第24話 仁の意外な才能と美里と美幸の達也を巡ってのバトル
「お主.....汚いぞ本当に。全く.....」
「アタシは汚いとは思わないかな。.....それにマジな頼みだし。必死なのよこっちも。ゴメンな」
「全く.....」
「最近、帰宅部が増えてるって知ってさ。それが現実で本気で困ってんだよ」
「.....まあ聞くけどさ。そういう噂も。だからと言え.....」
俺はニコッとしている生島を見つつ。
額に手を添えながら、やれやれ、と息を吐く。
さて.....約束すると言ってしまったもんは仕方が無いが.....まさかこのファミレスで実際に俺が働く場所の体育祭実行係の委員長と面会する事になるとはな.....。
俺は盛大に溜息を吐きながらファミレスで緊張気味に待つ。
するとファミレスのドアが開いた。
誰かが俺達に近付いて来る。
で、明るい声がする。
「やっはろー」
「.....み、美里!!!!?お前.....体育祭実行係の委員長なのか!?」
「そうだぜ。三菱。美里が協力してくれるって事になったんだ。.....まあだからそれもあってお前に来てほしかったんだよ」
「いや.....マジかよ.....そういうの進んでするタイプじゃ無かったと思うんだが.....」
私服姿の可愛らしい美里が立っている。
長ズボンにTシャツ?と言える感じの.....ファッション誌に載ってもおかしくないぐらいのである。
流石可愛い顔立ちだけあるな。
可愛らしい姿だ。
俺は赤面しながら.....前を向く。
頼まれた事を断れなくて、と苦笑する美里。
コイツ.....まさか。
と思いながら聞いてみる。
「お前さ。.....これ.....計画組んで絶対に仕組んだろ?」
「私?これ?.....うん。当たり前だよ」
「認めるなよ!!!!?俺とずっと一緒に居たいから仕組んだんだな!?」
「そうだよ?当たり前だよね。だって達也と一緒になるって事だから私は受けた。ただそれだけ。達也が来なかったら辞退するよ」
「お前という.....いや、まあ良いけど.....」
俺はまた盛大に溜息を吐きながら生島を見る。
まあまあ、と生島は言っている。
だって頭良いしさ、ともだ。
それから咳払いをして、じゃあ話し合いを始めようか、と笑顔を浮かべた。
俺は、やれやれ、と思いながらそのまま体育祭の件に関して話し合いを始める。
☆
「まさかお前がこんな真似をするとはな」
「私は達也しか見てないし。正直言って今回の体育祭も達也の為なら成功で達也の為なら不成功で良いの。どうでも良い感じ」
「.....いや。良くない。.....絶対に」
「.....まあそうは言ってもなったのは私だし。.....もう変えれないし。アハハ」
全くどいつもこいつも.....。
と思って考えて帰宅していると。
そういえば今回だけどっかの中学と合同の体育祭じゃ無かったか?、と聞いた。
確か俺の学校が創立30周年を記念して、だ。
するとその事に、ああ。えっと.....確か美幸の学校だよそれ、と答えた。
え?.....え?
「美幸の学校だよね。何か美幸は張り切ってるよ。達也さんと一緒になれるとか言いながら」
「.....」
神様。
アンタって奴は。
この街には2か所中学校が有るのに何故.....美里の学校になっているのだ.....?
俺は何度目かの盛大に溜息を吐きながら額にまた手を添えた。
そうしていると。
「何ですか?そんなに嫌ですか?私と一緒が」
「.....うわ!?」
「み、美幸!?」
「生島さんに聞きましたよ。.....達也さんは.....体育祭の実行委員の係をするって。.....これはチャンスですね」
買い物袋を持ってからニヤッとする美幸。
俺は?を浮かべながら.....美幸を見る。
美幸はニコニコしていた。
どういう事だ。
「.....何がチャンスなんだ?美幸さん.....?」
「だってそうでしょう。.....これは達也さんと一緒になれるって事ですよね」
「.....美幸。それは許さないよ。私だって.....達也と一緒になりたいんだから」
「.....じゃあお姉ちゃん。決めようか。.....どっちが相応しいか。.....達也さんと一緒になるのに」
バチバチと火花を散らす2人。
いやいやちょっと待て俺の意見は無視ですかね?
