頭部が半壊、左腕と右脚も壊れて修復不可能。
それに比べてこっちは全身にダメージはあるが欠損した部位はなく、破損状況は奴より軽い。――いける!
『――何故だ?』
「……え?」
ガブリエルの声がエーテル通信によって聞こえる。その声は今までの奴とは違ったものだった。他者を見下すものでもなければ怒りに駆られたものでもない。
純粋な疑問、困惑……ただ、その感情だけが込められていた。
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