第2話 3人の絆

俺達は3人で1つだった。

それはどういう事かというとその通りなのだ。

俺には2人の.....女の子の幼馴染がいた。


1人は.....それなりに幼い女の子だ。

1人は美里。

そして俺の様な。


俺達は何時も遊んでいた。

それは.....まるでそうだな。

空き地なのに遊園地で遊んでいる様な。

そんな楽しい感覚だ。

俺は.....その時間が何よりも好きだった。


だがある日の事。

美里と美里の妹の親父さんから俺になるだけ近付くな、という感じになり。

いつしか俺達は離れ離れになっていた。


その理由として美里の妹に傷を負わせてしまったのもある。

遊んでいる中、頭に傷を負わせたのだ。

ちっぽけな傷だったが娘を溺愛していた美里と美里の妹の親父さんは激昂したのだ。

それから近付くなというお達し。


美里の妹も俺も美里も。

みんな離れ離れになりその間にみんなそれぞれの目標を見つけた。

それから.....今に至っている。


美里の妹は美里を溺愛し、俺に対して敵対する存在になっていた。

洗脳されてしまったのだと思う。

それはとても悲しかった。

この世が変わるぐらいに、だ。


「えへへ。たつやー」


「良い加減にしろよお前!?この姿を他の奴らに見られたらどうすんだ!」


「構わないよ。私は達也が好きだから」


「俺は構わなくない!!!!!」


そんな言い争いが起こったのは3日後の事だ。

丁度、美里が退院した頃。

何時も車通いな美里がリハビリの為に歩いて登校する事になったのだが。


俺にベタベタであった。

紅潮しながら俺の腕に縋って胸を押し当ててくる。

まるで境界線を壊している様な。

異世界が現実世界に入り混じった様な.....そんな感じで関わってくる。


「美里。良い加減にしてくれ。こんな姿を仁とかに見られたら面倒臭い事になる」


「良いじゃない。仁くんには説明すれば。アハハ」


「良くない!!!!!」


そんな会話をしていると。

俺にドロップキックがかまされた。

そして俺は前にぶっ飛ぶ。


何だよ!?いてぇなオイ!?

なんだってんだ、と思い頭を触れながら涙目で背後を見ると。

仁王立ちしているチャラ男が立っていた。

それはまるで仁王像の様に、だ。

腕を組んで、である。


「お前.....何でそんなに美里ちゃんと仲良くなってんだ.....」


「オイ。何を誤解している」


「何を誤解!?アホなのかお前は!!!!!ドロップキックをもう一回かますぞ!!!!!」


「ハア!?殺すぞ!!!!!説明を聞けや!!!!!」


おう聞いてやるぜ?

それは200文字以内か?

と激昂している天津仁(あまつじん)。

俺の腐れ縁の友人だ。

200文字って何だよ。


固めた茶髪に胸元を少しだけ開けてネックレスをしている。

チャラ男だがモテない非モテだ。

馬鹿なせいだとは思うけど。

思いつつ仁を見る。


「じ、仁くん。やり過ぎだよ〜」


「まあアイツは頑丈ですから」


「失礼だな!!!!!頑丈じゃねぇ!」


俺は仁にツッコミを入れる。

この野郎!!!!!

しかしいきなりドロップキックをかましてくるたぁ良い根性じゃねーか!


