第5話 美里の正式入部とエロエロと文芸部の存在理由と
「紹介するよ。美里。この人達を」
美里がトイレから戻って来てから。
俺は美里に3人の少女と少年を紹介した。
その人達は頭を下げながらそれぞれ自己紹介する。
対面の感じで左端に座っている少女が先ず自己紹介した。
「初めまして。夢有美都子(ゆめありみとこ)です。好きな物はパフェです。17歳で.....山菱くんと同級生です」
律儀にまた頭を下げる二つ編みの髪の毛の少女。
丸眼鏡に穏やかに笑みを浮かべている。
それから.....顔立ちは美少女に近い。
清楚な感じだ。
「次は私だな。.....私は生島美晴(いくしまみはる)だ。何というか好きな物は辛い物。何かあったら質問してくれ。あ、因みにあたしも山菱と同じクラスメイトだ」
2人目。
ニコニコしながら八重歯を見せてから胡坐をかく少女。
因みにスカートの中はスパッツである。
その為見えない。
いや、残念とかじゃ無いんだけど。
顔立ちはイケメン系の美少女。
爽やかなボーイッシュな短髪の少女。
日焼けが目立つ感じだ。
いわゆるスポーツ系だが.....訳があってこの場所に居るが。
「次は僕ですね。.....僕はこの部の部長です。3年生の生駒雄大(いくこまゆうだい)と申します。喋りは堅苦しいけど仲良くして下さい。.....あ。好きな物は甘いものです。この部の分からない所は大概答えれますので質問があれば」
生駒先輩。
顔立ちは穏やか系な感じの美少年。
それから.....そばかすがある。
そして.....短い髪の毛。
結構文学系の少年である。
「という事であとは俺。それで部活が成り立っているみたいな感じだよ。美里」
「.....女子ばかり.....」
「?.....何か言ったか?」
「何でもない。.....じゃあ私もこの部に入る。だって達也が居るから」
「.....お前マジか.....」
部員になるのは歓迎だけど.....良いの?、と生駒先輩が聞いてくる。
でもまあ.....本人が入りたいって望んでいるから。
考えながら俺は苦笑いで生駒先輩を見る。
そして告げた。
「生駒先輩。入りたいって言ってますし」
「.....じゃあ分かった。手続きを進めようか」
「有難いです。感謝します」
じゃあそれなら.....、と美里に向く生駒先輩。
それから笑みを浮かべてから、十影さん入部届有ります?、と聞いた。
すると美里は直ぐに取り出した。
そうしてから.....先輩は受け取ってから。
じゃあ活動しようか、と見てくる。
「今日の活動だけど.....小説の研究をまたやろうかなって」
「じゃあ私は文学系」
「アタシはラノベ!」
「.....オイオイ。また生島はラノベかよお前.....」
良いじゃないか!三菱!
とプンスカ文句を言う生島。
ラノベ好きだな全く。
思いながら俺は美里を見る。
美里は観察していた。
「美里は何を読む?」
「ラノベかな」
「え?本気で?」
「だって達也が好きなんだから。だったら私も」
「.....」
みんな真っ赤になっていた。
幸せそうだね、と言いながら、だ。
俺も赤くなる。
困るな本気で.....。
この甘々野郎め。
「達也はどんなラノベを読むの」
「俺は異世界系だぞ。お前に合うのか?」
「うん。じゃあ異世界系」
「.....オイオイ.....お前」
何?何か文句でもあるの?、と頬を膨らませる美少女。
俺はその姿に、いや、と柔和になる。
以前なら考えれなかったからな。
だってそうだ。
ラノベを嫌悪していたしな。
そして俺を嫌悪していた。
「.....変わったな。お前本当に」
「変わったよ。気持ちに素直になったしね」
「.....そうか」
俺は苦笑しながら生駒先輩を見る。
生駒先輩。同じものですけど良いですか?研究対象、と言う
すると生駒先輩は、それだったらどうせなら異世界系と現実世界系を分けて研究してみたらどうだい?、と提案してくる。
俺は美里を見た。
「だって。どうかな」
「.....良いよ。達也が良いなら」
「分かった。それじゃ研究すっか」
「うん」
じゃあ活動開始だ!
と手を叩いて活動が始まる。
因みに何故ラノベもアリなのかというと。
ラノベも奥深いしな、との生駒先輩の思いもあった。
☆
「ねえねえ。十影さん」
「何ですか?」
「ラノベ.....どういうのが好き?」
「私は.....初めてなんでよく分からないです。.....でも面白い系が好きです」
「じゃあ私はこういうのをお勧めするよ」
何か知らないけど美里が打ち解けている。
俺は.....その光景を見ながら昔の事を思い出す。
一切、人が近付けなかった氷の女帝の事を。
その時から比べたら本気で変わったよな。
「山菱くん」
「.....何でしょう?」
「最近、本を読んでいますか?」
「ラノベ以外にも読みますよ。結構」
「じゃあまた本を貸してほしいです」
「良いですよ」
俺と夢有さんはよく貸し借りをしている。
それはあくまで好きどおしでやっている事では無い。
本好きが影響しているのだ。
そしてこうして交換会とかしているのだ。
「もー。夢有さん。私の達也を取らないで」
「取って無いってばよ.....美里」
その光景を生駒先輩が眺めていた。
穏やかに、だ。
それから笑顔になる。
俺はその姿を見てから思い出す。
生駒先輩と出会った時の事を、だ。
実は俺を含めてこのクラスに居る4人は。
いや、美里もだけど。
みんな.....最悪な過去を抱えている。
それはそれなりに、だ。
だからただの文芸部では無いのである。
此処は.....そうだな。
息抜きの場所だけど。
俺達にとっては精神を落ち着かせる場所でもあるのだ。
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