最終章 今までの経験
仲間同士の絆
第46話 告白計画
ユールとミーシャ。
俺は2人の事を考えながら.....目の前のユールとミーシャを見た。
2人ともに見つめ合う形で椅子に座っている。
俺はその姿を見ながら顎に手を添える。
それから考えた。
さて。どうしようかな、と思いながら、だ。
何というかユールもミーシャもどちらも.....言葉を発さない感じだったのだ。
所がそれを考えた時。
ユールが言葉を発しながらミーシャを見た。
モジモジしながら、である。
まるで母親と娘だな。
「おねえ.....ちゃん」
「.....何?ユール」
「私は正直言ってお姉ちゃんが好き。.....だから元の家族に戻りたいの。残されたのはお姉ちゃんだけだから」
「.....それは本心?」
「本心。.....だからお願い。.....お姉ちゃん」
「.....分かった。私は達也様に説得されたから。.....貴方をもう一度.....信じてみる」
ミーシャは笑みを浮かべてユールを見た。
ユールは目を輝かせながら.....ミーシャを見る。
良かったな。
夜が明けた気がする。
長い長い夜が、だ。
考えながら納得していると。
ミーシャがとんでもない事を言い出した。
「ところでユール。お色気は知っているかな」
「お姉ちゃん?」
「お色気。.....これは大切だよ。男を惑わせるのだから」
「ちょ!?お前らいきなり何を言っているんだ!」
何故いきなりお色気!?
思いつつ唖然としながらミーシャたちを見る。
ミーシャは、だって達也様。丁度良い機会じゃないですか。こういうのって、と笑顔を浮かべるミーシャ。
アホか!何でや!
「もしかしてお兄ちゃんが居るから?お姉ちゃん」
「そうだよ。.....達也様にお色気をするの。.....とは言っても美幸様と付き合っているから程ほどにね。前から気になっていたし」
「.....」
嫌な予感がしてきた。
それも計画のうちか?
俺はそのままその場から逃走を試みるが。
捕まってしまった。
ミーシャとユールに、だ。
「勘弁してくれ!俺は美幸を.....!」
「.....大丈夫ですよ。多少なら」
「.....そうですよお兄ちゃん」
キャー!、と悲鳴をあげながら俺はエッチな事をされた。
その後の事は.....言うまでもない。
言葉に出来ない、と言える。
俺は辱めを受けた。
☆
「それで。達也さんはエッチな事をされたって事ですね?」
「.....はい.....」
美幸のカンは鋭いものがあった。
予想以上に、だ。
ちょっとしたゲーム感覚だったが直ぐに美幸が飛んで来た。
それから.....エッチな事をしていた俺を問い詰めてくる。
「美幸様。冗談が過ぎました」
「そうだね。ユールちゃん」
「すいませんでした」
「そうですね。ミーシャさん」
静かに怒る美幸。
何か美幸って怒るとこんなに恐ろしかったか?
