第9話 サイクロプス
カズマの前には身長5mほどの単眼の巨人が立っていた。
サイクロプス。ランクはレアである。
カズマのコモンと比べてランクは二つ上だ。
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【サイクロプス】
ギリシャ神話における鍛冶の神、キュクロープスを英語読みしたものである。
神としては下級のものであり、後に怪物として描かれることになる。
このサイクロプスはその怪物としての方である。
顔の中央に丸い目が1つだけあるのが特徴で、肌は薄く青みがかっている。
元は鍛冶の神だけに筋骨隆々で、巨人族とも混同されることからその体は大きい。
身にまとうのはぼろきれ、手に棍棒がポピュラーなイメージだ。
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カズマの前に立つサイクロプスは度重なる戦いにいくつもの傷を負っているが、そこに疲労の色は見せていない。
対峙する二人の身長は3mもある。
その差が賭けのレートに如実に出ている。
観戦者の多くはランクが低くて小さい方の鬼が不利と見てサイクロプスにかけているのだ。
だが、大穴狙いで鬼にかけるものもいる。
今地上の観戦者は勝敗を予想して大きな戦いをしているところだろう。
その間にカズマはサイクロプスに訊ねる。
「オマエ誰だ?」
「俺様はダイゴ様だ。ここいらじゃ有名なんだぜ。」
「あぁ、ダイゴ、ダイゴね。聞いたことあるわ。」
「様を付けろ。小物が。そういう貴様はどこのどいつだ。」
「カズマっちゅうしがない荒らしやだ。」
「―――――――――――――――――――――ふ~~~~~。今日はツイてるぜ。カズマか。あのカズマか。」
「どのカズマかは知らないけどオタクの知ってるカズマかな。」
「ああ、その軽口、そして俺様を知らないということは俺様の知ってるカズマだぜ。ツイてるぜ。今日はそんな小せいなりで出てきやがって、勝時ってやつだな。」
「やっだなぁ~。勝鬨ってのは勝ってから上げるもんだぜ。」
「そうだな。そうだよな。勝たなきゃ勝鬨はあげらんねぇよな。けど見ろよ。レートは36倍差だ。皆、俺様が勝つと思ってるんだよ。」
「はっはっは、思っちゃったか。」
「だからよぉ~。おとなしくミンチになってもらうぜ。」
「断るね。俺もてめぇをミンチにしたいんだ。」
「ひゃっは~。そう来なくっちゃ、リベンジの甲斐もないぜ。」
「オタク何回目?」
「2回目だ。てめえの噂を調べるくらいしてきたぜ。」
「それで俺に勝つ気なんだ。」
「当たり前だろ。俺様達は病気なんだ。殺る気マンマンが常識ってもんだろうが。」
「だったら始めようか。
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