第2話 天使がいました
時は流れて現在。大学生になった俺は、これからの新生活に胸を弾ませていた。
あれから俺は狂ったように勉強に打ち込むようになり、この辺りでは一番有名な大学に無事現役で合格することができた。
女の子がたくさんいる大学では、俺の理想とする女の子がいるに違いない。
あんなつらいことがあったのだから、これからの俺の未来には光があふれているはずだ。
そんなふうに思って入学式を終えてから数日後、俺はついに見つけてしまった。
さらりと長い髪に肌の露出の少ない清楚な格好。
はち切れんばかりの大きなおっぱいを衆目に公開せずしっかりと衣服で隠し、落ち着いた
同じ講義に出ていた彼女は出席確認でそう呼ばれていた。
入学した年度が記載されている学籍番号を見るに、どうやら彼女はひとつ上の学年のようだ。
だが、俺はすぐに警戒を解かなかった。見た目はパーフェクトだが、男と遊びまくっているような女である可能性もある。
そんなことを考えてしばらく観察していたのだが、彼女はその
これが、身持ちの固さの証明であることは言うまでもないだろう。
特に、常に女に囲まれてちやほやされている
『僕と一緒に遊びに行かないか?』
というお誘いを
『予定があるの』
という一言であっさりと撃退したその美しく誇り高い姿に、俺の好感度は天井を突破して宇宙の彼方まで跳ね上がった。
誘いを断られるとは
彼女こそ、俺が思い描いていた理想の女の子であることは疑いようがなかった。
しかし、このままでは俺も彼女とお近づきになるなんて夢のまた夢である。
たとえ俺が彼女を遊びに誘ったとしても、今まで散っていった男たちと同じように断られるだけだろう。
彼女とは少しずつ段取りを踏んで仲良くなっていく必要があった。
だが、そもそも女の子に自分から話しかけていくなんて、シャイで繊細な俺にはハードルが高すぎるのだ。
俺はなかなか勇気を出すことができず、一ヶ月ものあいだ彼女に声をかけあぐねていた。
そんなある日、俺にまたとないチャンスが訪れた。
たまたま取っていた講義で、彼女が隣の席に座ってきたのだ。
それだけではなく、彼女は講義に使う教科書を忘れてきてしまったらしく、困ったようにきょろきょろと周囲を見回していた。
ここで、よかったら一緒に見る? なんてさわやかに話しかけながら教科書を共有できればそれが一番よかったのだけど、女の子に対して
何やってんだよ俺! いきなり無言で目の前に教科書を置かれても困るだろうよ! ほら、彼女も俺の方を見て驚いた顔してるし!
心の中でそうやって自分に突っ込みを入れまくっていたのだが、そんな俺に彼女は優しく笑いかけてくれたのである。
「ありがとう、助けてくれて。えっと、あなたの名前を教えてもらってもいいかな?」
なんて優しいんだ、天使がここにいた。
「お、おおお俺、
「よろしくね、入之波くん。私は
こうして俺たちは知り合いになることができたのだった。
今後はもっとお近づきになれたらいいなと思って、来週の授業が楽しみで仕方ない俺だった。
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