第28話 仁の警戒と美里のエッチ連呼と
ミーシャという名の金髪のハーフ?っぽい女子生徒がこれは何かの運命なのか俺のクラスに転校して来たのだが。
いや、というかこんなテストの時期にか?
そして俺へのクラスメイトの殺意が増幅したのだが。
これ非常に困るんだが.....。
どうしたものね、と思いながら俺は外を頬杖をついて見ていると。
ミーシャがニコニコしながら腕を後ろに回しながら俺に寄って来た。
そして、達也さん、と笑顔で言ってくる。
俺は顔を引き攣らせる。
「.....な、何でしょうか.....?」
「私といつ婚約の儀をしましょうか」
「.....いや.....勘弁してくれ。俺は今、結婚の話をする気はないんだが.....というか何でやねんって感じなんだが.....」
「そんな事言わないで下さいよ〜。私みたいな美少女が居るのに?何しても良いような美少女が」
いや。そういう事言うな。
アイツマジに丸焼きにして焼き殺してやろうか、的な感じで俺を見てくるしな!
クラスメイト達が!!!!!!
killとか書いている紙をヒラヒラ持ってこっちを見ている。
いやわざとらしく見せてきているのだが!
まあこんな感じで嫉妬に飢えた馬鹿野郎どもがこうなるからな.....。
非常に困ったもんだ。
「.....ミーシャ。本当に勘弁してくれっていうか.....控えてほしい。.....クラスメイトの嫉妬が酷いから.....」
「クラスメイトなんて所詮は童貞ですよ。アハハ」
「ちょっと待てマジに殺されるぞお前」
「私達は童貞、貞操ではないですからね」
「お前よ.....」
駄目だコイツ。
挑発に挑発している。
というか何故こんなにも俺に対して.....、と思っているとメールが入ってきた。
それは.....美幸からだ。
何だこんな時に?、と思いながらメールを開いていると仁が真剣な顔で立ち上がってポケットに手を突っ込んでやって来た。
ニヤッとしながら、だ。
「それにしてもそのアホにまさかこんな可憐な美少女の知り合いが居るとはねぇ。婚約者ねぇ」
「いやアホって何だよお前」
いきなりアホとは失礼な。
その仁の言葉に律儀に向いて頭を下げるミーシャ。
それから柔和にニコッとする。
可愛らしく、だ。
「はい。仁さん」
「.....でもこんな事を言うのは申し訳無いけど良いかな。.....俺さ、君から.....あまり良い香りがしないんだよね。それは臭いとかじゃないんだけど.....何か今までの表現がわざとらしいっていうか。ゴメンね。そんな事を言うのは良くないんだけど」
穏やかにとんでもない事を言い出す仁。
何だ?仁が珍しく俺に嫉妬しないと思ったのだがもしやそういう事で?っていうか.....何だその良い香りがしないっていうのは、と思いながらミーシャを見る。
ミーシャは笑みを浮かべたまま、はい?どういう事ですか?、と応答する。
すると仁から笑みが消えた。
「君の存在が.....あまり良い香りがしないんだよね。.....というか俺がかつて遭遇した様な嫌な香りがするんだ。.....だから本当に申し訳ないけど君はあまり好きになれないかも。俺」
「.....ちょっと待て仁。どういう事だ」
「.....まあ簡単にいうと、達也を根本から好いているとは思えない、と言える所かもな。すまないが」
俺は見開いて驚愕してミーシャを見るが。
ミーシャは全く動揺しないで俺を笑顔で見ている。
そして仁を見る。
仁はまたニコニコしているが.....中身の無い笑顔だった。
警戒している。
すると仁はさらに言葉を続けていく。
「.....俺さ。君のそういう笑顔が嫌いなんだよね。.....軽々しく人を見ているっていうか。かなり問題が有るかもね」
「おい.....仁。それは言い過ぎ.....」
「.....達也。お前はおかしいと思わないのか。.....こんな時期にしかもお前が知らないのにお前を好いている転校生。.....どうもシナリオが全部で良すぎる気がする。.....何かおかしいと思わないか?」
「.....確かにそうだが.....だけど根拠も無しにそんな探りをかける様な真似は.....」
「俺はお前のダチだ。.....つまり俺にはダチを守る権利はある。.....ので。.....まあミーシャさん。誤解だったら真面目に土下座するけど.....」
しかし次の言葉でその全ての態度が一変する。
仁はそれなりには笑っていたが.....だ。
万が一にも達也に迷惑が掛かる真似をしたら許さんぞ、とニコッと可愛らしいがかなり威圧している笑みを浮かべた。
俺は見開きながらその間に.....美幸のメールを読む。
ハッとしたのもあったから、だ。
(ミーシャさんという女性がいらっしゃりませんでしたか)
(.....居るが.....どうした?)
