第4話
何故かとても怒られた。
とてもとても叱られた。
いつもよりきつく、言い含められてしまった。
まず白き鷹隊結成以来ずっと思っていた事だと前提して、隊の子らがわたしに言った。
「毎度毎度前線に出過ぎです!」
「我々は子供ではありません!」
「おひとりで戦わないでください!」
「俺たちの怪我を治す前に自分の怪我治して下さい!」
「どんな気持ちでっ森を探したと思ってるんですか!勝手に居なくならないでくださいっ!」
騎士は、子らは、涙を流してわたしにそう訴えた。
何故だ。
わたしは、ただ、そなたらを護りたいだけなのだ。
「初代帝王との盟約なのは知っていますが、近年の白鷹様は常軌を逸脱しています。あんなにばんばん雷魔法を落しまくって、馬鹿なんですか?戦闘狂なんですか?限界まで、戦わないでください」
最近上代と変わった魔導師が冷静な口調でわたしにそう言った。
「魔導師殿言い過ぎですぞ…ですが、私めからもお願いが。貴方様は最早騎士の守護神に留まらず、帝国の神で在らせられる。古来より幾度の窮地から帝国を救った大英雄様。貴方様を敬わぬ者は帝国にはおりません。皆が敬愛しているのです。そんな貴方様が片翼を失くし森に消えた時、我らがどれだけ心を痛めたことか…どうかご自愛を…っ」
長らく現帝を支えている宰相が苦げにわたしにそう言った。
「まぁ、そういう訳だ、白鷹様。ご自身の立場ってのを考え直してくれ。ここに居る誰もが貴方の存在に勇気付けられている。居てくれたら、その白き翼が在れば戦えるんです。…護らせてくださいよ」
騎士に成りたての頃から知っている騎士団長が、苦笑しながらわたしにそう言った。
わたしはたたみかけるようにそう言われ、存在を否定されたような気分に陥った。
つまり、わたしが、していた全てが、愛しい騎士の。
あ、だめだ。
泣きそうだ。
「わたしは…我は…ただ…騎士を、護りたい…ただ、それだけで…」
「白鷹様…」
「みなのめいわくになっているのにきづかぬおろかもの…」
「あ、ちょ、ちが」
「しばらく…森に…おる…」
そうしてわたしは飛んで逃げた。
羽根がやはり痛かったが、とにかく会議室に居られなかったのだ。
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