第24話 帝国五聖 シルヴィア



大会議の翌日


俺はまさかの宮殿内にある謁見の間に呼ばれていた・・・




膝をつき こうべを垂れる そして王座にその女性は座り


「面を上げよ」と言う


顔を上げると この国の皇帝『リエナ・エイルラント』が凛々しく堂々と王座からゼオンを見下ろしていた




「前日の大会議での発言 見事であったぞ! 魔族撃滅を掲げていた我もお前の言葉に感銘を受けた! 確かに我はあのまま父や教皇の教えに従っていれば、虐殺の暴君として後世に伝わっていたかもしれん! 改めて礼を言うぞ ゼオン!」



「はっ! ありがたき言葉 感謝いたします!」



「・・・・・・」





リエナ「これでもう終わりだが、まだ帰らぬであろう?


それならば・・・」



?「リエナ様 また彼を稽古に付き合わせるのですか?」


控えていた家臣らしき女性が言う



リエナ「よ よいではないか! 部下が育てば帝国は安寧だろうに!」



?「彼 1人を育てるのもどうかと思いますよ もっと鍛えるべき人材はいますのに」



「うーー 我についてこれるのがゼオン以外に見つからぬ! こうなったら皇帝命令だ! ゼオン今すぐ鍛練場に向かうぞ!」 駄々を言い出すリエナ



?「ふうー 命令とは卑怯ですね わかりました お付き合いいたします」



リエナ「ふふ そうこなくてはなぁ シルヴィア」
















リエナと稽古をする時は必ず帝国五聖の1人 シルヴィアさんが立会人とリエナの護衛でついてくるため


3人で鍛練場にいることが多い



今日も稽古をつけてもらったが、やはり 強い 「はぁ・・はぁ・・」と息が荒くなる



「どうぞ お水よ」シルヴィアさんが水をくれる



「あ ありがとうございます!」


水の入った容器を受け取り 飲む




シルヴィア「よく リエナ様 相手に動けますね」


ゼオン「ギリギリなんとかですよ」


シルヴィア「普通なんとかできませんよ あのリエナ様は普通の皇帝ではないお方ですから」


ゼオン「確かにそうですね」


シルヴィア「・・・・・・」


「前にも言いましたが あなたがリエナ様に仇なす者なら私は容赦しませんから 私はリエナ様の盾ですからまだあなたのこと完全に信用してませんから・・・」



優しいと思ったら釘を刺された感じになる


そう シルヴィアさんは皇帝の盾と言われ リエナの護衛を担う人で最近 稽古をやり始めた俺のことを警戒しているみたいだ





リエナ「まだ そんなことを考えているのか シルヴィア? 安心しろ ゼオンは普通の奴とは違う 強いが私を暗殺できるような者でもない」



シルヴィア「普通ではないから 信用できませんね」



「「「・・・・・・」」」 3人とも黙る




ポン! 手をたたき何か閃くリエナ



リエナ「そうだ! シルヴィアも稽古に付き合え!


友情とは拳と拳のぶつかり合いと極東の大和ヤマトにも言い伝えがあるからな」



突然の提案に「何を言い出すのですか? リエナ様」



リエナ「まだ信用できぬのなら 拳で語れ 言い伝え通り ゼオンの拳をお前の盾で受け止めてみるのだ!


これは皇帝命令である!」



シルヴィア「まったく また命令ですか・・・」


呆れるシルヴィアさんだが「承知しました」と快諾する



ゼオン「本当にやるんですか?」


シルヴィア「ええ 皇帝からの命令ですもの」









シルヴィアさんは身の丈ほどある盾を構える


対する俺もグッと拳を握り 構える



リエナ「それでは両者 はじめ!!」



その合図とともにシルヴィアさんに迫り パンチを放つ


盾に当てるつもりで打ち込む バン!と防ぐ


鎧のゴーレムより硬い!?


信じられない強度に驚くも攻撃を続け【ヒートアップ】する



ガン!ガン!ガン!ガン! 金属と金属がぶつかり合い音が響く・・・


攻撃を受け止めるシルヴィアはびくともせず、凛々しい顔を保っている


ゼオンは必死に攻撃を続け ついに発火イグニッションする 「こっからだ!」と心の中で叫び 炎のラッシュを盾に集中砲火する



だが、それでもシルヴィアは後ずさりせず 同じ位置に立ち続けていた


マジか? 自分の全力状態が効かない?



シルヴィア「その程度なの? あなたの力は?」


挑発するシルヴィア


「帝国五聖 舐めない方がいいわよ!」





確かに強い!一切通じないということは相手にとって1番厄介だ!本当に手のうちようがない!・・・・・・



ん?待てよ?



攻撃を止め 鍛練場の端まで移動する


リエナとシルヴィアは分からず、首を傾げる




すると 猛ダッシュで走り出すゼオン


そのままの勢いで飛び込み蹴りをシルヴィアの盾に当てる



手のうちようがないなら足を使え!そんな考えでスピード+火力を合わせた飛び蹴りを放つ


それは予想外のパワーとなり シルヴィアを後ずさりさせる衝撃を生む




決まったゼオンは「帝国 特殊部隊デミナス 舐めない方がいいッスよ!」挑発返しをする




「うふふふ どうやらそうみたいね」シルヴィアは微笑む



リエナ「もうよいな! 両者 そこまで!」
















信用を確かめる稽古は無事に終わり 両者握手する



「あなたは本気で挑む姿勢 心構えは確かに本物でした


よってあなたを信じてみます 裏切ったら容赦しませんが」優しいのか厳しいのか分からない人 それがシルヴィアさんだと理解するゼオン



「こちらこそありが・・・」お礼を言おうした瞬間


蹴った右足が疲労でつまづき 前のめりにシルヴィアも巻き込んで転倒する



「うわっ!」


「きゃあ!」




「2人ともなにして・・・」リエナは近づくと









ゼオンがシルヴィアを押し倒す態勢となり ゼオンの左手が彼女の胸に当たっていた 幸い鎧を着ており両者感触はないが2人とも顔が赤くなり すぐに離れる




リエナ「き 貴様何をしている!?」胸ぐらを掴み怒る



「すいません!わざとじゃないんです!」弁解するゼオン



シルヴィアは「嘘? こんなこと・・・」と意味深なこと言う




その後 30分以上かけて2人に謝り続けたゼオンだった














夜 シルヴィアは自室に戻り 机の引き出しを開ける


中から「禁書」と書かれた一冊の本を出し パラパラとめくり あるページを見つける。



それは今日 起きた場面と同じ 男が女を押し倒して胸を揉んでる絵だった・・・


絵の女は「あ~ん」と言っている


自分は手を置かれただけしかも鎧越しで感触も分からない


もし実際に揉まれていたら自分も「あ~ん」と言ってしまうのか



「ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・」興奮した様子で禁書を見て思う



今までこんなこと起きなかったけど、彼は起こしてしまった・・・



シルヴィアは禁書を読み漁り 妄想してしまう


彼ならこの絵と同じ状況を作れてしまうのではないかと・・・



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