第4話 告白のその後(1)
※
放課後の、日が落ちる手前の時間、人のいない校舎脇で、私達は立ち止まって話していた。途中までは、普通 (?)な話だった筈のに……。
「……いや、こんな事を年上の先輩に、冗談で言ったりしませんよ?」
と真剣な顔で否定されても、私としては、アワアワするだけで、何をどう答えていいか、もう頭の中がグチャグチャで訳が分からない。
私のうろたえ具合を見て、彼はちょっと困ったような顔をする。
「別に、返事は今すぐでなくて構いませんから、前向きに考えてみて下さい。じゃ、俺、部の練習に戻りますから」
行儀よくペコリと頭を下げて彼は、私の前から足早に走り去って行った。
「あ……」
衝動的に呼び止めようか迷ったけれど、呼び止めてどうするっていうのだろう。
私は、伸ばしかけた手を降ろして、大きな溜息をついた。
私は正直言って、こんな恋愛漫画じみた出来事に、生まれてこの方一度として合った事がなかったし、この先もないのだろうと、何故か高を括っていた。今思えば謎な自信だ。
でも、人づてにラブレターとかを貰った事ぐらいは何度かあった。興味がないので全部断っていた。中身をまともに読んだ覚えすらない。
手紙と告白とでは、まるで違うものなのだと、されてみて初めて気が付いた私なのだ。
「う~~~……」
唸ってうずくまり、頭を抱えるが、どうにもうまく頭がまわらない。
自分だけで考えても不毛なだけのようだ。
(誰かに相談……)
なんて考えても、出来る相手は限られている。お母さん……には流石にしたくない。場合によっては誰よりも頼りになる母親だけれど、こんな話をしたら、喜んでお赤飯を五合ぐらい炊きかねない。
後、相談出来る友達なんて、自慢じゃないけれど、二人しかいない。内一人は、すぐに会えない場所にいる。学校の寮住まいなのだ。電話やラインだと、こんな真面目で深刻な相談はしにくい。消去法でもう一人しかいないのだけど、なんとなく恋愛事は、母親と同じぐらいにしたくない相手だ。
(……でも、一人で考えてもなぁ……)
一人で帰宅するのも気が重いのだけれど、たった今告白された相手のいる練習場所まで戻る気にもなれない。
覚悟を決めて、スマホで目的の人物にメールを送り、家に帰宅する事にする。
私の幼馴染の一人、同じクラスの親友、白鳳院(はくほういん) 詩愛(しあ)に。
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親友1。後、別の学校に進学した2の女の子がいます。
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