同棲生活であるわけでない

バブみ道日丿宮組

お題:黄色い真実 制限時間:15分

同棲生活であるわけでない

 出された命令は3つ。

 喋らないこと、動かないこと、そして息をしないこと。

 そんなことを彼女に言われ、

「無理だろ」

 素直な言葉がでる。

 喋らないぐらいは何時間でもできる気はするが、動かないのは厳しいな。だるまさんが転んだらゲームで一番最初に捕まるのは目に見えてる。最後の息をしないことは、死なないと無理だ。

 動物である以上呼吸は必然。もしかすると虫とかも必要かもしれない。

「息が臭いからなんとかして」

「……飴でもなめてみるかな」

 顔の前に手を置いてはぁと息を吹きかける。

 自分ではよくわからないな。

 疲れてたり、刺激のある食べ物を食べたりすると、息の匂いは変わるらしい。

 自分がそれに該当するようには思えない。

 というよりか、ベッドでころころ転がり続ける毎日を続けてる彼女のほうがよっぽど臭うんじゃないだろうか。僕はずっと一緒にいるからわからないが、久しぶりにあう友人なんかは気がつくのかもしれない。まぁ彼女には友だちはいないんだけど。

「お風呂入らない?」

 そうだとしても、彼女が臭いと言われるのは恋人としても阻止はしたいと提案。

「……なんで?」

「一昨日からお風呂入ってないでしょ?」

 彼女は布団を目元までかぶると、つよい視線をこちらへと向けてくる。

「……えっち」

 どこがどうえっちなのだろうか。

 お風呂がえっちなのだとしたら、人類の9割以上がえっちということになる。けしからん。非常にけしからんぞ。やばいぞ人類、すごいぞ人類、やめようぜ人類。

「えっちじゃないから、入ろうよ」

「なにもしない?」

「それは時と場合による」

 完全に布団に隠れた彼女はそのまま立ち上がり、こちらへと歩いてくる。器用なやつだな。

 そして間の前でパーンと音がなるような勢いで、布団をはねのけた。

 見えてくるのは黄色い下着姿の彼女。

「どうして……下着姿なの?」

「このほうが涼しかったから」

 最近やたらと温い感じがしたのはこれが原因か。

「それで入るの?」

「入る。でも、臭いのはなんとかしてね」

 すらすらとお風呂場に向かう彼女は、道中で下着を脱ぎ散らかす。

「……くんくん」

 甘い汗の匂いがした。

 これは臭いといえるのだろうか。パンツの方は黄色いシミ。触ってみると、温かった。

「はやくー」

「わかってる」

 もしかするとシミを舐めれば、臭いのが直るかもしれないと思ったが、彼女と目があってしまいそれは叶わなかった。

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同棲生活であるわけでない バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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