第30話恋の策謀事件3
翌日の図画の授業ではムシーケ先生が生徒達に壁画を見せてに外へ連れて行ってくれた。
「これは二秘儀の壁画工ウ紀元前ー世紀ボンペイ秘鱧荘リ少の秘腕の壁画なのです。トリクリニウムをぐるりと囲む連続したひとつの物語として描かれているわ。現在は儀式の一連の流れを描いたものとする説カ晴力です。」
先生が丁寧に説明してくれた。するとそこにウンディーネがすかさず質問してきた。
「ムシーケ先生、描かれている女性は誰なのですか?」
「そうですね、彼女は『秘儀荘の美人』と呼ばれていた方なのです。でも、ごめんなさいね。詳しいことはわかっていないの。」
先生がため息をついたのを見てディオが首をかしげた。
その絵には頭巾をかぶった横顔の女性とその下に裸の子供が何かの紙を手にしています。そして子供の右上に『秘儀荘の美人』と呼ばれている女の人がいた。ディオはこの壁画を見て感じることが沢山あった。2人の女性が互を見合っているようにも見えたし2人から冷たい空気が感じられた。先生曰く”深遠表情が見る者を捉える女性”だとのことだった。
「僕のお母さん?」
ディオがそう呟いているとケンタウロスがディオに話しかけてきた。
「あの壁画の女性がディオのお母さん?」
「多分そうだと思う。でも僕にはお母さんとの良い思い出はあまりなかったからな。」
ディオがため息をついた。
「でも、僕は羨ましいけどな。」
「え?」
「だって僕のお母さんは誰かわからないから。いつか探して会ってみたいんだ。たとえ悲しい知らせが来てもちゃんと受け止める覚悟を決めないといけないからね。」
ケンタウロスはこの時のディオが少し輝いているように感じた。
図画の授業が終盤に近づいた頃ヘファイストスはアフロディティーの様子を見ていた。彼女は課外授業をいいことにキューピッドにぴったりと離れなかった。
「授業中はよせよ。」
ヘファイストスが小声で2人に言うと思わぬ言葉が返ってきた。
「芸術は共有して感じるものでしょう?」
アフロディティーがくすっと笑ったのでヘファイストスは返す言葉がなく黙っているしかなかった。
ヘファイストスはこの野外授業で感じるものがあった。彼は生まれた時に両足の曲がった醜い奇形児であった。これに怒った彼の母親ヘーラーは、生まれたばかりのわが子を天から海に投げ落とした。その後、ヘーパイストスは海の女神テティスとエウリュノメーに拾われ、9年の間育てられた後、天に帰ったという。あるいはヘーラクレースが乗る船を嵐で目的地よりかなり離れたコス島に漂流させて彼を妨害した為、ゼウスから罰せられそうになったヘーラーをかばおうとしたためにゼウスに地上へ投げ落され、1日かかってレームノス島に落ち、シンティエス人に助けられたといわれており、この時に足が不自由になったとされる。なので今でも彼の足は少し曲がっている。
「いつか海の女神テティスとエウリュノメーに育ててくれた感謝を言わなくっちゃね。そのためには彼女たちを探さなきゃいけないな。」
テティスとエウリュノメーは今頃どうしているんどうしているのだろうか?
