第16話 仁と美幸と部室の仲間と達也と
「じゃあ.....屋上で.....で、デートしちゃったんですか?」
「派手だな!三菱!アハハ」
真っ赤になる夢有さん。
そしてニタニタする生島。
文芸部の部室にて。
この人達なら信頼出来るので屋上デートを話した。
というのも生徒指導室に呼ばれた事で話題になってしまっていたので芋づる式に察されてのバレてしまい。
俺は顔を引き攣らせての苦笑いを浮かべていた。
「派手な事するね。まさか美里ちゃんの妹ちゃんと屋上デート?しかもこの学校に中学生?アハハハハ大スクープだね」
「す、凄いというか.....羨ましいです。そんな愛せるなんて」
「いや.....俺じゃ無いんだけどな。当初の計画の主は。.....成り行きで、だ」
生駒先輩が来るまで、という感じで部室で会話していた。
まだ活動は始まってないが2人が集まっていたので、である。
俺は頬を掻きながら恥じらう。
すると.....ドアが開いた。
生駒先輩?、と思ったのだが。
「達也さん」
「.....おま!!!!?来たら駄目って言ったろ!!!!?」
この学校中に知られたら大変だぞ!
何故か知らないが。
変装した美幸がやって来た。
部外者はマズイって、と思ったのだが。
美幸は、いえ。大丈夫です。私はお父様の連れ子の意味で来ましたので、と言い訳をし始めた。
いや、先生達が納得するかそれ?
と思ったのだが。
「ほえー!!!!!人形みたいですっごい可愛い!」
「流石に美里さんの妹さんだけある.....可愛いです」
ノリノリで美幸に近付く2人の女子。
俺はその姿に額に手を添えてから。
そのまま苦笑いを浮かべた。
だがその美幸は.....何故か俺にジト目を見せている。
な、何だ。
「.....達也さんはこんなに可愛い女の子の先輩方と知り合いだったんですね。.....最低です」
「お前は何か誤解してないか?.....確かにコイツらは知り合いだがそんなのじゃない」
「.....へー.....」
流石は美里の妹。
滅茶苦茶に目が鋭い。
ジト目するとこんなに怖いのかコイツは。
考えながら俺は青ざめる。
するとそれを聞いた2人が、山菱くん(三菱)とは部員の関係ですよ(だぞ)、と目をパチクリしながら説明した。
「.....本当ですか?」
涙目になる美幸。
クソッタレ。人形みたいで可愛いな、と思っていると。
キュンとした夢有さんがワキワキさせた。
手を、である。
ん.....あ。
「あれま。ヤバい。スイッチが入った」
「止めろ!!!!!生島!大変な事になるぞ!!!!!」
夢有さんがニヤッとする。
それを見た美幸が目をパチクリしながら?を浮かべた。
俺は.....顔を青ざめる。
それはまた別の意味で、だ。
で、止める為に生島も動いた。
「可愛いから襲いたくなる」
「.....もしもーし。夢有さん?落ち着いて下さい」
「えへ.....えへへ。可愛いもの大好き.....」
「ヤバいな。また制御出来なくなるぞ。どうする?三菱」
「止めろ。とにかく。美里のピュアは俺が守る!!!!!」
純潔だけは俺が守ってみせる!!!!!
俺は言いながら必死に宥める。
夢有さんは襲う。
生島も必死に止めていた。
何か恐怖に感じたのか美幸が俺の背後に逃げる。
そんな構図が出来上がった。
ガラッ
「.....何しているんだい?君達」
「生駒先輩。すいませんが助けて下さい.....」
生駒先輩は驚愕しながら目を丸くする。
そして俺達は何とか夢有さんを抑える事に成功した。
言い忘れていたが夢有さんは.....タガが外れると。
暴走モードに入るのだ。
原因は、可愛いもの、である。
☆
「えっとですね。.....お姉ちゃんの件ですが」
「.....おう。どうなった」
「.....このままお父様が休学させるって言ってます。お姉ちゃんを。それで家に連れて帰るそうです」
「.....やれやれだな」
結局そうなるか。
あのお父様という奴は。
だけど自らが言わない限りそんな事にはならないけどな。
俺は思いながら部室で美幸の話をみんなで聞いていた。
それから額に手を添える。
「何だその親父。殴って良いのか?最悪だな」
「落ち着け。生島。殴ったらヤバいぞ」
「美里ちゃんがヤバいんだろ?殴りたい気分だ」
「お前は何でも暴力で解決しようとするからな。駄目だ今回は。お前が退学になる」
それよりも穏便に考えよう。
そう思いながら.....面接室がある方向を見る。
面接室では美里とそのお父様が話しているのが見えた。
この角度から丁度見えるのだ。
因みに様子をみんなも.....見ていた。
「あの禿げか?舐め腐ってんなオイ。ぶっ飛ばすぞ」
「駄目だっつってんだろ。お前よ」
「しかし三菱。このままで良いのかお前?」
「俺にはどうしようもないけどな。.....でも確かに怒る気持ちは分かる」
どうしたもんかね、と思っていると。
じゃあ、と夢有さんが言い始めた。
それから立ち上がって胸に手を添える。
私達が助けましょう、と言いながら、だ。
「賛成だな。アタシも腹立つし助けたい」
「僕もそれなりに協力はするよ」
「私も.....お姉ちゃんを助けたいです」
「当然ですが言い出した私もです。じゃあみんなで行きましょう。一緒に」
いや。まあその。
その。言い出すのは簡単だが。
俺は賛成出来ないな。
あの親父に手を出すのは、だ。
それに説得の力が足りない。
仮にも親父なんだからな、と思っていると。
またドアがガラッと開いた。
それから額に手を添えて格好をつけた仁が入って来る。
呼んだか?、と決め台詞を言いながら.....いや。つーか呼んでないんだが。
何しに来たんだコイツ。
「実はな。十影さんの家族と俺は知り合いだ」
「.....は?嘘吐くなよ?」
「嘘じゃねー!!!!!なんて事を言うんだ!!!!!」
「お前だからな。女の為なら嘘も有り得るしな」
「最悪の最低だなお前!この状況で嘘を吐くか!?」
まあそれはおいて置いて!
実は俺の親父は整形外科とは取引の仲の社長でゴルフ仲間だってよ。
とニカッとする仁。
お。おうマジか?
そんな事初めて聞いたけど。
っていうか.....仁が金持ちだってのは知っていたが。
「何というかお前が役に立つ日が来るとはな」
「いや、そんな事言うなよ。俺達はダチだろ。お前には毎回、世話になっているしな。達也」
「.....取り敢えずそれなら説得出来るかもな。よし。やってみるか」
そして取り敢えずはお父様とやらを説得する事になった。
勿論、乗り込む訳にもいかないので外で話をしてみる事にする。
お父様は美里と一緒に帰るそうなので、だ。
俺は思いながら.....時間が経つのを待った。
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