1-2 依頼人の少女~依頼内容

●依頼人、そして依頼内容について。


GM:幸運の足亭にてパーティを組んだ冒険者達は、マクネアの掴んだ依頼を請けるべく、個室へと移動した。店舗自体がこぢんまりとしているので、個室は更に窮屈ですが、皆さんが座れるほどの面積は確保されています。 座り心地のいいソファに座ると、対面に居るのは小柄な人物。目深にフードをかぶっておりますが、少年少女ほどの体躯です。


GM:皆さんが来てから、依頼人はフードを取り外します。明るいピンク色をした、丁寧に梳かれている髪の人間の少女です。10歳程で幼いながらも、しっかりしていそうな面持ちをしています。服装は外套から見え隠れしていますが、仕立ての良い衣装を着こんでいます。


ミミ: 少女は裕福な家庭環境だとPCは認識していい?


GM:構いませんよ


GM/ウェンディ:「初めまして、ウェンディと申します」


GM:少女は礼儀正しく挨拶をします。付け加えて「ウェンディ=ウェッジウッドです」と名乗りますね。


アルフレッド:「こりゃ可愛らしい依頼人じゃな」


ルカ:「はじめまして。冒険者のルカと申します」


ミミ:「はじめまして、亭主からの斡旋を受け、正式に依頼を受けさせていただきます、ミミと申します。まぁ、素敵なお召し物ですわね(爽やかな笑顔)」


ルカ:(ミミさん仕事モードかな?)


ルルン:ミミの変わりように呆気を取られます。


アルフレッド:タバコの匂いがなけりゃもぅ。


ミミ:……(静観)


ルルン:「ルルン・ルーピーです」とお辞儀します。


アルフレッド:「わしは ギール・ディ・アルフレッド デ ヨンク アルフレッドと呼んでくれ」


ミミ:「……なが」


GM:可愛らしいやら、素敵なお召し物と褒められるなら、少し頬を赤くします。


ミミ:「早速ではございますが、依頼の内容をお聞かせいただいてもよろしいですか?」


GM:聞かれるならば、ウェンディと名乗った少女は頷きます。


GM/ウェンディ:「はい。依頼は他でもありません。皆さんには、恐らく盗まれたであろう、とある羊皮紙を取り返して頂きたいのです」


ルカ:「羊皮紙?」


ルルン:「恐らく?」


GM/ウェンディ:「はい。羊皮紙……としか申し上げられないですわ。恐らく盗まれた、ですわね」


GM:と、ちょっとあやふやです。


ルカ:「盗まれるような大切な事柄が書かれた羊皮紙ということでしょうか」


ミミ:「もう少し、詳しい話をお聞かせ願えませんか? 例えば、いつ、どこで、だれに、などといったことで結構です」


GM/ウェンディ:「わ、分かりましたわ」


GM:「だ、大丈夫です」とウェンディは眉を逆八の字にして居住まいを正します。


GM/ウェンディ:「事は、昨晩から始まりました。わたくしが夜中0時頃、妙な物音を聞いてからです。自宅で寝ていた所、父の書斎から物音がしたのでベッドを抜けました。すると、部屋から何者かが逃げていくのを見ましたの。その後、もしやと思い父の書斎にある秘蔵の品々を収めた隠し部屋を見た所……ありませんでした……“羊皮紙”が。あと、ちょろちょろといくつかの宝石等も」


