第19話 10年前の反省

「私.....エッチな事をやり過ぎたと思ってるんだよね」


「.....お、おう」


「.....だから私はエッチな事をそれなりに控えようと思う」


「.....お、おう」


何でそうなるのか。

というかいきなりそんな事言われましても。

思いながら俺は風呂上がりに美里にそう言われたのでリビングの椅子で会話する。

美里はジッと俺を見てきている。

その顔は真剣な顔だ。


「.....美幸と達也に嫌われたくないしね」


「っていうか初めから控えてくれよ。.....美幸はエッチなのはキツいって言ってたぞ」


「エッチなのは私だから。それは控えたくないけど」


「.....そ、そうですか」


俺は額に手を添えながら.....美里を見る。

美里は髪の毛をイジイジしながら.....俺を見てくる。

達也はエッチな女の子は嫌い?、と聞いてきた。

うーん。


「.....エッチなのは嫌いじゃない。男だしな俺は。だけど.....やり過ぎは良くない」


「.....だよね。.....だから私は抑制する」


「.....そうか」


「バイ◯も封印する」


「.....そ、そうか」


そりゃそうだろうな。

俺は苦笑気味に.....美里を見る。

すると美里は、だからご褒美を頂戴、と言ってくる。

ご褒美って何だ。


「今度デートしてくれない?」


「.....デートって何処に行くんだ?」


「.....駅前のクレープ屋さんとか」


「.....成程な。言ってたもんな。お前」


「クレープ食べたい」


まあ確かにな。

あのクレープ屋は気になっていた。

丁度良い機会か、と思いながら顎に手を.....お?

そういえばクレープ作る.....の。

家でも出来ないか?


「美幸に頼んだら出来ないか?クレープ」


「.....あ。確かに」


「明日でもやってみるか。明日は土曜日だしな」


「成程。楽しみだね」


「クレープって.....あれでも出来るよな?パンケーキの素」


「うん。多分」


そうか。

それだったら楽しみだな。

俺は考えながら.....顎に手を添えてから美里を見る。

すると美里は俺に手を差し伸ばしてきた。

それから握ってくる。


「ね。達也」


「.....ど、どうした。いきなり」


「.....私、謝らなくちゃいけない事があるから」


「.....何を?」


「.....10年前の事。.....美幸も恋に参加してくれたから.....だから今だったら言える。.....10年前の錠。.....何処かに捨てちゃったから.....」


「.....俺がずっと好きだったんだろ。お前。だから封印したんだよな」


そろそろ美幸から聞くかなって思ったから、と唇を噛む美里。

それから、馬鹿だったよね。私.....、と涙を浮かべる。

嫌だったから.....取られたくなかったから。

だから私は.....やってしまった。

と泣く。


「.....お前も鍵を持っているのか」


「.....持ってるよ。今も大切にしているよ」


「.....そうなんだな。.....でも話してくれて有難うな。.....もう良いんだ。そんな事で運命を決めるのは良くないしな。俺は美幸も美里も幸せにしたいしな」


「.....達也らしいね」


「俺は.....相変わらずだよな。でもイジメがあってから.....コイツらを見返してやろうと思ってから.....変わった。人に出会ってから暖かさを知った」


そういう達也が好きだよ、と笑顔を浮かべる美里。

俺は.....その姿に笑みを浮かべてから。

美里の手をゆっくり握り返した。

それから柔和な笑みを浮かべて見つめる。


「.....達也。大好き」


「.....有難うな」


「.....でも本当に御免なさい。.....許してとは言わないけど.....2度とこんな事しないから。本当に」


「.....美里。お前がそうしてくれて有難かった。何故かって言えば本当に運命を決めている感じがしたしな。捨ててサンキュー」


「そういうの嫌いなんだね」


「嫌いだな。そういう運命は人がそれぞれ各々に決めるもんだ」


そう。

例えばそれで昔から決まったところで。

それが本心とは限らない。

人を作っているのは気持ちだと思っている。

だから人を繋げるのは全て気持ちと思っているしな。


「俺は昔から人を信じれなかった。だけどそれを変えてくれたのはお前らだ。.....そんなお前らに感謝の気持ちを伝えないといけないしな」


「.....達也.....」


「.....だから俺は自らで歩みたいのさ。.....切り開きたいんだ。道を自ら」


「うん。応援する」


「.....例えばどっちになったとしても。.....俺は絶対に後悔は無い」


神様って奴には申し訳ないけど。

俺は昔から運命を決められているのは嫌いだ。

だからそれをぶっ壊していく。

そして今を生きていこう。

思いながら俺は.....柔和な感じを見せた。


「俺はお前が好きだ。.....だけど美幸もそれなりに頑張っているからな。今は保留で良いか」


「.....当たり前だよ。達也。私が美幸と勝負って言い出したんだよ?それで納得しないって思ってる?」


「.....良いや。思ってない」


「.....うん。だったら.....保留でも何でも構わないよ」


ドアが開く音がする。

だけどそれは悪魔の門じゃない。

全ての青空のドアが開く感じである。

ドアが開く度に.....俺達は成長出来る。

そんな気がするのだ。


「ところでお兄ちゃん」


「.....やめーや。お兄ちゃんやめーや」


「私と美幸はどっちがスタイル良いかな?」


「.....何の話だ」


「.....コスプレしようと思って。アニメにもっと詳しくなりたいしね」


「.....でもコスプレなんて嫌がるだろアイツが」


でも達也の為なら喜んですると思うけどな。

と笑顔を浮かべる美里。

いやいや全くな.....、と思いつつ考えていると。


ちょうど、生島ちゃんにもオススメ聞いたしね。

と笑顔を浮かべた美里.....いつの間に交換していたんだよアドレスを.....。

と思いつつまた額に手を添えるとモノマネをした。


「三菱の為なら喜んでアドバイスでもやってやるぜ、とアドバイスくれた」


「.....アイツめ.....」


「だからアドバイス通りにやってみる」


「.....そうかい。分かった」


「勿論、コスプレは達也もね」


「.....いやいや。ちょっと待て。何で俺まで.....」


それはモチよ!、とふざけて親指を立てる美里。

いやでも、俺はいいよ。

多分、モロ似合わなしな。

顔立ちも整ってないし、と思っていると。

美幸が、良いじゃないですか、と声を掛けてきた.....いつの間に!?


「私、達也さんのコスプレ.....見たいですよ?」


「いつから聞いていたんだお前.....」


「コスプレの話からです。ちょうど今、洗濯していましたし」


「.....ハァ.....」


日常はこうやって過ぎていく。

だけどとても楽しい日々の様な気がする。

この日々が続いてくれると嬉しい。

そんな感じで俺は目の前の姉妹を見ながら苦笑した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る