第21話 竜という兵器
あれから3ヶ月が経った。気付けば季節は
幸い戦局は大きな動きを見せていない。リハルト軍が開戦から3ヶ月が経った
一方でこの竜騎兵計画などと言う珍妙な計画を託されたシナーク現地司令部では、昨日はやっと大きく事態が動いた。ようやく竜に乗って空を飛ぶことの目処が立ってきたのだ。
正直言って開戦から1ヶ月後の竜騎兵計画の命令だったので、本格的なリハルトとの戦までに間に合うかわからなかったのが、不思議と動かないリハルトのお陰で竜騎兵計画は順調と言える。
ここを接収した際に起きた"鳥のような影"騒動で眠らされた者達を調べた際の結果は、いずれも魔法を使われた痕跡があると言うものだった。
あの騒動は竜とその竜を操れる何者かの仕業と見ている、それが一番辻褄が合うからだ。
シナークの竜で同じ状況の再現にはまだ至らないが、これも時間の問題に違いない。
竜が十分戦力と呼べる程に飛べるようになったきっかけは、ある事故だった。
1ヶ月ほど前には騎兵隊の馬と同じような竜の為の鞍を作り、口で指示を飛ばして飛べるようにはなっていた。昨日もいつも通り鞍を付けて魔法師団の若者が飛んだところ、やはり慣れによる慢心もあったのだろうか、空中でバランスを崩したのだ。
その若者は咄嗟に、竜の背中に生えている角を掴んだという。魔法を使う者の反射的な行動なのだろうが、その時に掴んだ角から竜に向けて「降りてくれ」と伝えるように魔力を流したのだそうだ。
果たしてその竜は、言葉で指示するよりも遥かに機敏に地上に舞い降りたという。
それを変に思ったその若い兵士は、その後は竜の角を掴んで飛行したそうだ。結果は、これまでより遥かに細かい指示が出来て、曲芸飛行じみた事さえ出来たという。その若者と上司が興奮した面持ちで報告しに来た時には半信半疑だったが、実際に背中の角を掴んで飛んだ時には、それまでに比べて遥かにこちらの意思を読み取って飛んでいるように見えた。
やっと竜を自由に操ることに成功したので、当然皇都に報告せねばなるまい。いくらリハルトが静かだからと言って、そろそろ目立った成果は無いのかと暗に急かされていたからだ。
―ラティール=コルセア大尉の日記より―
*
コルセアの書いた報告書は書いた翌日の朝一番の軍用列車で皇都へと送られ、それを読んだイグナス軍上層部は色めき立った。
そもそも竜騎兵計画自体が軍師としてはイマイチなモロス第一皇子の発案の計画ということだけあって、当初から有用性や実現性が疑われていた。しかしその竜がどうやら実戦投入できそうだという知らせは、報告書と現場視察を元に"飛行機より遥かに立体的に動ける「竜」と言う名の兵器"の実用化と捉えられ、対リハルトへの作戦内容を変えつつあった。
そして変えられた作戦内容を良しとした皇室枢密院は、同じく空中を立体的に動ける航空機を専門とするロヴェル機甲師団第四聯隊の反対を押しのけ、竜戦力増強の為にイグナス唯一の報道媒体である読売にこのような記事を載せた。
『この度、伝説の生き物とされる竜を発見し捕らえることに成功した。研究の結果、此度の戦争において我が国が勝利を勝ち得る上で重要な存在となると我がイグナス軍、及びモロス第一皇子は判断された。
その上で畏くもモロス第一皇子は、以下のような文を渙発あらせられた。
竜を発見し、生きたまま捕らえた者には、賞金としてイグナス金貨6枚(3億ロンド)を与える。また、その竜が成長した竜だと確認された場合には、追加でイグナス金貨2枚を与える。』
これを農民のフリをさせた兵士と眠らせた竜とを並べて撮った写真と共に、イグナス中に配った。