俺は思いつつ仁を襲おうと手をワキワキさせながら仁を怒りの目で見つめる。

そして襲いかかる準備をした。

しかしそれを躱しながら仁はヘラヘラしながら、ところでこの状況はどういう事だ?、と聞いてくる。

このクソめ話を無理矢理、切り替えやがった。

殺してやる。


「ったく.....美里は頭を打ってからおかしいんだよ。仁」


「ああ.....交通事故だったな。.....それからおかしくなったのか?」


「まあそんな感じだ。.....それで今に至っている」


おかしくないもん、とツンツンする美里。

俺はその姿を苦笑いで見ながら、でもやっぱおかしいって、と話す。

仁も、まあ確かに可愛らしくなった様な?、と目を丸くする。

美里は、仁くんまでぇ、とプンスカする美里。


「少なくとも今の方が似合っているぜ。美里ちゃん」


「そう?.....達也がそんな事を言わないから。仁くんと付き合おうかなぁ」


「俺だったら何時でも歓迎だ。その馬鹿は放っておいて付き合おうか」


「いやいや何を話を進めてんだよお前ら。美里は.....」


そこまで言い掛けて俺は口を噤む。

この言葉は.....美里には掛けない方が良いかも知れないとそう思っていたのだ。

美里が好きという気持ちを、だ。


何故かといえば.....美里が混乱するかもしれないし。

それになんか色々と怖かった。

思いつつ一呼吸置いてから俺は話をしている仁と美里を見る。

それから笑みを浮かべた。


「行くぞ。学校に間に合わなくなるから」


「うん。.....でも達也。今何か言い掛けなかった?私に」


「気のせいだ。大丈夫」


「そう?じゃあ私、達也の腕を拝借して」


「だから殺されるって!!!!!色んな奴らに!!!!!」


「俺が殺してやるぜ」


「お前は黙れ!」


仁がニヤッとして何かを取り出そうとする。

おおう。刃物でも出す気かコイツは。

考えながら俺は苦笑して歩き出す。


全く美里の奴め.....心臓が痛いんだぞこっちは。

好きな人に腕を絡まれてしまって、だ。

勘弁してくれ。


「そういや脳波とか問題無かったのか」


「バリバリ元気だ。こういう性格の変化以外は」


「そうだよ。仁くん」


「.....ふーん。脳って複雑なもんだな。.....良いなぁ。.....俺も振り向いて欲しい人が居るんだが.....」


「え?仁。何か言ったか?」


「まあ何もねぇよ。すまん」


そして俺達は学校までやって来た。

それから.....待ち受けていたのは。

嫉妬に塗れたクラスメイト達だった。


バールと消化器とコンパスの針を持って立ち向かってきた。

コイツら何?ア◯アムア◯ーローの敵みたいな?

まるでそうだな.....童貞の晩餐会。

勘弁してくれ.....。

倒さなくちゃいけないのか?

殺人行為だしな。



「所でお前さんよ。美里ちゃんがああなっちまったけど大丈夫なのか?」


「何がだよ」


「いや。だって.....お前さん.....美里ちゃんの親父さんと仲が悪いんだろ?」


「それは確かにな」


「.....じゃあどうすんのん?」


美里は特進クラスに行った様な俺は顎に手を添えながらの2限目の休み時間。

考えを纏めていると。


山中巫女(やまなかみこ)がやって来た。

俺達のクラス委員だが。

仁と俺と中山は特に仲が良い。

ボブヘアーに髪の毛をヘアピンで纏めている。

それから黒縁眼鏡を掛けている美少女。

凛としているが優しい。


「聞いたよー。山菱君、付き合っているんだよね?美里さんと」


「誰から聞いたんだよ。それは誤解だ」


「美里さんから」


「あの野郎!!!!!」


俺は思いつつ頭を掻き毟る。

すると男子どもがまたピクッと反応した。

俺はそれを見つつ小声で中山と会話してみる。

それは完璧な誤解だ、と小声でである。

まるで赤ちゃんに対する囁き声の様に、である。


「え?でも付き合っている様に見えたってよ?他の女子達は」


「ないない。中山ちゃん。コイツにそんな根性ナイナイ」


「おう。ぶち殺す」


「やってみーや。返り討ちにしてやるぜ」


全くどいつもコイツも.....と思っていると。

教室のドアが開いた。

それからドドドと音を立てて俺に抱き付いてくる美里。

俺は、!!!!?、と思いながら美里を見る。

何だ?!え!?コイツこのクラスに来た事ねぇのに!?


「達也。えへへ。達也の匂い」


「お帰り下さい」


「そんな事言わないで!?」


「おう。達也。お前殺して良いか」


「止めてくれ。そもそも俺のせいかこれは」


そんな会話をしていると。

男子達が段々ボルテージを上げている様に見えた。

勘弁してくれってばよ、と思っていると。

美里が最終的に導火線に火を点けた。


「ねえねえ。病室で結局続き出来なかったよね。どうしよう?」


「は!?お前.....何を言ってん.....」


「おう。達也。それはどういう意味だ.....?」


オーイ。

お前ら達也を殺すぞ。

穴に埋めよう、という感じになった。

お前ら落ち着け!


ボルテージマックスの男達が俺に暴走モードでやって来る。

影を伸ばして、である。

まるで巨人だ。

超大型の。


「殺す!!!!!」


「テメェ童貞捨てたからって良い気になるな!!!!!」


「その通りだ!!!!!」


美里.....お前のせいで火が点いたぞ。

俺は思いつつ土下座した。

スライディング土下座を全員に、だ。

もうこれしか方法が無い。

全くどいつも美里も!


「アハハ。楽しいね。山菱君」


「いや全く楽しくない!!!!!」


学校でしかも何でこんな事をしなくてはならない。

俺は額に手を添えながら.....美里を見る。

美里は俺に対してニコニコしながら俺を突いていた。

全く無邪気なもんだ.....。

まるで子供じゃねーか畜生め。

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