第4話 下町32番地
カズマがシャワーを浴びいて部屋に戻るとディアナによって朝食が用意されていた。
まぁ、手の込んだものじゃなくてトーストにベーコンエッグが乗ったラピュタ飯ではあるが、こうして誰かがご飯を用意してくれるのが嬉しいと思えるカズマだった。
「サンキュー。」
お礼を言ってメイドさん印の新鮮生絞り牛乳をコップに入れて、これを一気に飲み干す。
「ぷはぁ~~~~。旨い。やっぱり風呂上りはこれだな。」
「いつも思ってたけどその微妙にいやらしいパッケージの牛乳なんてどこに売ってるのよ。」
「これか?これは下町を中心に配達してくれる牛乳屋さんのオリジナル商品だ。」
「下町、下町かぁ~~。」
それじゃあ仕方ない、とあきらめ顔で頷くディアナに「いっただきま~~~す。」と言って、カズマは朝食にかぶりつく。
「加減はどうかしら?」
「うん、塩コショウの加減が絶妙だぜ。」
「それはよかったわ。」
モグモグと朝食を平らげたカズマはふと呟いた。
「今日はどうすっかな。」
「それなら明日まで2人でしっぽり過ごすのはいかが。」
カズマの疑問に答えたディアナは左手の人差し指と親指で作った輪っかに、右手の人差し指と中指で抜き差しする仕草をする。
「よし、外に行こう。」
「あらお外でするの。さすがに私でも恥ずかしいわ。」
「誰が外でするって言った。今日は普通に仕事だわ。」
「今日はって言った?なら後日ちゃんと――――。」
「しないわ。だから朝から下ネタ全開はやめろ。」
「残念ね。私やりたい盛りなのに。」
「少しは自重してくれ。」
「は~~~い。」
そうして外行きの為の服に着替えたカズマだったが。
「似合わないわ。」
「はぁ?」
ディアナからダメ出しを食らっていた。
そのカズマの服装と言ったら、よれよれのジーパンにブカブカのパーカー。パーカーの前は空いておりこれまたよれよれの赤いTシャツがのぞいている。青い空色のパーカーとは対比色だ。パーカーのフードも被っており、伸びっぱなしの髪も相まって表情が見えない。おまけに首には大きなヘッドフォンをぶら下げていてどう見ても陰キャ丸出しである。ラッパーかなんかだろうか。
「……今更俺の恰好に文句付けんなよ。」
「だってそれじゃあ私との釣り合いが取れてないじゃない。」
そういうディアナは可愛らしい甘ロリのドレスで今は大きなリボンで髪をアップにもしている。
まさにお人形さんのようである。
……中身を見なければだが。
「はっ、今更この町でつり合いもあったもんじゃねぇだろ。この都市は臭いもんをまとめて詰め込んだゴミ箱だぜ。」
「ペアルックとかしてみたいな。」
「お前に合わせて?」
「うん。」
満面の笑みを浮かべるディアナを無視してカズマは家を出ることにした。
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