第3話

…どうも。異世界に転生した路傍の石、改め高濃度の魔石です。


ちなみに、36回目の転生そのまま続行中です。


今は今代勇者のバッグの中にいます…。


このまま順当にいくと、自分は聖剣の一部に成りそうです。


いや、成りそうというか、確実に成ります…。


・・・・・・。


どうしてこうなった?!


今回こそは悠々自適に、自然と共に生命の息吹を感じながら、のんびりと人生(石生)を謳歌しようと思っていたのに!!!!


…まぁ、いっか。(←いいんかい!)


そうそう。この世界の聖剣というのはですね。

勇者が魔王を倒す為に必要な武器の事なんですけど。


この世界の魔王は、聖剣で心臓を刺さないと倒せないんです。異世界あるあるです。


それで、その聖剣は勇者が召喚される度に造られるんですけど。


聖剣の刃や持ち手の部分は使い回しなんですが、その繋ぎ目にあるガード(鍔)と呼ばれる部分には、魔石を嵌め込む箇所がありまして。


その魔石がですね。使い切りなんですよ。


何故使い切りなのかと言うと、聖剣を魔王の心臓に刺した時に、魔王の魂を聖剣に嵌め込んだ魔石に吸い取らせて、その魔石が砕け散る事で魔王討伐完遂!になるんです。


・・・・・いや待て待て待て待て。


自分、このまま順当に行くと砕け散るやないかい!!(←独りツッコミ)


何故に安心安全な転生先だった筈が、魔王の魂を取り込んで砕け散る事になってるんだって話ですがな!


と言うか、自分、勇者から初の転生先で魔王を選択した身なんですけど。


自分が内包する魔力やスキルには、実は魔王の魔力もスキルも持ってるままなんですけど。


えーと…この場合は、どうなるんだ??


このまま自分が聖剣に嵌め込まれたとして、今代の魔王の魂を吸い取る事はできるでしょうけど…砕け散るのって…出来なくないか?


砕け散るには、要は魔石の方が絶妙なバランスで脆く(弱く)ないと、無理だと思うんですが…。


え。じゃあ、自分は聖剣に嵌め込まれるの、拒否らないとヤバくないか?


今代の勇者、魔王を倒せず。

この世界、滅びる。完。


とかになったら、洒落にならないレベルで世界中の均衡が崩れまくるじゃないか!


ちなみに世界中というのは、この世界に紐付いてる異世界中であり、自分が元居た地球がある世界だって影響を受ける事になる。(と神様が言ってた。)


そう…転生2回目の時に、自分は神様から厳重注意をされたのだ。


『この世の凡ゆる生命は、偶然が重なり奇跡的なバランスで保たれているのだ。』と。


『この世界が滅びると、他の世界にも大なり小なり悪影響が及ぶのだ。』と。


まさか36回目の転生で、あの説明を頭の中で反芻する事になるとは…。


でも、勇者に自分を使うなと訴えたくても、口が無いから止めようがないしな…。


う〜〜〜む。困りましたねぇ…。


・・・・・・。


───まぁ今はまだ勇者のバッグの中だし…。


自分(魔石)が聖剣に嵌め込まれるには、まだ暫くは先ですし…。


聖剣に嵌め込むには、自分(魔石)の形を整える必要がありますからね…。


ふむ。それまでの間に、打開策でも考えてみますか!



〜続く〜


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る