予約事情
バブみ道日丿宮組
お題:素晴らしい汁 制限時間:15分
予約事情
人気商品というのは普通予約しないと買えないものだ。
でも、それははるか昔のお話。
「ありがとうございました」
今じゃ衣食住全てに渡って、事前予約が必然というかないと無理。スーパーに並んでるものさえも買えない。仮に残ってたとしても、それは食べ物じゃない。食べ物という名がつけられないなにかだ。
「……はぁ」
予約制ということもあってか、スーパーはレジ以外誰もいない。
陳列されてるものには誰かの予約名札がついており、どれもこれも売り切れとも書いてある。そんな中を好き好んで歩くというのはとても無駄だ。
というか……スーパーってある意味あるのだろうか?
いっそのこと全て通販にしてくれれば、こうやって足を運ぶことはないのだが……ダメなんですかね?
ファミレスやら、ラーメン屋やら、ハンバーガー屋は、料理を頼んでから作るというスタンスをとってるから予約になったとしてもその時の恩恵がある。
でも、スーパーは朝陳列されたものがそのまま店内に予約した人が現れるまで残り続ける。傷んだとしてもそれは予約者が早くこないせいであって、店に問題はないという。
いや……さ。
傷んだものを商品として扱うのはどうなの? そりゃ持ったないってのはあるけれど……予約したものが傷んでるというのは酷いと思うな。
「……」
まぁ自分がそんなものを買わされてるのが嫌だってだけだ。
でもさ……学校が早く終わることはないし、仕方のないことだろう。
「ただいま」
家につくと、リビングで親がテレビを見てた。
反応がないのはいつものこと。幼稚園からこれは始まってた。育児の放棄というか、生存の放棄。今は私が世話をしなければ、何もしない。
こうやってテレビを見てるのもただのフリで見てるわけじゃない。
虚ろをただ抱いてるだけだ。
「……」
そんな親を見ながら、私はシチューを作り始める。
これは幼稚園の頃に覚えた料理。小さいながらも悪戦苦闘したのは記憶にまだ新しい。ほんとであれば、家庭の味というかおふくろの味とかいうものもあったんだろうけど……。
まぁないものねだりはどうしようもないこととして諦めるしかない。
今は今できる最高の料理を作ろう。
そう思いながら、台所へ入った。
予約事情 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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