第45話 姉ミーシャと妹ユール

次の休み。

ユールとミーシャ。

そして田中さんと美鶴さん。

俺は.....その悩みを解決してあげたい。


考えた末に俺は.....田中さんと美鶴さんのカラオケ屋に連れて行った。

ユールとミーシャを、だ。

ライオン同士の戦いの様な目をしているユールとミーシャの2人。

困ったものだ。


「アッハッハ!美少女ばっかだね!達也くんの周りは!」


「.....まあそうですね」


「それにしても手伝いに6人も来てくれるなんて。嬉しい限りだよ」


「ですね」


この場にミーシャ、俺、生島、美幸、ユール、美里の5人が集まった。

俺達はカラオケ屋でバイトを、手伝いをする為に来たのだが。

最大の目的はユールとミーシャを仲良くする為である。

俺はそれを美幸と美里ともに確認しながら頷き合う。

それから美鶴さんを見る。


「それじゃ雑用だけど.....洗ったり掃除をしてくれないかな」


「そうですね。.....なら俺とユールとミーシャ、生島と美里と美幸で」


「ちょ!達也様!イヤですよ!何でユールと一緒なんですか」


俺はミーシャに、まあまあ、と言い聞かせながら。

ユールにも、な?、と説得する。

それでイヤイヤながらも説得させながら俺達は別れる事になった。

班になって掃除や雑用をする。

これについては美里と美幸、生島にも話した。


「美里。美幸。生島。頼む」


「うん」


「だな」


「はーい」


睨む2人を見てから。

溜息を吐く。

そして俺達は分れて作業を始めていく。

雑巾を持ったりして、だ。

すると早速と言わんばかりに喧嘩が始まった。

ユールとミーシャが、だ。


「もう!こっち来ないで!」


「別に好きでそっちに行っていません」


「わざとでしょ!分かっているんだから!」


「違いますから。落ち着いて下さい。お姉さま」


「落ち着けよ。お前ら」


達也様!何でユールと一緒なんですか!

と不満げに顔を上げるミーシャ。

俺はここで初めて告白する。

ミーシャ。ユールは本当はお前と仲良くなりたいって思っているみたいだぞ、と。

するとミーシャは、!、と頭に浮かべてから俺を見る。


「その為に別れたんだ。計画だよこれは」


「.....ユールが?.....そんな訳無いですよ。.....私は嫌いです」


「.....そう言うな。お前は姉だろう」


「.....ユールが私を好いているのは.....命令ですから」


「.....」


私はユールとは仲良くならないです。

絶対に、です。

と強く話すミーシャ。

何があったのだろうかこの2人に。

強盗の件は聞いたが。


「.....有能すぎるんです。.....ユールは。そして私が仲良くしようとしたのに」


「.....?」


「.....だから嫌いです。私は.....嫌いです。絶対に」


「.....お前.....」


そしてミーシャは去って行った。

俺は残されたユールを見る。

ユールは悲しい顔をしていた。


まるで泣きそうな顔だ。

俺はその姿に頭を撫でてやった。

見上げてくるユール。


「.....大丈夫。俺に任せろ」


「.....無理だと思います。.....有難いですけど.....やっぱりお兄ちゃんでも」


「.....そう言うな。可能性は0じゃないしな」


「.....はい」


多分だが。

さっきのミーシャの言葉から推測するに。

ミーシャはユールの感情等を間違って理解している。

そう思える気がした。


だったらそんなジグソーパズルの様なピースを削って嵌る様にすれば良いんだ。

それは俺達で削らないといけない。

考えながら俺は.....ユールを見つめる。

どうしたら良いか困惑しているユールを、だ。

それから肩を叩く。


「ユール。きっと大丈夫だ。.....俺達が付いているから」


「.....そうですか?.....分かりました」


「.....」


「.....お兄ちゃんが言うならきっと。.....うん」


「.....そうだ。自信を持ってな。.....取り合えず今は作業をしようか。ユール。ミーシャは後で探しに行くから」


俺はユールに言い聞かせる。

ユールは笑みを浮かべてこくんと頷いてから作業を始めた。

そんな姿を暫く見てから。

俺はミーシャを探しに行った。

ミーシャは何処行ったのだ全く。



「ミーシャ。此処に居たんだな」


「達也様.....」


「.....何処行ってるのかと思って心配した」


ミーシャは屋上に居た。

俺はその体操座りしているミーシャを見る。

そして風が靡く中。

俺はミーシャに話をした。

髪の毛を抑えつつ、だ。


「お前はユールとは話さないのか」


「.....嫌ですよ。それに仲良くするなんてそんな資格は無いです」


「.....?.....どういう意味だ?」


「.....私は.....ユールを見捨てた身分でもあります」


「.....そうなのか?」


「はい」


ミーシャは自虐気味に笑う。

俺はその姿に、複雑なんだな、と回答した。

すると、今は幸せな分.....全く問題ないです、と答える。

俺は顎に手を添えながら.....外を見るミーシャを見た。


「.....でもな。ミーシャ。.....それでいてももし良かったらユールと話してくれないか。それがユールの為にもなると思う」


「.....そうは思えないです。.....傷付けてしまう。.....だから私はこのままで良いんです」


「.....最高の姉貴だよお前は」


「.....そうですかね。それは無いですよ。アハハ」


「.....」


さて.....どうしたものかな。

考えながら俺は俯いて股の間に顔を伏せているミーシャを見る。

そして頭を掻いた。

両方ともにどう接したら良いか分からないんだな。

考えつつ.....悩む。


「ミーシャ」


「.....はい。何でしょうか」


「.....俺がサポートする。当然みんなもだけど」


「.....無理ですよ。絶対に」


「やる前から逃げるな。お前は」


「.....ですが.....」


それは一番俺が嫌うパターンだ。

俺は考えつつ.....ミーシャの横に腰掛けた。

それからミーシャと同じ様に外を見つめる。

全くコイツは。

まるでシンジだな。


「.....あのシンジ君は最後は立ち上がった。.....お前も立ち向かうべきだぞ」


「.....」


「.....俺達が居る。絶対に仲は取り戻せるさ」


「.....分かりました。.....達也様が言うなら逃げないです。立ち向かいます」


「.....その意気だ」


まさかシン〇ヴァがこんな所で役に立つとはな。

考えつつ.....俺はミーシャを見る。

ミーシャは俺の顔に、相変わらずですね、と苦笑した。

俺は、だろ?、と笑みを浮かべる。

それから、頑張れ、と励ました。

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