ちいさなわずらい

バブみ道日丿宮組

お題:薄汚いわずらい 制限時間:15分

ちいさなわずらい

 例えば、朝目覚めた時裸体の女性が隣抱きつくように眠ってたとしたらどうだろうか。

 これが異性であるならば、興奮したり、夢見たりすることなのかもしれない。

 が、残念ながら、私は同性だ。

「……Zzz」

 無論これが現実じゃないと信じてやまない精神だが、実際にあるとどう表現したらいいのかと迷う。

 布団をめくってみれば、きれいな身体が朝日に照らされる。

 自分にはないものがついてて、少しイラッとしてほっぺたをつつく。

「……食べられないよぉ」

 食事の夢でも見てるのだろうか。

 全裸で食べ物……女体盛り? いや……それは違うか。

 考えても埒が明かないと、

「ねぇ、起きて」

 揺さってみる。

 ぶるんぶるんとたわわに育った胸がそのたびに震える。イラ度がさらに増す。

「……もぅ朝?」

 うっすらと目を開ける襲撃者のほっぺたをつねる。

「なんでいつも潜ってくるの? あなたのベッドは隣、そして裸で抱きつかないで」

 何度注意したかわからない言葉が出てくる。

「えー昨日は一緒に眠っていいって言ってたよ?」

 眠気の強い瞳がしっかりと私を射抜く。

「……そうだったっけ?」

「そうだよ。だからほらあなたも裸」

「……なんで?」

 起きたら自分まで全裸とか、想像もつかない大事件だ。

 彼女がいうように私はすっぽんぽんだった。出るところがでておらず、生えるべきところも生えてない。彼女と比べて天と地の差があった。

「じゃんけんで負けて、一緒に裸で眠ろうって」

 あくびをした彼女が乱暴に私から布団の支配権を奪い潜る。

「……覚えてない」

「たくさんお酒飲んだからね、きっとそうだよ」

 視線を部屋の中に移すと、大量のお酒が散乱してた。

「これを私が……?」

「そうだよ、わたしお酒飲めないもん」

 言葉が出なかった。

 なにがどうあって、全裸で眠るなんてわずらい方を許可したのだろうか?

「……もういい。服着る」

 わからないことはあとにしてとりあえず服を着ることにした。

「わたしはもう少し眠るねぇ」

 自分のベッドで眠れという前に彼女は寝息をかいてた。ほんと自由なルームメイトだ。

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ちいさなわずらい バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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