第18話

しっかり怪獣共を駆逐し帰還するなり、わたしはフレイルくんに叱られた。


「どうしてあんな無茶するんだっ!バカっ!」


叱りながら抱き付かれ、まだまだわたしは力不足を感じた。

愛しい君を怯えさせてしまって、猛省。


「うむ…わたしはバカだ…君をこんなに怯えさせてしまっている…」


「そういう意味で怒ってるんじゃない!バカっ!」


「だが、わたしが戦わねば」


「だからっっ…もっと、俺の話、聞いてくれよっ」


ぎゅうっと両手を捕られ、わたしはフレイルくんの話にしっかり耳を傾けようと思った。

この潤んだ黒い瞳で見つめられると、わたしは途端にただのアレクになってしまうのだ。

話を聞くのは何処が良いだろうか?

ここは砦にあるわたしの休憩室。

故に横になれる寝所もある。

ということでわたしはフレイルくんを連れて寝所へ向かった。


「もちろんだとも。さ、こちらにおいで」


フレイルくんがあわあわし始める。

なんと可愛らしいことか。

最近覚えた、ニマニマを浮かべてしまう。


「…し、寝所ではだめ」


「わたしはここがよい」


抱き締めながら寝所へ転がる。

フレイルくんが逃げようともがくが、抱き締めて離さない。

戸惑って真っ赤なフレイルくん。

可愛い。


「だめ…だって…おれ…へんになるから…」


背いた首の筋が魅力的で、わたしはそこへ口付けた。


「あっん…だめぇ…あれく…」


身体から力が抜けてゆくのを察し、わたしはフレイルくんの衣服に手を掛けた。

駄目だと言う口、無抵抗の身体。

好きにして良い、というのをわたしは幾度かの寝所で学んだ。

フレイルくんの駄目は、シテ、なのである。


「あっ…ん…だめぇ…ぬがしちゃ…だめ…」


理解する。

全裸にして欲しいと。


わたしは優しく丁寧にフレイルくんを裸にした。

細くて貧弱と言って身体をくねらせ両手で隠そうとするが、わたしには魅力的にしか見えない。

だって騎士らしく鍛えられている。

腕も足も体も背中も、きちんと筋肉がついている。

傷がない事が恥ずかしいのだろうか。

けれどこの、真っ白な肌が好ましい。

滑らかで赤くなりやすいのが、良いのだ。


「…ぁ…はずかしぃ…」


「わたししか見ていない」


そもそも誰にも見せたくない触らせたくない。

話をしてほしくない。

わたしの腕の中にずっと居て欲しい。

その旨を伝えた所、フレイルくんは涙を流して悦び、出来る範囲そうしていよう、と約束してくれた。

その代わり、話をちゃんと最後まで聞き理解して欲しいと言われた。

もちろんだとも、と応えたのに、実行したのに。

わたしは後日、みなに、フレイルくんに叱られた。

それでもわたしは、幸せだ。

愛しい子らを、愛しい人を、護れる存在で在る日々で。

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ルナス帝国の白鷹様 狐照 @foxteria

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