まさに国家ぐるみでの国威発揚兼宣伝だった。読売に高価な写真が載ることは滅多に無かったので話題が話題を呼び、そして噂が噂を呼び、白露山脈の麓にある村は一攫千金を夢見る有象無象で大騒ぎになった。
最初こそ竜だなんて信じられないと言った世論や、そういう生き物こそ大事にするべきとの専門家の意見や講義も、その莫大な賞金の前では無力だった。日を追うごとに民草にとっての竜とは、"伝説の生き物"から"一攫千金のチャンス"へと変わっていったのだ。
そして読売にその記事が載った2週間後、ついに民間人が竜を捕らえることに成功した。
だいぶ弱らせてしまったようで賞金の金貨は2枚減らされたが、それでも2億ロンドだ。あまり豪遊しなければ一生働かなくても暮らせるだけの金を、民間人が手に入れたという話も、これまた一攫千金を狙う者を中心にすぐさま広まった。
それ以降はおよそ10〜20日間おきに竜が捕獲され、その度に捕まえた者には賞金が支払われた。
全てモロス皇子の財産から支払ったと言うが、何故そこまでの財産を持っていたかは世論も官僚や貴族も気にしなかった。神の子孫とされる皇族に意見するなど以ての外だったし、突如降って湧いた一攫千金のチャンスに、そして戦争に勝つチャンスに皆が浮かれていたのだ。
しかしこれらは全てモロス皇子の主導の下に行われ、捕まえたとされる人達は全てモロスの息のかかった人間。そして実際に捕まえたのはモロスの私兵だ。国民は見事に、報道の手の平で踊らされていたのである。
*
季節はあっという間に過ぎ
賞金が出ると知ってから白露山脈の麓では次々と竜が捕らえられてはシナーク現地司令部に送られてきており、その度に竜舎は増築を繰り返している。
最初は1頭しかいなかった竜も気がつけば5頭を数えるほどになっており、来た順番にウヌン、デュー、トゥリ、クヴァ、ヴィンと名付けられた。
竜騎兵に適しているのは"魔法が多少でも使えるロヴェル機甲師団の兵士"と結論付けられてからは、人事も頻繁に動いている。
もはや竜の存在は周知の事実となったので、奉国の精神で志願する者から見栄で志願する者まで色々おり、コルセアは現地司令部長として様々な仕事に追われていた。
そして竜の頭数が増えるに連れて、
「いつ見ても壮観だな」
そうぽつりとコルセアは呟いた。
訓練場としたアロウ平原と呼ばれる広い平原では、まさにこの訓練の為に駆り出された300を超える騎馬兵と2頭の竜が対峙していた。
少し離れたところに作った物見櫓からコルセアと、その側近となったカイル=イースレウス准尉が訓練の様子を見下ろして事の成り行きを見守っている。
騎馬兵を率いる兵士が進軍喇叭を鳴らすと、騎馬兵達がたった2頭の竜を目掛けて殺到する。
瞬間、竜騎兵を乗せた2頭の竜は天に向かって一声啼くと空に駆け出した。
啼いただけで先頭の方の馬は怖気付いたのか、騎手が何をしても前へ進もうとしない。
後方の弓の射手が前に躍り出て竜の方に矢を雨のように射るが、不思議なことに竜にはかすりもしない。この現象についてはオルトゥス側から"防衛反応で何かしら魔力的な盾を作っているのかもしれない"と説明があった。そんなことがあり得るのかと報告を受けた時には驚いたが、現にこうして徹底的に矢を弾いているし今更何があっても驚かない。
素早く空へと退避した2頭の竜は反転攻勢に出た。
まず1頭が急降下して炎を小さく吐いた、飛行機が船や地上目標を攻撃する際の一つの可能性として提示されている"急降下爆撃"に模したものを竜で試しているのだ。こんな挙動を飛行機でやったら、最悪は空中四散しかねない。
小さくしか炎を吐かせないのも、本気でやり過ぎると訓練なのに死傷者が出るので程々にと言ってあるからだ。とは言えそんなこと竜には分からないだろうからと思ったら、意外と竜はしっかり理解している。時々暴走する軍用犬や軍用馬よりもよほど頭が良いのかもしれない。
