第43話 シオンの憂鬱

 実際に強化が行われるのは『第一ドグマ』に到着してからになるが、強化後の二機のステータスとクリスティーナとパメラの現在のステータスはこんな感じだ。


【アクアヴェイル】

HP4700 EP500 火力2800 装甲3000 運動性能175

属性:水

武装:エーテルアロー、エーテルトライデント

術式兵装:エレメンタルキャノン(水)、ヒール、ダリアフラッシュ、リヴァイアサン


【クリスティーナ・エイル・アルヴィス】  

年齢:18歳  性別:女

Lv:30   

近接攻撃:195  遠距離攻撃:215  防御:210  反応:239

技術:215  マナ:282

【バトルスキル】

完全回避  完全命中  勤勉

【パッシブスキル】

お転婆姫  アウトファイター(Lv2)  マナ回復



【グランディーネ】

HP6500 EP400 火力2800 装甲4800 運動性能135

属性:大地

武装:格闘、シールドバッシュ、エーテルシールド

術式兵装:エレメンタルキャノン(大地)、インパクトナックル、ファフニール


【パメラ・ミューズ】  

年齢:16歳  性別:女

Lv:31   

近接攻撃:208  遠距離攻撃:200  防御:245  反応:230

技術:210  マナ:275

【バトルスキル】

完全防御  竜鱗  完全命中

【パッシブスキル】

アイアンメイデン  負けん気  マナ回復



 クリスティーナとパメラのレベルは三十を超えており、二人ともパッシブスキルの『マナ回復』を習得していた。

 操者のマナを少しずつ回復するこのスキルを覚えているといないのとでは戦略に大きな差が出てくるので嬉しいところだ。

 シオンも、もう少しレベルが上がれば習得できるはずだから、そうすればもっと積極的にバトルスキルを使用できるようになるだろう。

 あと、彼女たちの固有スキルに注目する。クリスティーナの『お転婆姫』は、遠距離攻撃+20%、マナ+20%、EP+70、装甲+300の効果がある。

 パメラの固有スキル『アイアンメイデン』は、防御+30%、HP+2000、装甲+1000となっており、二人ともそれぞれの長所が強化されていて実用的な構成である。

 固有スキルの効果を加味した<アクアヴェイル>と<グランディーネ>であれば、現時点でも問題なく立ち回れそうだ。

 

 俺が各竜機兵の状態を確認していると、<シルフィード>の足元でシオンとマドック爺さんが話をしていた。

 もめているとまではいかないが、シオンの様子が少しおかしい。元気がないというか表情が暗い。


「どうした、シオン? 何かあったのか?」


「おお、ハルト丁度いいところに来た。シオンを止めてくれんかの? <シルフィード>で周辺の偵察に行ってくると言ってきかんのじゃ」


「偵察? このタイミングで? シオン、もうちょっとで『第一ドグマ』に到着するんだぞ。いったいどうしたんだよ?」


 俺が尋ねるとシオンはばつが悪そうな顔で話し始めた。


「王都にある『第一ドグマ』には母がいるんだ。出来れば顔を合わせたくない」


「さっきから、こんな調子なんじゃよ。シオンの母親はわしの弟子で、現在『第一ドグマ』で装機兵の開発を行っておる。心配性な性格で、昔から息子に対して過保護なんじゃよ」


「ははーん、それで<シルフィード>で逃げ出したいってことか。……あはは! 何だかんだ子供だなぁ、シオン」


「うるさい、うるさい! 僕は竜機兵操者だ! もう子供じゃない!」


「そういうことを言っている間は、まだまだ子供だよ。別にいいじゃん、母親に甘えて来いよ」


「お前は知らないんだ、母さんのことを。あれは……人をダメにする女だ」


 シオンの表情は深刻だ。彼の母親であるシェリンドン・エメラルドは三十代半ばの女性だ。

 マドック爺さんの弟子である優秀な錬金技師であり、『第一ドグマ』に爺さんが不在の中、竜機兵開発を引き継いで<アクアヴェイル>と<グランディーネ>を完成させたすごい人物だ。

 おまけに美人でスタイル抜群という完璧な人物である。俺が転生したこの世界では、各キャラ内面的な変化はあるものの外見に変化があった人物はいないので、彼女もそうであると考えられる。


 ティリアリア、クリスティーナ、シェリンドン、フレイアの四名は皆、美人である上にスタイル抜群な女傑たちである。

 俺を始めとする『竜機大戦』のプレイヤーたちからは、この四人は美女四天王と呼ばれていた。

 もっとも、出番が極端に少なかったティリアリアとフレイアは他二名に比べて人気度はかなり差が開いていたのだが。


「人をダメにするってどういう意味?」


「会えば分かる」


 それ以降、シオンは沈黙し爺さんは竜機兵専用武器の件で忙しそうであり、この話題に関しては『第一ドグマ』に到着してからのお楽しみとなった。

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