第3話 告白した方の事情(2)



 ※



「ほら、向こうのコートで始まる試合、その中学のだよ」


 ここだと場所が悪い、とみんなで向こう側の応援席まで移動する。


 試合が始まると、話題のチームがどちらかは、教えられなくてもすぐに分かった。


 目立つ長身の二人が、パスを出し合い、素早く移動していく。


 一人はゴールから距離のある、3ポイントの地点から正確にシュートを決める。


 もう一人の方は、豪快に敵のディフェンス陣を押し切り、迫力のあるダンクシュート決めた。


 内と外で役割分担をしている様だ。


 3ポイントを決めた方は、明るい茶髪の目立つ、軽い感じのイケメンだった。髪を染めているのかと思ったら、瞳の色が緑色で顔は日系っぽいので、ハーフかクォーターなのかもしれない。


 もう一人の方は普通に黒髪で、ガッシリして体格がいい。


 でも、有名校の怪物達(モンスター)のように極端に長身だったりする訳ではない。それでも、二人の息の合ったプレイは、隣りで弱小校相手に、弱い者いじめのような派手で力任せなプレイをする有名校に見劣りするものではなかった。


 目立つ二人以外の選手も、普段相当に猛練習をしているのだろう。地味でも堅実で、二人のサポートをきっちりこなしていた。


 上手いし、何より楽しそうにバスケをするその姿に、僕は初めて、あの人達と一緒にプレイ出来たら、楽しく競技が出来るんじゃないかなぁ、と何とはなしに考えていた。


 ふと、近くの応援席で、そのチームに大きな声で声援を送っている女子中学生が目についた。


 知り合いか、もしくは恋人同士なのか、声援に応えて例の二人がこちらに腕を振っていた。


 その、応援をしている女子中学生は、多分僕の一つ上、選手の二人とも同学年な感じだった。


 点を入れるたびに立ち上がって歓声を上げる。


 そこには、3人の女子がいたのだけれど、気付くと、応援を盛んにしているのは、その中の二人だけで、残りの一人は、まるでまったく応援などしていなかった。


 むしろ、手に持つ携帯を覗いたり、暗い顔で溜息ついたりしているばかりで、応援席の賑やかなテンションとはまるで温度が違い、一人だけ世界が違い、ひどく浮いていた。


 つまらなそうで、面白くなさそうで、それでいて、何処か寂しそうで……。


 いつのまにか、気付くと僕は、試合よりもその子の事が気になって、目の端に捉えて様子をうかがっていた。


 何故だか気になる。


 自分にもよく分からない気持。


 それが、積もり積もって、想いが、巡り巡って、近い未来、同じ高校に入学して、バスケ部に入り、妙なキッカケで、告白する事になるなんて、その頃の自分にはまるで想像もつかない、笑い話にもならない現実とはかけ離れた話だった……。









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あー、予約忘れてて手動投稿です。

話飛んでる感じですが、そこら辺も徐々に、的な?

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