もう1頭は別の意図を持って訓練していた。乗っている竜騎兵には、単独で持ち運びができるほどの軽さに改良された機関銃を持たせている。
要は飛行機でも研究している、竜の上から地上の敵に対して機銃を掃射できるか、ということなのだが、竜に乗ってる兵士は掃射どころか、姿勢を維持するだけで大変そうだ。これは無理だな、とコルセアは考えカイルにその考えでの計画は中止するよう指示した。
気がつけば模擬戦闘はほぼ終了していた。
自分がやられたと思ったら戦闘から外れるようにと指示していたが、わずか1時間足らずで300もの騎兵隊は2頭の竜と竜騎兵にしてやられたのだ。
「やはり予想以上ですね、コルセア大尉。慢心は禁物と分かってはいてもあれだけの戦力となる竜が5頭といるんです、どう勝てと言うのですか」
カイルは優雅に降りてきた、傷一つない竜を見ながら呟いていた。
「いや全くだ……武力は使う人の心持ち次第だが、これだけ強いのならやりようによっては一国を相手にもできそうだ。
だからこそ我々は気をつけなければならない、これはそれだけの武力だ。使う我々が暴走してしまっては、何よりあの竜が可哀想だ」
そう言いながらコルセアは2頭の竜を見下ろした。竜騎兵も下ろして静かに毛繕いをしているが、その内に秘めている力は如何程なのか。じっくり調べさせてもらおうじゃないか。
コルセアとカイルが模擬戦闘訓練の見学から戻ると、机の上に封書が1つ置いてあった。
今年の夏は暑いですね、とよく漏らしていたカイルは、司令部に戻るなりすぐに冷やした珈琲を準備している。
コルセアが封書を手に取ると、そこには"宛 シナーク現地司令部 ラティール=コルセア大尉 親展"の文字のみ。開けると紙が2枚滑り落ちてきた。
1枚は読売の軍隊向けのもので、イグナス軍内での出来事を中心に各部隊に配られる。だが普通はそれは全軍属の人に向けてのものなので、こんな親展の封書にコソコソと入っているものではない。その事をコルセアが訝しむより先に、もう1枚の紙に目が行った。
その紙には文字や数字、記号が不規則に並べられた文章があった。それだけなら意味不明な文字の羅列だが、要するに暗号文だ。コルセアは自らの机の中から暗号表と紙とペンを取り出すと、早速その文章の解読に入った。
『発 シナーク軍サルタン中央軍令部
宛 ロヴェル機甲師団第二聯隊竜騎隊 シナーク現地司令部長 ラティール=コルセア大尉
一昨日未明、ルーデンバース沖約200kmの洋上にて、ロヴェル機甲師団第一聯隊とオルトゥス魔法師団第一聯隊水兵隊との混成軍がリハルト公国軍と衝突した。我が方では軽巡1隻が大破、敵方は軍艦と見られる船1隻を航行不能とした。
最近になってリハルト軍の艦船が領海を侵犯してくることがあり、それに対して巡回中だった我が方の艦船が威嚇射撃を行ったところ、応戦して来たので戦闘状態に入ったものである。
現在のところ我が方が優勢ではあるが、何分相手はあの軍事大国リハルトである。貴下の竜騎隊にも出動命令が出る可能性があるので、出動準備をされたい。
また今後の作戦展開の協議のため、明後日の
コルセアはこめかみを抑えながら溜息を吐いた。内容も内容だし、そもそも暗号の解読作業ほど面倒な事はない。
「何が書いてあったんですか、コルセア大尉」
気がつくと目の前にカイルが立っていた、手には珈琲が入ったカップを2つ持っている。
「いや、まぁ説明するよりこれを見てくれ。お前の目から見てどう思う?」
そう言ってコルセアは珈琲を受け取り、解読した文書を手渡した。
