第13話結末はいかに?

あれ?書がなくなってる?

ディオが叫んだのはしばらく経ってからだった。

「何だって?」

ケンタウロス達が耳を疑ったがそこにはあの書はなくなっていた。辺りを見回すとオリエンスがあの書を抱え走っていくのが見えた。

「くそ~待てよ。」

ディオが走ろうとしたが彼に追いつくはずはなかった。

そこでケンタウロスが自分に跨るようにディオに言った。

「ありがとう。」

ディオはケンタウロスにお礼を言って跨ると走り出した。

もう少しでオリエンスに追いつくところでケンタウロスとディオは悪魔達に囲まれてしまった。悪魔の中にはプギオと言う短剣やグラディウスという長い剣を持っている者もいた。ケンタウロスとディオは悪魔に囲まれ体が固まってしまった。すると一人の悪魔がケンタウロスの首に剣を構えてこう言った。

「お前達が死ねばあの書はこっちのもんだな。」

「どうしよう・・・僕達このまま死ぬのかな?」

ケンタウロスは額に汗を浮かべながら言った。

「そんなのやだよ。今までだってこうして冒険してきたじゃないか。」

2人はもうダメなのだと思い、目を瞑った。

と、その時だった。

「待ちなさい!」

どこからか声がしてケンタウロスとディオは目を開けた。

「ウンディーネ?」

そこには気絶したはずのウンディーネと彼女を抱えていたゴブリンの姿があった。

そしてウンディーネは勢いよく大量の水を吐いた。

「うわあああ~。」

ウンディーネの吐いた水はやがて川となり悪魔達を飲み込んだ。

「ウンディーネ!?気絶したんじゃあないのか?」

ディオが目を丸くして聞いた。

「ゴブリンが助けてくれたの。そんなことよりオリエンスを探しましょう。」

ウンディーネはケンタウロスに跨り、そのあとをゴブリンが追うようにオリエンスを追い求めた。

「あの書を持っているのがオリエンスと聞いたわ。彼はまだそんなに遠くへは行ってないはずよ。」

ウンディーネの言葉にみんなは頷いた。

そしてウンディーネが戻って来たことに気を良くした

ケンタウロスは勢いよく地面を蹴り駆けて行った。

 しばらく走ったケンタウロス達はとうとうオリエンスを見つけた。

「あなたが行っていることが何なのかわかってるでしょう?今すぐに書を返しなさい。」

ウンディーネがケンタウロスから降りてそう言った。

「お前達には絶対に渡さんぞ!そらデマゴーグ様のお出ましだ。」

「まだ生きてたのかよ!」

ディオは自分のかけた呪文でとっくにデマゴーグはやられたとばかり思っていた。

「君には散々な目にあったからなたっぷりしかえしはさせてもらうぞ。」

ディオもケンタウロスから降りてデマゴーグを睨みつけた。

「望むところだ。僕らが勝ったらその書を渡してもらおう。」

ディオが叫んだ。

「じゃあ負けたらどうするんだ?」

皮肉たっぷりにデマゴーグがディオに聞いた。

「僕らが負けたら好きにすればいいさ。」

「いいだろう!」

ケンタウロス、ディオ、ウンディーネはデマゴーグとオリエンスと戦った。弓のアルクスを使ったり、ピルムバタ(投げや)を使って攻撃を図った。

その様子をゴブリンは笑って見ていた。

「ゴブリンも手伝ってくれよ。」

ディオがゴブリンにも戦うように言ったがゴブリンは首を横に振るだけだった。


オリエンスが迫りケンタウロスへ呪文を投げかける


その呪文は魔法陣となりケンタウロス達を包み込んだ。


なかなかやるじゃないかと、今度はディオがオリエンスに呪文をかけた。


ズゥゥゥン……


デマゴーグは少しよろめいたが正気を取り戻した。


そして今度はケンタウロスが鬼気迫る表情で火炎魔法を詠唱した。

立て続けに発生した爆炎が、醜悪なるデマゴーグ目掛けて襲いかかる。


デマゴーグを焼き焦がす火炎は、彼の怒りそのものであった。


するとどうだろう、デマゴーグはみるみるうちに焼け焦げてどさっと地面に倒れた。


とっさにオリエンスがデマゴーグのところへ駆け寄った。

その時ウンディーネがオリエンスから書を奪った。


「やったあ。」


ディオとケンタウロス、ウンディーネは喜びのあまり抱き合った。


そして遠くでその様子を見ていたゴブリンの目にも涙が溜まっていた。


彼等はとうとう術士アブラメリンの聖なる魔術の書を取り戻したのである。


「あっ!しまった。」

オリエンスがそういった時にはすでに遅かった。


そしてオリエンスも駆けつけた他のホーラ達に取り押さえられ処罰されたのであった。

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