ミミ:「解りやすい説明、ありがとうございます、ウェンディ様」


アルフレッド:「なぜお嬢ちゃんが依頼なんだい? お父さんやお母さんはこのことを知らないのかい?」


GM/ウェンディ:「……あの、その」


GM:ミミに言われ、なるべく時系列順に簡潔に答えた後、アルフレッドにそう聞かれると、ウェンディは少しどもります。


アルフレッド:「わかった 今のは聞かなかった事にしよう」


GM:ウェンディは「いいんですの!?」と言わんばかりに少し笑顔を浮かべます。


ルルン:言えないこともあるよねぇとうんうんとうなずきます。


アルフレッド:「すまないな ウェンディ 言いたくない事もあるじゃろ ただわしらが必要な情報は教えてくれ」


ミミ:「我々チームは、クライアントの事情は可能な限り慮ることを信条としておりますので」


ルルン:訝しげにミミを見ます


ミミ:ルルンの視線はあえてスルーよ。


ルルン:(やっぱり怖い人かも……)と下を向きます。


ルカ:「ええ、無理に話していただかなくても大丈夫です。ただ、情報は多いほうが僕たちも動きやすいので助かりますね」


GM:あまりの優しさに、ウェンディは額に手を当ててたじろぎます。


GM/ウェンディ:「お、お任せください。なんでも話しますわ」


ミミ:「では、いくつかお聞きしても」


GM:「どうぞ」と両手の拳を膝上にして聞いてます。


ミミ:「先ほどの話で、お父様の書斎にある隠し部屋とのことでしたが……ウェンディ様以外で、その隠し部屋を知る人物はどなたかお聞きしても?」


GM/ウェンディ:「すみません……普通ならば、父と私以外に知る者はおりませんわ」


ミミ:母死んでそうだな?


ルルン:たしかに。


GM:ではここで! ウェッジウッドの名を聞いたのであればご存じ上げるのか判定しましょう。見識判定をどうぞ 目標値は12です。他の国々や都市にも顔出ししている人物です。


ダイスの結果、ルカは10 ミミは16 ルルンは14 アルフレッドは6


GM:ミミとルルンが成功……ルルンは経歴的にどうしましょう。隣町で名前を聞いてて知ってた感じで。冒険はしてますからね。アルフレッドは長らくここに住んでいるので、知らない事に違和感を覚えるなら、仲間に言われて思い出す、という形でもいいですよ。


GM:ではウェッジウッドについてですね。ウェッジウッド家は魔法文明時代から続く、とても由緒正しい家柄。現当主はハミルトンという男性。ハミルトンは“鉄の代議員”(アイアンハウス)の一人で、貴族。キングスレイ出身で、家はキングスフォールに構えています。


GM:国思いの熱心な人のようで、鉄道を敷くにあたったり、貿易関連の法案をスムーズにまとめるため、各都市や国に赴いていたりします。また、一族には魔法の才能があるようですが、才能が芽生えたり、なかったりといった感じの話も知ってよいでしょう。


ウェッジウッド家は貴族とは言いますが、飽くまで過去の話であり共和国のキングスフォールにおいて意味はありません(混合政体等、突っ込むと色々あるとは思いますが……)。なので領地を構えている訳でもありません。また特異な点として、魔法の才能があったりなかったりする事があり、それらを冒険者達に伝えます。才能がある者に共通点はなく運らしき事と、ハミルトンには才能がどうやらない事が分かりました。


ミミ: ハミルトンの家族構成まではPCは知ってる?


GM: 達成値的に知っていてもよいでしょう。妻は他界しています。病気によるものだそう。


ミミ:なるほど。


ルルン:耳打ちでルカに情報を伝えます。「由緒正しい貴族の女の子だよこの子」


ルカ:屈みました。「ルルンさん、ご存知なのですか」


ルルン:「聞いたことがあるの。魔法文明時代から続くらしいよ。国思いのいいひとだと思う」


ルカ:ルルンの話をきいてすごいなぁって思っています。


アルフレッド:「あやつ忙しいのに魔動列車の整備士に茶を持って律儀に挨拶して回っとったが、あのハミルトンがそんなに偉くなったのじゃな」


ルカ:(アルフレッドさん、そんな人の下積み時代を知っているなんて何者なんだ……)


GM:色々設定生やされている!! ですが問題ない部類なのでOKです(笑)


ミミ:恨みを買っていてもおかしくはないか。できればハミルトンに直接聞くのがいいんだろうけど。多分ハミルトンとうまくいってないでしょこの子


ルルン:「その羊皮紙はどういったものなんですか?」


GM/ウェンディ:「それが、詳しくは知りません。というのも、コレクションをみだりに調べたりはしませんでしたので……。ただ、秘蔵の品々は趣味で集めた骨董品と、代々受け継がれた品々と大別できますわ」


ルルン:少し困った顔をしながら、どんなものかわからないと探せない……と悩みます。


ミミ:「ただ今回の依頼は、あくまでもその羊皮紙ということですね」


GM/ウェンディ:「そうですわ。盗まれた物は、巻かれた羊皮紙に見慣れない封蝋がされたものです。おそらく、魔法による封蝋だったのではないかと。父も開けて中身を見ていませんでしたわ」


ミミ:まぁ何かの機密文書・告発文書の類と見た。


ルルン:気になる!と興味ががぜん沸いてきます。


アルフレッド:魔法の封蝋……?


GM:はい。アイテムによるものか、魔法によるものかは分かりませんが、誰でも自由に中を見れないよう封蝋がされているようです。


アルフレッド:それを解除するには魔力か何かが必要という事か?