「何というか……これまで静かだったのに急に動き出したのがわからないですね。しかもリハルトだってルーデンバース軍港が我がロヴェル機甲師団第一聯隊の本拠地だってことぐらい知ってるでしょうに、何でまた挑発するかのごとくこんな無茶な……」
暗号文書には戦闘経過を記した文章もあったが、それによるとリハルトの船はたった2隻。それがイグナス連邦の重要な軍港であるルーデンバースに向かって突撃してきたのだ。
本気でルーデンバースを落とす気で来るならもっと沢山の艦船を連れて、こんな嫌がらせのような領海侵犯ではなく堂々と踏み込んでくるはずだ。ただしそうなるとイグナス連邦としても落とされるわけにはいかないので、もし本当に攻めてきたのであれば大規模な海戦となるが。
「偵察するだけなら見つかった時点でさっさと引き返せばいいのに、此方の威嚇射撃に対して反撃したのもよくわからん」
「全くです。陽動だとしてもたった2隻じゃ無理がありますし、他の軍港などが攻撃されたという報告もありません」
コルセアもカイルもその戦闘については真意が見え出さずにいた。リハルトの行動に疑問点が多すぎるのだ。
そもそも開戦の経緯は、突如リハルト公国が宣戦布告をしてきた事に始まる。その理由は"領土拡大の為"なので、イグナスとしては専ら防衛戦になるはずだったのだ。
それがいざ開戦してみると、全くと言うほどリハルトは攻めてこない。これにはイグナス側も肩透かしを食ってしまい、最前線になることが予想される場所へ展開した部隊も一度撤退するなど逆に混乱したほどだ。
それがまるで、こちらの竜騎兵計画の進展を待っていたかのように事が動く。その事がコルセアの頭の中で言い難い不安を作り出していた。
――思えば無人島のいくつかを占領したのは、こちらが竜を飛ばす方法を確立した後だった気がするな。そして今回もこんな嫌がらせのような攻撃……
「これはもしかして……」
そう呟くとカイルは不思議そうな顔をしてコルセアを見た。
「どうかされましたか?」
「……いや、何でもない。とにかく一度サルタンに戻るのだ、準備をしなければならないな」
「は、かしこまりました」
コルセアは自分があまりに非常識的な事を思い付いたのだと気付き、思わず口に出すのを躊躇った。
向こうから宣戦布告しておきながら、実はまともに戦争をする気が無いのではないか? などと誰が考えるというのだ。
*
「枢密院を動かせたのは大きいですね」
そう言って寄せられた竜の目撃情報の紙束をめくりながら、モロス皇子の腹心であるラミス=ノーリッヒは呟いた。
「父は病床の身だ。当然今国を預かるのは私なのだから、そのぐらい動いてもらわねば困る」
季節はもう
先日、竜を効率的に飛ばす方法をやっと見つけたとシナーク現地司令部にいる同士から報告があった。それ一つ解明するのにどれだけ時間がかかってるんだと怒鳴りたくなったが、所詮は寄せ集め、期待する方が無駄だと納得した。
「全くだ、読売を使えるのも大きい。
こういう事は報道媒体を使って宣伝するのが一番効率的だからな」
「ご賢察の通りでございます。昨年の誘拐騒ぎも記憶に新しい中で、この判断は最良と言えましょう」
昨年にサルタンでは、貴族の一人娘が何者かに誘拐されるという事件があった。
怒り狂った貴族である親はその財力を活かして、民間人の唯一の報道媒体である読売に"犯人を捕まえた者に賞金として銀貨10枚(2000万ロンド)を与える"と広告を載せたのだ。
それは特に荒くれ者の間で話題となり、真犯人が捕まるまでは犯人の特徴に似た人が片っ端から捕まえられるなど混乱を引き起こした。
結果的に混乱こそ起きたものの、逆に言えば読売の民草への影響力を証明する事になったその出来事を参考に、モロスは読売を利用する事を思い立ったのだ。
「あとはシナークの方で竜騎兵が増えるのを待つのみですな」
