主人公の男性のもとに、コアラ型(?)のロボットがやってくる。そしてこの男性が働く宿にも、人型ロボット(AI?)がやって来ていた。この人型ロボットは、重い病のためのに、病院から抜け出せない少年の身代わりのような役目を担っていた。つまり、少年の身体の延長が、この人型ロボットだった。
人型ロボットには少年の表情が映し出され、感覚も伝わる。少年は病の難解な手術を受け、その手術は成功する。
一方、コアラ型ロボットからは、ある記録が二年分にわたって残されていた。
人間のクローンや、個としてのロボットの製作の禁止。その一方で、我々は既に動物のクローンを誕生させ、人型のロボットを作り続けている。この作品は、SFとなっているが、現代ドラマとしても十分に意義がある。この作者様でしか出せない問題提起や、人間の存在価値の問いなど、現代に潜む人間の倫理の危機を考えさせられる一作でした。
是非、御一読下さい。