第2話 出し物
「葵、部活入らないの?」
「んー、興味はあるんだけどね」
「そっかぁ」
梨花が僕の髪をいじる。
「梨花ちゃんは?」
「……私は……ね……」
「……そうだね」
「そういえば、文系の部活が、文化祭の出し物で走り回ってたよ。なんだか皆気合い入ってた」
「この学校、何故か文化祭の気合いの入り方が違うからね。賞品もでるし」
「あ、そういえばそうだったね」
「その賞品狙いで、よくわからない部活も多いんだよ」
「へー、僕あまり募集とか見てなかったから、どんな部活あるの?」
「文芸部から、陸上や野球みたいな普通の部活から占い部、オカルト部、未来科学研究会みたいなヘンテコな部活もあるみたい」
「未来……なにそれ?」
「未来科学研究会。去年学校でボヤ騒ぎあったでしょ。あれ、科学研が原因らしいの。大量のロケット花火で月までいくって言って失敗して、ボヤ騒ぎ起こしたみたいなの。それが原因で今はもう廃部になったらしいけど」
「へぇ。梨花ちゃん詳しいね」
「葵が知らなさすぎなだけ、結構話題になったわよ、この話」
「ご、ごめん梨花ちゃん」
「こら、すぐ謝らない」
梨花が僕をチョップする。
「ご、ごめ、あうぅ」
また梨花が僕をチョップした。
「あーおーい」
「うぅ、わかった梨花ちゃん」
「んー、よし」
梨花が僕の頭を撫でた。
梨花に撫でられると、なんだか少し落ち着く。
放課が終わるベルが鳴った。
先生が部屋に入ってくる。
「席につけー。よし号令」
号令をおえると、黒板にチョークで何やら書き始めた。
「あー、今日は文化祭の出し物を決める。今年の優秀賞はクラス全員ハワイ旅行だ。普通では考えられない奇抜なアイディアを頼むぞー」
「葵、ハワイだって!」
隣の席から梨花が話しかけてくる。
「うん、今年の賞品は凄いね」
「これは、絶対に取らないと!」
「みんなやる気凄いから、きっといいアイディアが出ると思うよ」
「だろうね。……賞品じゃないと思うけど」
「えっ?」
「やっぱ女装お化け屋敷でしょ!」
「いやいや女装メイド喫茶がいい!」
「アホが、客の胃袋を掴んだ方が、ウケがいいに決まってるだろ!……ここは女装焼きそば屋にしよう」
「…………あれ?」
「ふざけんなこのやろう!女装お化け屋敷に決まってるだろ!!」
「はぁ!?立花のメイド姿をみたくないのかよ!」
立花は僕の苗字だ。
「ぐぬぅ、確かにでも、立花の化け猫姿も捨てがたいぞ!!!!」
「ふっ、馬鹿が、立花のウエイトレスに猫耳メイド服を着せればいいだろ!つまり猫耳メイド焼きそば喫茶だ!!!!!」
「「それだ!!!!!!!!!」」
「んん????」
「よし、決まったなーじゃぁ、猫耳メイド焼きそば喫茶にするけどいいよな」
「「「はい」」」
「他に意見あるやつはいないか〜?」
「はい!はいはい!!メイド喫茶はまだ、まだわかるけど、「女装」はおかしいと思います!」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
「あれえ?おかしいの僕だけ??」
梨花が立ちあがる。
「まったく、これだから馬鹿どもは」
「そ、そうだよ梨花ちゃん言ってあげて」
「あんたち、そんなありきたりな物で賞取れると思ってんの?……まさか一つだけで満足してるんじゃないでしょうね。
……女装猫耳メイドコスプレ焼きそば喫茶にしよう」
「「「「うううおおおおおおおお!!!!!!」」」」
どうやら、僕のクラスは全員どこかおかしいようです。
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