この間の図画授業で”シンティエス人”について教わった。シンティエス人と聞いたときどこかで聞いたことがあったが思い出せずにいた。彼らは一体何者なのか?調べるのはまたの機会にしようとヘファイストスは考え込んでいた。
授業が終わり放課後になった。この日もキューピットとアフロディティーは屋上にいた。
「デートって言っても学校の中じゃ行く所も限られてるわよね。」
アフロディティーがため息をついた。
「だからこそ2人だけの秘密の場所を見つけようよ。」
「あなたは空が飛べるからいいんでしょうけど私には無理だわ。」
アフロディティーはキューピットを羨ましく思っていた。
「そんなことないって。空を飛ぶのも怖いもんだよ?」
キューピットはニッコリして彼女を抱き寄せた。
「そうなのかしらね?」
2人は嬉しそうに笑い合っている。
その時ちょうどヘファイストスが屋上にやってきた。
「とんでもないものを見ちまったな。」
「何だ、ヘファイストスじゃないか。とんでもないものってなんだよ?」
そこにキューピットが彼に駆け寄った。
「俺は邪魔者みたいだから帰るわ。そんじゃあな。」
ヘファイストスは呆れたように階段を下りていった。
「ちょっと。」
キューピットは彼を追いかけようとしたがアフロディテがそれを止めたのでやめることにした。
「それくらいにしたら。もういいでしょう?」
「うん。」
「早く続きは?」
アフロディティーがキューピットに続きを促したが、キューピットはヘファイストスの言った”邪魔者”という言葉が心のどこかに引っかかっていた。
その時突然雨が降り始め2人は屋上を出て階段を下りて学校の中に入っていった。
「なんで、こんな時にに雨なんか降るのよ。」
アフロディティーは文句を言っていたけれどキューピットはこれでよかったんだとほっとした。ヘファイストスの言葉が気に掛かり続きどころじゃなかったからだ。
「仕方ないよ。続きはまた今度な。」
キューピットは彼女にそう言い聞かせて急いで階段を降りて行った。
「待ってよ。」
彼女の声が階段から遠くに響いていた。
雨が降ると学校の中は潤いが増したようにキラキラしていた。
夕食の時間ケンタウロスはマールスを交えてガイア、ウンディーネ、ディオとユニと食事をしていた。
「アフロディティーはたぶん来ないわね。」
ウンディーネが席にどさっと座った。
「だろうな。」
これに関してはみんな察しがついていた。きっと彼女はキューピットと食事をするだろうと思ったからだ。
「それにしてもヘファイストスの姿が見えないな。」
ケンタウロスが不思議に思っているとユニが”ヘルメス”も見かけないけどな、と言葉を付け足した。
「他のやつと食べてるんだろう。こっちはこっちで食べようぜ。」
マールスの言葉にみんな頷いて話しながら食べた。
今日のメニューは
★麦を挽いて作ったパン(アルトス)
★魚の串焼き(ヤリイカ、コウイカ、うなぎ)
★野菜たっぷりサラダ(キャベツ、アスパラガス、ニンジン、カラシナ、セロリ、きゅうり)
★レンズ豆のスープ
★デザート(ぶどう)
さて、話に戻りますがケンタウロス達は食べながら話しておりましたね。
「そういえばこの間の図画の野外授業でディオがやけに感心して絵を見ていたけれど何かあったの?」
ウンディーネがイカにかぶりついて言った。
「ああ、先生に紹介された絵があまりにも僕のお母さんに似てたんでね。」
ディオは笑顔で答えた。
「あの、女の人と子供の絵よね?」
ガイアが驚きの表情をした。
「そうだよ。」
ディオが頷いた。
そんな話をしているとみんなの両親はどんな人だったのかの話で盛り上がった。
「私には両親がいないみたい。神々が生まれる以前、宇宙には何もないカオス(混沌)が広がっていたんですって。そこに私が生まれたとされるそうよ。私の住んでいた土地のおじいさんがそう話してくれたわ。」
ガイアはため息をついていた。
「カオスが広がってどうやってガイアが産まれてきたんだろう?」
マールスが興味津津に聞いてきた。
「だからカオスから生まれたのよ。カオスは原初神として有名な方よ。。『大口を開けた』『空(から)の空間』の意味よ。オルフェウスによれば、このカオスは有限なる存在全てを超越する無限を象徴しているということよ。」
