五聖共鳴篇

第22話 ルピスの過去



今日は珍しく任務もなく、非番を言い渡された・・・



となればルピスさんと子供たちの教会へ行こう!


週一または非番の日は基本 教会に帰り 子供たちの相手をしていたから今日も帰ろうと・・・




帝都から下町へ そして下町の奥にある教会に着く


「あ! ゼオンお兄ちゃんおかえり!」やはり一番早く俺に気づくのはペティだった


抱きつきスリスリする「ニヒヒヒ」と笑う


「ただいま」とペティに言う



ルピスさんと子供たちが来て「おかえりなさい」


「遊ぼう!」「抱っこ!」「かくれんぼ!」など要求が多いが一つ一つ順番に遊んであげる




お昼ご飯を食べて みんな眠くなったのかお昼寝タイムになる


起きているのは俺とルピスさんだけになる・・・





俺は今まで聞かなかったルピスさん自身について聞いてみた


「ルピスさんってなんで孤児院を始めようと思ったんですか?」


「・・・」ルピスさんは少し考え


ルピス「私は罪に気付いてしまった女なのです・・」


ゼオン「罪?ですか?」


ルピス「私が元 帝国五聖なのは承知ですわよね?」


ゼオン「はい ガルベドさんから聞きました」



ルピス「そう 私はシスターになる前は帝国の騎士でした 数多くの魔族を屠ってきた私はいつしか五聖に任命され、さらに多くの魔族をこの手で仕留めてきました


帝国の教会『聖十字教』の教えは魔族は絶対悪 滅びるべき野蛮な悪魔たちという神の啓示があると言い、それを信じて戦っていました



そんなある日 暗黒大陸へ進軍し 1つの村を襲撃しました 始めは命令通り魔族を討伐していましたが 1人の魔族のこどもが親らしき死体に涙を流していました その親は私がこの手で殺したことに気づきました


さらにそのこどもを殺すように命令を出す上層部



魔族は討つべき敵 その考えに私は疑問を抱くようになりました 魔族にも家族がいること涙を流す 我々と変わらないのではないかと『聖十字教会』に問い合わせても答えは同じ私はなにが正しいのか分からなくなったのです。


やがて 私は魔族を討てなくなり 自ら五聖の座を降りました



その後は元々この教会の神父様と知り合いでシスターにしてもらい罪滅ぼしをしよう考え 戦争孤児たちを受け入れることにしました」




ゼオン「それが始まりだったんですね でも神父様は・・・」


ルピス「はい 数年前にお亡くなりになりました」


ゼオン「それからは1人で?」


ルピス「ええ でもこの子たちを放ってはおけませんから





ゼオン「俺!子供たちも大切だけど ルピスさんも大切な家族ですから 1人で背負おうとしないでください 俺も一緒に守りますから」力強くルピスに言う


ルピス「んふふふ ありがとう」笑顔で答えてくれる




ルピスは夜叉掃討作戦の夜のことを思い出す


「旦那様いるってこんな感じなのかしら」


その思いが再び蘇り 頬が赤くなる




一方 寝ているペティは寝言で


「ニヒヒヒ お兄ちゃん大好き」と言い夢の中でもゼオンのことを考えていたのかもしれない・・・





























登場人物 紹介 教会の孤児院篇



『ルピス』


帝国の下町にある小さな教会兼孤児院を営むシスター。元 帝国騎士で五聖にまで登り詰めた過去があったが、罪のない魔族の子供まで討伐する指示を出す上層部や教会に嫌気がさして騎士を引退し、帝都から離れた教会で孤児院を開き 身寄りのない子供たちを世話している。治癒魔法と支援魔法が得意で町では聖女様と呼ばれている。心優しく、包容力のあるお姉さんキャラ




『ペティ』


ゼオンが最初に人さらいから助けた少女


孤児院の子供たちでは年齢が少し上で下の子の面倒も見たりする 助けてくれたゼオンに一番早く懐き 帰ると一番早く気付く 子供の年齢ですでに将来の夢はゼオンのお嫁さんと豪語している




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