GM:こういったものを解呪する魔法もありますね。もしくは、正しい手順……例えばこの羊皮紙を読ませたい人にしか開けられない仕組みの魔法かアイテムによる封蝋だとか。ここでは断定出来ませんが、その辺りを想像しても構いません。また、夜勤のメイドに関してはウェンディの横の部屋で寝泊まりしていて、一緒に人影を見ています。アリバイがあり、余計な登場人物が増えると混乱するので、今回は無関係の人として扱います。なので、昼には居ませんが探して話を聞く必要もございません。


ルカ:「今回の件、お父様はご存じないということでしょうか。依頼の内容的にも、お父様にお話を聞くことが恐らく一番早く解決につながると思います」


ミミ:「正論だねぇ(小声)」


GM/ウェンディ:「……あの、おっしゃる通りですわね。ですが、父のお耳には入れないで下さいませんか?」


GM:と、ウェンディは切に申し出ます。


ミミ:「理由をお聞きしても?」


GM/ウェンディ:「それが、信じてもらいにくいかもしれませんので申し上げにくかったのです。単に、父の心労を考えての事ですの」


ミミ:「ええ、とても素晴らしいことですわね」


ルカ:「お父様想いなのですね」


アルフレッド:「ハミルトンにはバレずに羊皮紙を取り返さなきゃならんわけだ」


ルカ:「わかりました。この件はお父様には内密に調査させていただきますね。良い子だなぁ……」


GM:お父様想いと言われるならば、とても喜びます。そしてアルフレッドの気重なセリフにも、申し訳なさそうに頷きます。


GM/ウェンディ:「父は普段、家を留守にしております。仕事上、あちこちに出払っておりますわ いつも疲れながら、一人にしがちなわたくしの事すらも気を遣ってくれる父の事が心配で……。泥棒が入っただなんて知ったら、きっと3日後に控えたヒスダリアでの用事にも影響があるかと……」


ルカ:「なるほど。それでは事件当日も家にいらっしゃらなかったということですね」


GM/ウェンディ:「ええ。明日の正午には戻ってきますが、昨晩も不在でした」


ルルン:「一人で寂しくない?」と悲しそうに聞きます。


GM/ウェンディ:「こう言ってしまうと、弱音になりますが……とても寂しいです」


GM:ウェンディは初めて、俯きながらか細い声になりますね。


ルルン:愛情をいっぱい受けて育ったルルンはすごく悲しそうな顔をしながらうんうんとうなずきます。


ミミ:「その羊皮紙を盗んだ人影の特徴はお分かりになりますか?」


GM/ウェンディ:「……夜で暗かった事、あと……怖かったのでよく見てませんでした」


ミミ:なるほど。


ルカ:「お一人で心細かったでしょう。ウェンディ様がご無事で良かったです」


ミミ:「では、今朝のお屋敷の様子は? 窓が割られていたとか、どこかの鍵がかかっていなかったとか」


GM:ウェンディは首を横に振っています。何も異常はありません。


ミミ:ぶっちゃけ、その人影はハミルトン本人の可能性もある。


ルカ:「何か痕跡が残されているかもしれませんし、できれば一度屋敷の中を見ておきたいですね」


GM/ウェンディ:「ええ、わたくしのお屋敷は調べて下さって結構です」


ルルン:「あとおうちに事件があった夜のとき、ウェンディさん以外の人はいましたか?」

GM/ウェンディ:「昨晩は、私兵の門番さんと、夜勤のメイドさんがいらっしゃいました。因みに、すぐメイドさんに申し付けて、こちらのギルド支部へ依頼に行く旨のアポイントメントを届けさせましたのよ」


GM:ウェンディは冒険者ギルドの事について無知だったようで、アポイントメントを取らないといけないと考えたようですね。だからメイドに手紙を届けさせたようです。


ルルン:「メイドさんと門番さんは1人?」こういうのは身内を疑うのが常識だ。


GM/ウェンディ:「ええ、一人です」


アルフレッド:「そのメイドや門番が直近で不用意に書斎に近づいたりはないか?怪しい行動をしていたとか」


GM/ウェンディ:「……すみません、使用人の様子までははっきりと観察しておりませんでしたわ」


ミミ:「少し、情報を整理させていただきます。まず、事件当日夜ですが、ウェンディ様はお父様の書斎から人が出ていかれるのを確認したと。その時に、その人影が羊皮紙や宝石が持っているのを確認はされましたか?」