ガイアはみんなに説明しながらスープを飲んだ。
「なるほどね。」
みんなが頷いた。
「それでマールスの両親はどんな人だったの?」
ウンディーネがわくわくしてマールスに聞いた。
「その話の前に最初に言っておくけどアーレスとは違う人だからな。あいつは疫病神のように思われて全く良い神話のないって言われてるのさ。それに対して勇敢な戦士、青年の理想像として慕われるだろうって預言者が僕の事をそう言ったのさ。」
マールスがみんなに話すとみんなは驚いていた。
「予言者って誰?」
「知らないよ。噂で聞いただけだからな。それから両親のことだけ僕の母親が上賀茂の女王ユーノーってことがわかったのさ。神々の女王ユーノーは、夫のユーピテルが自分でミネルウァを産んだために正妻としての面目を失った。そこでこれに対抗して、自分も一人で立派な子をもうけようと旅に出、フローラのもとを訪れたのだという話を聞かされたよ。そこでフローラは、触れた女が自然に子を身籠もる魔法の花を与えた。これによってユーノーは、ミネルウァに負けない戦士神の僕を産んだということさ。」
「ええ?ってことはマールスは王子様にもなるわね。すごいなあ。」
ガイアが感心して言った。
「いや、僕の母親はもともとは結婚生活を守護する女神で、主に結婚、出産を司るんだ。また、女性の守護神であるため月とも関係があるとも言われてるよ。」
それからケンタウロスも両親について聞かれたがわからないと首を横に振った。
「それは残念だな。学校卒業するまでに見つかってるといいな。」
ユニやみんなが励ましてくれたのでケンタウロスは嬉しさのあまりしばらくぼおとしていた。
食事しながらの話の中でウンディーネやユニの誕生や両親についてが曖昧でわからないと言っていた。
「僕と同じ環境の人もいるんだなあ。」
ケンタウロスはそう呟いた。
しばらくして食事が終えるとみんなで片付けてそれぞれ寮へ戻って行った。
ケンタウロスは寮に戻る途中にヘファイストスを見かけた。
「すみません。」
ヘファイストスは誰かに謝っていた。
「誰だろう??」
ケンタウロスはヘファイストスが誰と会っているのか気になったのだ。ケンタウロスは気になる衝動にかられ、おそるおそるヘファイストスのいる方へ近づいて見た。
「え?」
ケンタウロスは何を見ているのかと我が身を疑った。
そこには体がぐにゃぐにゃの塊のようなものがヘファイストスの前にそびえ立っていた。
「あれは何?」
ケンタウロスが驚いていると誰かの声がした。
「アキレーだよ。」
「何だって?」
ケンタウロスが後ろを振り向いて見たが誰もいなかった。
「そういえば聖なる書の時も誰かがデマゴーグの名前を教えてくれたけど誰だったのかな?」
とにかくアキレーとは誰なのか知りたくなったケンタウロスは明日みんなにこのことを話すことにした。
次の日早速みんなに昨日のことを報告した。そして放課後に図書館に集まって調べることにした。しかしユニは用事があるからと行けず集まったのはケンタウロス、ウンディーネ、ディオ、ガイア、マールスだけだった。
「昨日本当に見たんだろうな?」
ディオがケンタウロスを疑った。
「本当だってば。」
ケンタウロスは言い返した。
「でもデマゴーグの時だってケンタウロスの一言でディオが思い出したわけだし。今回だって信じてあげましょう。ここで喧嘩していても何も始まらないわよ。」
ウンディーネの言葉にみんなは気合を入れてアキレーについていろんな本を開いて探した。しばらくするとガイアが声を上げたのでみんなはガイアの方へ駆け寄った。
「このページにアキレーについて詳しく書いてあるわ。」
「何だって?」
ガイアはそしてこう続けた。
「アキレーは ”先代悪魔狩りが仕損じた数少ない悪魔の1人。エイラ太公お抱えの拷問吏として『虐殺の道化師』と呼ばれている。体を自由自在に変形でき、魔法も効きにくい体質をしている。”だって。」
「悪魔狩りってなあに?」
ガイアが読み終えた所でみんなに聞いた。するとマールスが詳しく話してくれた。
「悪魔狩りには歴史があると言われている。なぜ行われていたかは定かではないんだよね。」