相当に迫力があるのだが。
怖いものがある。
どうなっているのだ。
「.....時に達也さん」
「.....何でしょうか」
「.....ミーシャさんとユールちゃんは仲良くなったんですか?」
「.....まあそうだな.....うん」
「それは良かったです。.....全く」
嫌な予感がして飛んで来たらこの有様ですからね!、と美幸はプンスカ文句を言う。
俺は、悪く無いのに俺は、と思いつつ苦笑いを浮かべる。
全くな.....俺は巻き込まれただけだぞ。
考えながら俺は美幸を見ていると。
美鶴さんの声がした。
「おーい。お前ら.....ってどうした?」
「.....何でもないですよ。美鶴さん」
美幸は目を細めたまま回答する。
その事に美鶴さんは首を傾げていたが。
忘れる様に俺に向いてきた。
こっちを手伝ってくれないか?男の力が必要なんだ、と言いながら。
これは助かった。
「という事で美幸。説教は此処までだ」
「.....逃げるんですか?達也さん」
「逃げるつもりは無いって」
絶対に逃げてますよね、と目を細めながら俺を見てくる美幸。
その言葉に苦笑いを浮かべながら、さてさっさと行くか、と思いながら俺はその場を後にした。
それから奥の方に向かう。
運ばれるのを待つ様な感じで棚が置いてあった。
☆
「今日は有難うな。みんな」
「.....はい」
「ですね」
夕方になってから。
俺達は帰宅する事になった。
何と給料が出たのだ。
お駄賃、という事で、だ。
断るのもマズいかと受け取った。
「助かった。.....で、ミーシャちゃんとユールちゃんは仲良くなったのか?」
「.....はい。お陰様で」
「ですね。お姉ちゃん」
笑みを浮かべながら見つめ合うミーシャとユール。
俺はそれを見ながら生島とかを見る。
みんな笑みを浮かべていた。
取り敢えずは.....良かったと思う。
すると美鶴さんが、良かった、と言いながら柔和になる。
「私は心配していたからね。.....仲が良いのは大切だよ。.....今のうちに中を深めるべきだ。死んだ後には何も出来ないから」
「.....美鶴さん.....」
「.....後悔の無い様にね」
「有難う御座います」
それから俺達はそのまま踵を返してその場を去った。
そして電車に乗って帰宅する。
夕焼けの空を見ながら、だ。
するとミーシャが話し掛けてきた。
「.....今日は有難う御座いました。達也様」
「.....そうだな。良かったじゃないか」
「.....結局私は達也様に助けられてばかりですね」
「そんな事無いよ。俺はお前に助けられているし」
「.....いや。それは無いですよ。達也様以上にやって無いです」
俺は笑みを浮かべながらミーシャを見る。
ミーシャは俺に向いてくる。
穏やかな顔で、だ。
何だかその顔を見ていると。
明日も頑張ろうという気になる。
「.....ミーシャ。感謝している」
「.....何をですか?」
「.....お前達が居る事に」
「.....それだけでですか?おかしくないですか?」
「それは気持ちじゃない。.....人間の関りだよ」
それから俺は天井を見上げる。
そして、ふう、と息を吐く。
どうなっていくか、だな。
取り敢えずは落ち着いてはいるが。
まだ.....城島の事とか。
解決してないから.....だ。
まだまだ.....時間は掛かりそうだ。
☆
ユールとミーシャが一歩を踏み出してから俺達の時間が少しだけ過ぎた。
簡単に言えば混浴の事もあったのだが。
俺は本当に幸せだった。
美幸と一緒に過ごせたのだ。
それなりの充実した日々を過ごせた気がする。
そして.....季節は9月になり服装が変わったりした。
それから.....今に至っている。
この間に.....生駒先輩。
俺の部活の先輩が部活を辞めた。
それからどうなったかというと.....だが。
生駒先輩が学校を卒業間近なのに学校を辞めたのだ。
衝撃的だった。
その理由としては、とある夢を追いたい、という事だ。
アメリカに行くという。
これには.....夢有さんも驚いており。
また.....時計の針が進もうとしていた。
☆
「という事で少しだけ考えてみようと思う。.....夢有と生駒先輩との事を」
「それは確かにな。早めに考えた方が良さそうだ。半ばには出発するんだろ?」
「だね。達也」
放課後。
そんな事を考えながら俺達は3人で検討会をする。
このままでは夢有さんは告白も出来ずに終わってしまう。
それは許し難いと生島が立ち上がった。
夢有さんの為に、と。
鼻息を荒くする。
「.....私は許せない。このまま終わるのは」
「.....それはまあ俺もな」
「私も。助けられたから」
「だから内緒で計画を立てようと思って」
「.....成程な」
それから生島はプランを出してくる。
俺はそのプランに顎に手を添えながら考える。
目の前の黒板に色々と記載しながら、だ。
美里もやる気に満ち満ちている。
「.....じゃあ告白作戦だね」
「.....そうだよ。美里ちゃん」
「.....やれるだけやってみるか」
「だな。三菱」
このまま終わらせるのはね、と生島は苦笑い。
私は.....もう会えないけどそれでも。
と言いながら拳を握る。
俺と美里はそれを見ながら.....少しだけ複雑な顔をした。
今週.....日曜日。
因みにそれは決行されることが決まった。
取り合えず後悔の無い様にしよう。
そう考えながら俺は外を見た。
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