苦笑いを浮かべながら.....顔を引き攣らせる。
それから美里と美幸は俺に向いてくる。
「負けられないです」
「私だって負けないし」
俺をジッと見てくる2人。
その姿に、お前ら.....落ち着け。
とそんな感じで居ると。
背後から男の声がしてきた。
「可愛い子連れてんじゃん」
「ひゅー。良いねぇ。何の喧嘩?」
俺達の様子をずっと伺っていた様な感じの不良達。
その事に目線を鋭くしてからその2人居る.....不良を見る。
それから、騒いだせいで余計なもんが来た、と思ってしまった。
腕を掴んでくる感じで手を差し出してくる。
俺は見向きもされてない様だ。
「ちょっと何ですか」
「いや。そんなだせぇ男と一緒じゃなくて俺達と遊ぼうぜ」
「.....私は中学生です」
「関係無いし。カワイ子ちゃんだったら何でも」
そんな4人を見てから。
俺は何度目かも分からない溜息を吐いた。
それから不良の1人の腕を掴む。
そして見た。
「すいません。俺達が迷惑を掛けて。でもこの子達は俺の連れなんで。そういうの止めてもらえますかね」
「.....は?お前はすっこんでろよ。俺達が用があるのはこっち」
これは面倒臭い事になった。
俺は思いつつ通行人を見るが。
通行人も避けている。
じゃあ俺がやるしかないな.....と思っていると。
何故か知らんが通行人に混じって仁が寄って来た。
「よお。相棒。どうした?」
「.....オイ。仁。見りゃ分かるだろ。絡まれてんだよ」
いやいやコイツ。
コイツまで巻き込むつもりは無いんだが。
と思いながら睨まれている仁を見る。
まさか仁が来るとはな、と思いながらだ。
「ふーん。絡まれてんのね。.....オイ。クソ馬鹿ども」
「.....あ?」
「は?クソ馬鹿っつったかコラ」
「その子達は、ソイツは俺の相棒とダチなんで。勘弁してくれよ」
だが不良はその言葉に怖気づくどころか。
大笑いして仁を殴ろうと拳を繰り出してくる。
ヤバイ仁が殴られる.....!、と思いながら見ていると。
仁はそれをひらっと躱す。
俺は見開いた。
「相棒。.....取り合えずコイツ等は俺に任せて。お前の任務はその子達の避難だ」
「は!?いや.....お前.....いい加減に調子に乗るなって。強く無いだろお前」
「いや?案外強いよ?俺。だって空手習ってるしな。所有が2段だぞ俺」
「.....へ?」
今何つった。
仁の有り得ない才能を垣間見た気がしたんだが。
それから不良に拳を腹に思いっきりぶつけて1人を気絶させ.....ぇえ!?
俺達は愕然としながら仁を見る。
マジかコイツ!??!?
「じ、仁くん.....まさかだね。.....強いね.....」
「マジかコイツ」
「.....と、とにかく離れましょう」
それから俺達は喧嘩場から離れた。
そして駆け出して行く。
仁を残して、だ。
因みに.....この後、仁は残りの不良を倒してしまい。
そのまま俺の家まで警察の手から逃げて来ていた.....。
信じられないのだが。
そんな強かったのかコイツ。
ただのチャラ男と思っていたんだが.....。
☆
「チャラ男だけどまあ鍛えているからな。仮にも」
「.....お前を馬鹿にしていた俺を殴りたい」
「.....仁くん格好良いね」
「有難う。仁さん」
仁は笑みを浮かべて拳に絆創膏を貼った。
それからニヤッとする。
どういたしまして、と笑顔で、だ。
しかしコイツが空手の上位とは.....うっそだろって感じだが。
「何でそれで童貞なんだお前は」
「.....殺すぞ?俺だって好き好んでこんなで居るんじゃねーよ」
「仁くんのその強さならモテそうだけど.....」
「そうだね。お姉ちゃん」
「まあ色々有るから。しゃーないのよ」
アハハ、と笑顔を浮かべながら見てくる仁。
それからドリンクを飲んだ。
俺はその姿に、でも助かったよ、と笑みを浮かべた。
それに対して、まあたまたまだけどな、と柔和になる仁。
「でも喧嘩に間に合って良かった。買い物途中だったんだが」
「.....助かった。割とガチに」
「そうだね。達也」
「お礼しないと.....」
お礼か.....そうだな。
じゃあ今度。俺と琴が買い物行くんだよ。
それを支えてくれないか?、と笑顔を浮かべる仁。
俺達は顔を見合わせた。
それから、分かった。約束する、と頷く。
「まあ頼むわ。それなりに。.....相棒」
「.....分かった。それがお礼だな。やってやるよ」
「やる気が出てきたね。美幸」
「だね。お姉ちゃん」
美幸と美里が頷きながら顔を見合わせてニコニコする。
こうして仁のデート計画にテストにそして色々.....忙しくなってきた気がした。
俺は仁の事を改めて見直しながら窓から穏やかに外を見る。
それから、やれやれ、とまた呟く。
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