「うんうん。」
「悪魔狩りの最初の人物はウラノス=ティターン=ラージネスという方だと言われている。通称ウラノスだ。」
マールスが説明しているとウンディーネが言葉をつけ足した。
「ウラノスは天空神なのよ。全宇宙を最初に統べた原初の神々の王とされるわ。果てしなく巨大な体躯を持ち、無数の銀河系が散りばめられた宇宙を常に身に纏っていると言われているの。」
「さすが!ウンディーネだね。ウラノスが悪魔狩りを始めた訳だけど何故始めたのかは、はっきりした答えがないんだよね。それから彼に続き悪魔狩りは広まって行ったんだ。さっき調べたアキーレもその中の1人だね。アキーレはエイラ太公お抱えの拷問吏として『虐殺の道化師』と呼ばれていたからね。そしてアラマール&カイニス兄弟も有名だね。彼らは闇の眷属として冠翼の聖天使・ガブリエルを崇めていた伯爵兄弟だね。おそらく、もとは人間だったがガブリエルに力を与えられて2人とも悪魔に転生したと思われているんだ。」
マールスは本のページをめくりながらみんなに説明した。
「虐殺の道化師ってことは?むごい方法で殺すエキスパートってこと?」
ケンタウロスが驚いてマールスに聞いた。
「まあ、そんなところかな。」
マールスは相づちを打った。
「こうして見ると悪魔狩りの重要な人物がいるよね。誰かわかるかい?」
「ガブリエル!?」
ディオがすかさず答えた。
「その通りだね。ウリエルという唯一女性の冠翼の聖天使さえもガブリエルの力に及ばなかったっていうんだから相当な力のある方なんだろうね。それからさっきも話したアラマール&カイニス兄弟もガブリエルに力を与えられて悪魔になったんだよな。ということは彼女はそれだけ何かの魅力があり才能が人を導く才能があるんだろうな。」
マールスが頷いた。
「エイラ太公も彼女によって復活しているわ。本当にすごい人なのね。」
ウンディーネが目を輝かせて言った。
こうして悪魔について調べていると思いがけない方の名前が目に入った。
「エリゴス=ハウラー?あのうちの学校にいるワル3人の中のエリゴス?」
こっこれは一体??ウンディーネは不思議そうに書かれた名前をじっと見つめていた。
そこにはこう書かれていた。
『 教会の退魔竜騎兵の団長。ラファエルの父ではあるが、ラファエルとは血がつながっていなく、孤児となったラファエルを引きとって育てた。また、ラファエルの本当の両親を殺した張本人でもある。ミカエルとの戦いで右腕を失ったが、サミジナの接合手術でどうにか動かせるまでには回復した。』
「どういうこと?」
みんなが目を疑った。その時、エリゴスが図書館にやって来た。
「あれ?アマイモンとサタンは?」
ガイアがエリゴスを見て驚いた。いつも3人でつるんでいるのに今日は1人だったからだ。
「なんだよ。本を返しにきちゃいけないのかよ。」
エリゴスは不機嫌そうに言って本を返却カウンターの上に置いた。
「ごめん、ちょっとびっくりしただけよ。それより聞きたいことがあるんだけど。」
ガイアがエリゴスの前に立った。真剣な目でエリゴスを見ていると彼の細長い顔立ちがよくわかった。
「なんだよ。気色悪いな。」
エリゴスは気味悪そうにガイアを見た。
「あなたの名前はエリゴス=ハウラーなの?」
「だからなんだって言うんだよ。」
エリゴスはそっけなく言葉を返した。
「本当なのかと聞いてるのよ。 教会の退魔竜騎兵の団長なのは本当なの?ラファエルの本当の両親を殺したんですってね。」
ガイアはエリゴスの肩をつかみ言い放った。
「落ち着けって。そうさ、俺の名はエリゴス=ハウラーさ。教会の退魔竜騎兵の団長なのは確かだ。でもラファエルの両親は殺してないぜ。」
エリゴスはヘラヘラしていた。
「でも悪魔狩り図鑑にはちゃんと載ってるんだぞ。」
そこにマールスがエリゴスに向かって走り本を見せた。
「どれ、見せてみろ!!」
エリゴスはマールスから本を奪い取るとそのページをじっくり読んだ。
「この本は真実と嘘が混じってるんだな。あんまり信用しない方がいいぞ。それに他の本も読んだのかよ。これだけに囚われてるからいけないんだって。」
エリゴスはそう言い残し去って行った。
「確かにそうだね。」