(その女性は.....お母様のお知り合いです。.....警戒してほしいです)
(.....何.....)
俺は顔を上げてミーシャを見る。
ミーシャは.....少しも警戒心を持たずだったが。
突然、お手洗いに行って来ます、と俺に笑顔で手を振った。
そして行ってしまう。
俺はその事に.....仁を見る。
「.....仁。.....お前あんな子と出会った事が?」
「.....まあね。あるよ。親父との付き合いだしな。.....それなりに嫌な事はあったさ。だからそれで学んだっていうか」
「.....」
「さて。それはそうと。ミーシャが行ったな。.....取り敢えず追跡すっか」
「馬鹿なのかお前は.....それって良いのか?」
追跡ぐらい良いんじゃないか?、と俺をニヤッとしてみてくる仁。
俺はビックリしながら.....盛大に溜息を吐く。
全く.....コイツという馬鹿野郎は。
思いつつ居るとそのまま仁は追跡を始めた。
マジかアイツ.....。
☆
「屋上に忍び込むぞ。どうも行った様だしな」
「.....何で分かるんだよ.....」
「.....カンだな。まあ。屋上に行っているんじゃないかって。しかも鍵が掛かるしな。屋上」
「.....まあ確かにな。でも.....結構、警戒しているんじゃないか?」
「.....まあ屋上の鍵ぐらい開けれるけどな。俺」
最低だなコイツ。
何でそんな技術持ってんだよ。
俺は額に手を添えながら.....溜息を吐いた。
それから.....屋上のドアを見つめる。
「.....よし。じゃあ突破するから」
「.....お前マジか?.....これは冗談じゃなくて?」
「当たり前田のクラッカーだぜ。.....行くぞ相棒」
それにアイツに興味有るしな正直。
とワクワクしながら仁は何処からか取り出したツールでドアの鍵を開け始めた。
屋上のドアを、だ。
こんなもんは車上荒らしよりも楽だぜ、とニヤニヤする仁。
それから直ぐに屋上のドアは開いた。
そして静かに開ける。
するとこんな声がした。
「.....れてますね」
「.....?」
「.....」
「バレています。奥様。どうなさいますか」
そんな感じのミーシャの話し声。
何だ奥様って。
バレています、だ?
どうなっている.....!?
仁は、やっぱりかあの野郎、と汗をかいて呟いていた。
「全く.....クズだな」
「.....お前も大概にクズだけどな」
「.....俺はクズだから問題ない。.....だけどあの女はもっとクズだ」
「.....お前.....」
いやまあ良いけど。
顔を引き攣らせて考えながら俺は盗聴を続ける。
するとミーシャは、分かっています。私は.....達也様が本当にお嬢様方に相応しいか.....判断致します、と話した。
何だそれ.....?、と思いながら聞く。
「.....成程な。そういう事か」
「.....どういう事だ?仁」
「.....もしかしたらだけど.....お前を見張る為かもな。あの女が来たの」
「.....え?何で?」
「多分.....お前をなんか.....観察とかしたいんじゃないか?」
いやいやマジかよ.....。
そんな事で呼んだのかミーシャを?
俺達は.....顎に手を添えながらそのままドアを閉めた。
それから鍵を掛けて.....そのまま去る。
一旦作戦を考えなくてはいけないだろう。
「.....うーん。取り敢えずは.....お前も気を付けた方が良いんじゃないか?」
「.....そうか?」
「ああ。まさかそんな事の為に送り込んで来るとはな。.....でもちょっと待て。.....だったら何でお前にイチャイチャしているんだ?」
「.....分からない。.....何でだろうな」
全くどいつもこいつも分からんもんだな、と仁は溜息を吐く。
その姿を見ながら、そうだな、と俺は答える。
それから戻って来ると美里が居た。
美里も顎に手を添えている。
「.....美里?」
「思い出した。あの子.....何処かで見た事があると思ったけど」
「.....あの子は.....誰だ?」
「.....あの子は多分.....何かのスパイかも。.....お母さんの側の」
「.....なーる。やっぱ確定かもな。.....達也」
真剣な顔で俺を見てくる仁。
それから、何かあったら俺も居るし.....まああまり変な動きをしなければ取り敢えずは大丈夫だと思うから、と笑みを浮かべた。
すると美里が迫って来る。
「それはそうと!私以外のエッチな子にデレデレしないでね。何だかムカつく。あの子許せない」
「.....お、おう。しかしエッチな子っておま」
「エッチじゃない!あの子!」
「教室でエッチを連呼するな!!!!!」
エッチエッチを連呼すな!
男子が嫉妬どころじゃなくなるし!!!!!
全くもう、とプンスカする美里を見ながら俺は盛大に溜息を吐きながら。
屋上に居る.....謎の女スパイのミーシャの事を.....考えた。
困ったもんだな.....うーん.....。
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