第19話 鬼VSヘカテー 1
「降魔。降魔によって鬼が進化した~~!」
「これは鬼・改とでも言おうかね。」
「もうちょっと捻ってくださいよ。」
「何事も分かりやすくするのが解説のお仕事だよ。」
「ならば状況を盛り上げるのが実況のお仕事。ジャンジャン盛り上げていきますよ。さて、パワーアップした鬼・改の強さはどれほどだ。」
「私が見る限りではシルバーレア相当ではないかな。」
実況のミスター・Mと解説のミス・Xのやり取りに冷め始めていた観客たちにまた熱が入り始めた。
これにより賭けも始まる。
「人気は圧倒的にヘカテーだ~!しかし、大穴狙いの観客もいるぞ。」
「ここまで来たら鬼・改には勝っても負けてもいいとこを見せてもらいたいものだね。」
「てめぇとこんな形でやるのは2回目になるかね。」
「そうだな。」
試合が始まるまでのインターバルで鬼からヘカテーに話しかけた。
鬼としては会話でもして進化した自身の体を慣らしたいところなのだったが、ヘカテーの方がそれに応じるとは思ってなかった。
「それで、どんな理由で勝負に参加したんだ。」
「ソレはもちろん君と戦いたかったからだよ。」
「前回、あれほどに圧勝した相手にか。」
「勝負にならなかった、と、思っているのは君の方だけだよ。あれは私にとっては最高の戦いだった。所詮は小手先の器用貧乏の格下だと侮っていた私に痛烈な一撃だったよ。それまで同格のもの以外では私と対峙した時点で戦意を喪失していて、一睨みしただけで石にでもなったかのように動かなくなるものだった。しかしお前は違った。すでに終わっていると高をくくり呆けていた私の隙を突きこの顔に一撃を食らわせてくれた。」
「その後、怒り狂ったあなたにミンチにされたんですよね。VRでなかったら死んでましたよ。」
「ははは。VRでもショック死しかねないこともあるのだがな。しかもお前はあれだけの傷を与えても戦意を喪失しなかった。」
「悪魔憑きなら誰もが――――
「誰もが出来んよ。悪魔憑きの多くはイカレている。死への恐怖が無いものなど五万といる。」
「ならば俺なんてそのうちの一人だろ。」
「違うな。お前のは破れかぶれでの突撃では無かった。勝ちを狙いに来た者の目だった。だから私はお前が気に入った―――――
「その心をへし折ってやりたいと!惚れた男を振り向かせるかのようなどうしようもない劣情に身が焼かれてしまった。私はお前が欲しい。誰にも渡さない。ただ私だけを見いて豚のようにブーブーと鳴きながら餌を乞え。私だけの家畜に成れ。」
「……あえて言おう。―――――断る!」
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