みんなは本を片付けて図書室を出た。
”もしかしたらサタンやアマイモンもあの本に載っていたのかなあ?”そう思ったケンタウロスは何だか不思議でならなかったのだ。
次の日もみんなで図書室に集まり昨日の本を読み返していた。
「もしかしたらアマイモンやサタンも昨日の本に載ってるんじゃないかしら?」
ウンディーネがみんなに確認しながら本のページをめくった。
「だといいけどね。」
マールスが頷いた。
みんなで手分けして探したが本に記載されていたのはエリゴスだけだった。
「エリゴスって悪魔の世界では有名なんだな。」
ケンタウロスはそう呟いた。
それから図書館に出たみんなはそれぞれの寮へ戻って行った。
ケンタウロスは夕食から寮に戻ってからもアキレーやアキレーのお抱え拷問使のエイラ太公について考えていた。
もしケンタウロスが見たのが本当だとしたらヘファイストスは何故彼に会わなければならなかったのか。彼に会って何を話していたのか・・・そこまで聞き出すには勇気がいるのでヘファイストスには直接聞くのはやめようとケンタウロスは心に秘めて布団にもぐった。今は就寝の時間だ。夕食や入浴はとっくに済ませあとは寝るだけ。
ケンタウロスは悪魔の歴史についてもっと知りたくなった。なので明日エリゴスに詳しく聞こうと思ったのだ。果たして上手く聞き出せるのだろうか?
次の日になった。ケンタウロスは着替えて寮のみんなと朝食を食べに広間へ向かった。広間に着くと既にたくさんの生徒達が集まっていた。
「ケンタウロス君、おはよう。」
ケンタウロスが声のする方を振り向くとアフロディティがにっこり挨拶してきた。
「おはよう。」
ケンタウロスも挨拶を返した。
アフロディティは今日はガイアとウンディーネと食事を取ることにすると笑顔で話してくれた。
「あれ?キューピッドとは食べないの?」
「流石にそこまでは無理よ。それに寮の女の子との関係も壊したくないしね。」
「なるほど。」
ケンタウロスはアフロディティと別れて寮のみんなと朝食を食べることにして席に着いた。すると、そこにちょうどワル3にがケンタウロス達の前を通り過ぎようとしていた。ケンタウロスがエリゴスに聞き出すのは今がチャンスだ。
「あの、エリゴスに聞きたい・・・。」
ケンタウロスはエリゴスに悪魔の歴史について聞こうと思ったがそれを遮られてしまい聞くチャンスを逃した。
「図太い奴らはせいぜい頑張るんだな。」
ワル3人はげらげら笑って去って行った。
1時間目の授業はプラトン先生による修辞学の授業だった。
「今日はイソクラテスについて学ぼうと思います。教科書の60ページを開いてください。」
先生の指示で生徒達が一斉に教科書を開いた。
「イソクラテスとはギリシャの修辞学者で、アッティカ十大雄弁家の一人です。イソクラテスは当時のギリシアで最も影響力のある修辞学者で、その授業や著作を通して修辞学と教育に多大な貢献をした人物ですね。」
プラトン先生が説明しているとウンディーネが質問をしてきた。
「先生、アッティカ十大雄弁家とはなんですか?」
「おっとウンディーネさんは鋭いですね。さて、先ほど質問にもあったアッティカ十大雄弁家ですが古典時代を代表する10人の雄弁家およびロゴグラポス(演説作家)たちのことを言うんですよ。ビュザンティオンのアリストファネスとサモトラケのアリスタルコスが編纂した『アレクサンドリアのカノーン(Canon alexandrin)』の中には、以下の10人が含まれていたのです。」
プラトン先生はそう説明すると黒板に字を書き足した。
1:アンティポン
2:アンドキデス
3:リュシアス
4:イソクラテス
5:イサイオス
6:アイスキネス
7:アテナイのリュクルゴス
8:デモステネス
9:ヒュペレイデス
10:ディナルコス
「こちらの10名ですね。今回はその中でもインソクラテスについて詳しく見ていきましょう。」
「はい。」
こうして授業が進む中一人、気まずそうな顔をしている生徒がいた。ヘファイストスです。ヘファイストスは何かを気にしているようだった。
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