GM:ウェンディは首を横に振ります。


ミミ:「では、ウェンディ様が隠し部屋の羊皮紙が無いことを確認したのは何時でしょうか?」


GM/ウェンディ:「その直後に、ですわ。部屋が荒らされた様子がなかったので、もしやと思い隠し部屋に」


ミミ:「把握いたしました、ありがとうございます。ウェンディ様(笑顔)」


ルカ:「夜で暗かったと仰っていましたね。明かりは付いていなかったということでしょうか」


GM/ウェンディ:「ええ、最低限の魔動ランプしかありませんでしたので。あと、何分恐れていましたから」


ルカ:暗視持ちの可能性もありますね……。


ミミ:「それと、お父様を恨んでいるであろう人物に、心当たりは?」


GM:ウェンディは少し熱のこもった返し方で話します。


GM/ウェンディ:「父に限って、そのようなことはありません! 感謝されこそすれ、恨まれるような事などございませんわ!」


ルルン:びっくりします。でもハミルトンさんに知らせないようにって依頼人の言ってることを酌まないと冒険者としてだめだよなぁ。


アルフレッド:「ほっほっほ ウェンディはハミルトンが大好きなんじゃのぅ その心にわしは満足じゃ」


GM/ウェンディ:「……そ、それ程でも。」


ミミ:「あら、これは失礼を致しました。ではウェンディ様、ビジネスの話をしましょうか」


GM/ウェンディ:「ビジネスの話……報酬ですね」


ミミ:「ええ、我々も慈善事業で行っているわけではございませんから」


ルカ:ミミさん……。


ミミ:……(ニコリ)


GM/ウェンディ:「当然ですわね。用意していますわよ」


GM:と言って、ガメル袋を取り出します。中身を見るに、いささか報酬としては物足りませんが。


GM/ウェンディ:「ここにあるガメルに加えて、皆さんが成功なされば、貴金属を屑鉄町駅か、ガグホーゲン駅辺りで売り払います。それであれば……一人当たり1000G程ご用意出来ます」


GM:父から与えられた、自由にしていいガメルと自身が買い与えられた宝飾品があるので1000Gの用意となります。


ミミ:「まぁ、妥当ですわね」 私的にこの報酬額自体に不満はなし。


ルカ:少女のポケットマネー4000ガメル……。


ミミ:さすがボンボンだぜぇ。


GM:全てポケットマネーではありませんがね。貴金属を売り払ってますし。また、万が一危険手当が出るような相手と戦闘になったりしたならば、マクネルがウェンディに同情的なのでギルドの支援金で残りはカバーするとします。


GM:皆さん程の冒険者を雇うには少し足りませんが、依頼の内容からすればあり得なくもない報酬です。


ルルン: 現場検証だ。


ルカ:それだけいただければ十分ですね。寧ろ心配 4人分の報酬は多額すぎます。ですがお金の心配するのは失礼だと思うので……。僕のお財布の中身0ガメルですし。


ルルン:ルルンは頷きます。さっきクレープ食べちゃったからなぁ。


ルカ:面目ないです……。


ルルン:また一緒に食べようね……。


ルカ:は、はい……!


GM:ウェンディはキリっとしてます。ビジネス~って感じですよ。


ミミ:ふふ、とキリッとするウェンディを見て。


GM:という訳で期限は、父が帰ってくる明日の正午まで。報酬は一人当たり1000G+危険手当。


ミミ:「では、ひとまずウェンディ様のお屋敷に伺わせていただきますわね」ところでGM、これウェンディはずっとついてくるの?


GM:ついてきますねー ただ屋敷までです。


ミミ:了解。はやく煙草を吸わせてくれ


ルカ:「では案内をお願いします」


GM/ウェンディ:「分かりましたわ。ご案内します」


アルフレッド:「わしら探偵団にでもなった気分じゃのぅ」


GM:お気づきになられましたか。そう、これはシティアドベンチャーと呼ばれる類のシナリオです。キングスフォールを舞台に、依頼を解決しに奔走する事でしょう。


ダンジョンモノやウィルダネス等、様々なシナリオタイプがありますが、今回は冒険者達のロールプレイや性格、考え方を見てみたかった為、このようなシナリオに。キャンペーンなのでこのようなシナリオが1話くらいあってもよいでしょう。

こうして、冒険者達は依頼内容を聞き、動き始める。羊皮紙とやらはどこへ……そして盗まれた理由とは? 今、静かに冒険が幕を開ける。

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