「うむ、1頭であれだけの戦力になるのだ、目標の10頭が揃えばさぞ壮観なのだろうな。まとまった数の私兵を動かすのに金は要るが、あれにはそれだけの価値がある。それにこれから得られる富と権力を考えれば安いものだ」
そう言うとモロスは薄く笑った。
「全くです。では、私は実験に戻りますので」
「うむ、期待しておるぞ」
「もったいなきお言葉です」
そう言うとラミスは深く一礼し、執務室を出た。
研究の成果だけで言えば、シナーク現地司令部よりモロス皇子お抱えの研究の方が遥かに早く進んでいた。と言うのもそれは、モロス皇子の研究のやり方が竜の事を全く無視した、非人道的だったからに他ならない。
竜を捕らえてわずか1ヶ月ほどで、効率的な意思の疎通方法や戦闘能力などはほぼ解明されていた。
そして今行われているのは……
「砲手、指標2番に照準合わせ!」
「合わせました!」
「撃ぇっ!」
大砲を打つ音が森の中にこだまする。
皇都から北に遠く離れた、北方ワクリオン山脈の中にそれはあった。モロス皇子が極秘裏に作らせ、様々な研究を行う施設である。
そしてそこには、最初に捕まえられた竜とその後に捕まえられたもう1頭の竜が、魔法封じの特殊な鎖に繋がれていた。
移動式の砲台から打ち出された砲弾は、指標2番と呼ばれた後から捉えられた竜の方に向かって飛んで行った。
その竜は砲弾を見るなり反射的に防御魔法を展開し、目の前でその砲弾を爆発させた。だが既に6回目ともなる被弾に徐々にその防御魔法は威力を失っており、破片までは防ぎきれなかったのか竜の綺麗な羽根はかなり傷付いている。
そしてその様子を冷静に観察し記録しているのは、ラミスの部下である生物学研究者のハイス=カラマンだ。
最初に捕らえられ指標1番と呼んでいた竜は、弓や機関銃、剣などありとあらゆる武器が効かなかった。なので大砲を撃ち込んでみたところ、5発目で動かなくなった。
息はしているようだがこれでは話にならないと、今は指標2番を相手に耐久力試験の真っ最中だったのだ。
「素晴らしいな竜と言う奴は。1頭で戦艦1隻ぐらいの戦闘力にはなるんじゃないのか? しかもそれが空を飛んで人の言う事を聞くときた。家畜にするには勿体ないなぁ?」
ハイスの言った"家畜"という言葉に反応したのだろう。指標2番と呼ばれた竜がハイスの方を睨むようにして見たが、すぐに飛んできた7発目の砲弾を防御するのが一瞬遅れたのか呻き声を上げた。
「もういいだろうハイス、それだけ撃ち込んで死なないことがわかったなら上出来だ」
サルタンから研究施設に来ていたラミスは、そう言ってハイスの肩を叩いた。
「わかりましたよ。しかし惜しいですな、一度軍艦の主砲でも撃ち込んでみたいぐらいです」
「馬鹿を言うな、苦労して捕まえたのだからそう易々と死なれては困るのだ。あまり妙な事を言うとお前の過去の話をばら撒くぞ?」
「分かってますよ、冗談ですって」
そう言うハイスはニヤついた顔を隠そうともしない。
「とにかく今日は終わりだ。実験台とは言え餌ぐらい食わせとけよ」
そう言ってラミスは研究施設の建物へと戻っていった。
――あのハイスという男、性格に難はあるが研究の腕は本物だな。お陰で竜の生態の解明が随分早くなった。
そう考えつつラミスは今後の予定を頭の中で組み立てるのであった。
急ぎ過ぎては成功する計画も成功しないが、あまり慎重になりすぎて遅らせすぎると仕込んだ爆弾が暴発しかねない。事は慎重に、幾つもの手綱を上手く操らなければならない。
頭痛の種は多いが、それだけにやり甲斐がある。そう、全てはモロス皇子の為に。
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