等々力渓谷の呪い

@310J

第1話

あれは今から33年前の出来事だ。


俺は16歳で高校を中退し、

地元の不良仲間や先輩達とつるんでいた。


俺は仕事もロクにせず、暇を持て余していた。

同じく暇を持て余していた2個上の先輩で

地元では有名な不良の坂田先輩と駅前で

だべっていた。


「なぁ伊藤、おまえ夜中に等々力渓谷行った事あるか?」

「いえ、ありませんけど何かあるんすか?」

「あそこは有名な心霊スポットでよ、

この前彼女と夜中に行ったんだよ!」

「何しに行ったんすか?」

「お前馬鹿か? エッチする為に決まってんだろっ!」

「やったんすか?」

「ところがよ、それどころじゃ無くなったんだよ!」

「何でですか?」

「出ちまったんだよ!ヤバイのが!」

「ヤバイのって?」

「幽霊だよ!」


幽霊と聞いて俺はワクワクし始めた!!

俺はその手の類いの話しが大好きだったからだ。

「どんな幽霊を見たんすか?」

「俺が等々力渓谷の遊歩道を彼女と歩いてたんだよ!」

「それで?」

「そしたらよ、二列に並んで歩いてくる集団が俺らの方に向かって来る訳!!」

「夜中にですか?」

「普通じゃねえだろ?」

「しかもよ、そいつら半透明なんだよ!!」

「半透明ってマジすか!!」

「しかもよ、そいつらお経唱えながら歩いてくるんだよ!!」

「超怖いっすね!!」

「だろ?」

「それだけじゃねえんだよ!」

「と言いますと?」

「そいつら大きな編笠みたいな帽子被ってさ、白装束に杖ついて歩いて来るんだけどさ!」

「それで?」

「よく見たら、全員膝下から足がねぇんだよ!!」

「うわっ、ヤバイすね!」


「しかもよ、近づいて来るにつれて

お経の声がデカくなって来てよぉ!

彼女も震えて泣き始めるしさぁ!」


「先輩それでどうしたんすか?」


「これは流石にヤバイと思って彼女と走って逃げてきた訳よ!!」


俺は坂田先輩の話しを聞いて、

等々力渓谷が気になって仕方がなかった。


そして俺は、その日の深夜に

等々力渓谷へ出かける事に決めた。


この事が俺の人生を大きく狂わせる事になるとは、この時点では予想だにしなかった。


まさか、あんな事になるとは!!






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

等々力渓谷の呪い @310J

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