第4話 リアの闇

 場所を移して、1階のリビングへ。

 俺は奥の窓側のソファに腰掛け、リアは右手の3人掛けのソファに座らせた。


「さて、色々話してもらうぞ。」


 リアは黙ってうなずいた。

 昨日から色んな事があった。追及されるのは覚悟していたのだろう。


「まずは昨日の事だな。あれは死のうとしていたな? なんのつもりだ。」


「……すみません。」


「そんな言葉で済ませるつもりはない。何故かと聞いている。」


「……どうして生きているのか分からなくなって、これからの事を考えたら……怖くて。」


 動機については、聞くまでも無い事ではあった。

 奴隷から解放された日に殺されかけて、再び奴隷にされて売り飛ばされる。そんな中にいれば死にたくもなるだろう。


「死ぬのはおまえの勝手だがな。俺との取引はどうするつもりだ?」


「それは……。」


「身勝手なやつだ、助けてやった恩を仇で返すとはな。

 ここでお前が死ねばどうなる、取引は当然ご破算。それどころか、お前の死体は誰が片づけると思っているのだ。そもそも、あのまま朝まで気づかなければ、翌朝まで表通りのバルコニーには、お前の首吊り死体が晒されることになる。当然、外からも丸見えになる。通報も入るだろうよ。俺はやってくる役人になんと申し開きをすればいいのだ?」


「……すみません。」


「これからはよく考えて死ね。……いや、俺との約束を果たすまでは死ぬことは許さない。」


 リアは目に涙をためて俯いた。

 俺に言わせれば、まだまだ言い足りない。


「泣くなよ、鬱陶しい。」

「すみ……ませ……ん……っ。」


 リアは必死に涙がこぼれるのをこらえた。

 溢れてくる涙をこらえるのは大変なようで、歯を食いしばっている。それでも、こぼれそうになるのを手で拭って、上を向いてとにかく泣かないようにしていた。その必死な様子を見ていたら、俺の怒りも少し薄れた。だから、この話はこれで終わりにして、次の話をする事にする。


「ふん、この話はもういい。忘れなければ、それでいいだけの事だ。」

「うっ、ひっく……はい。」


 聞く順番を間違えたかもしれない。

 次は回復魔法の事について聞こうと思ったのだが、リアの状態ではあまり話せそうにない。ただ昨日の事を真っ先に言わずに入られなかったのだからどうしようもないが。


 仕方がないので、お茶でも淹れて仕切り直すことにする。

 席を離れて奥の簡易調理場へ。ここは本格的な料理をする場所ではないが、ちょっとした料理やお茶を淹れたりする場所。


 炎魔法で鍋にお湯を沸かし、蓋の上にポットを置いて一緒に温める。

 湯が沸騰したら、気に入りの茶葉と湯をポットに注ぐ。そのまま3分ほど待ったら、茶葉を濾して完成。ポットと二つのカップを持って振り返ると、リアが興味深そうにこちらを見ていた。


 ソファのテーブルまで持っていって、目の前で注いでやる。ふわりと茶の良い香りが広がっていく、甘くさわやかな心地良さ。リアにも良さが分かるのか、目を細めて鼻をひくひくさせた。


「飲んでみろ。」

「あ、はい……ありがとうございます。」


 リアがティーカップに手を伸ばす。

 胸元まで持ち上げたティーカップに顔を近づけて、香りを嗅ぐ。

 そして一口。


「……美味しい。」


「そうか!」


「こんなにおいしいの…… 初めて飲みました。」


 リアの反応に俺はご満悦だ。これは東方の国から伝わった紅茶と言うもので、紅茶は数少ない俺の趣味の一つでもある。


 味も好きだが特に香りが素晴らしい。

 すきっと爽やかで、どこか甘い香りに包まれると心が安らぐ。それを口に含むと香りが鼻に抜けて至福の一時。


「良さが分かるのだな。やはり紅茶はそのように香りを楽しまないとな。」


「……」


 リアが驚いた顔で俺を見ていた。


「……なんだ?」


「あ、いえ、なんでも……。」


「歯切れが悪いな、さっさと言え!」


「あ、あの、その……アルテッサ様も笑われるのだなと……。」


 ――――!?

 顔がカーッと熱くなった。こいつは何を言っているんだ。

 俺が笑う? こいつに?? 本当に何を……。


 慌てる俺に、リアが微笑みを向けてきた。


 そんな楽しそうな目で俺を見るな!

 その立ち位置はおまえのものじゃない!


「うるさいっ! さっさと回復魔法について話せ!!」


「はいっ。すみません……。」


 俺は紅茶をグイっと飲み干して、気持ちを落ち着けた。

 リアも紅茶に口をつけ、ゆっくりとした口調で回復魔法の話を始めた。


「回復魔法は、両親から教わったものです。

 わたしたちはもとは西方都市イルトリスの自由市民で、両親は回復魔法を用いて医者として街の人々を治療していました。診療所では父と母がそれぞれ治療にあたって、私はそのお手伝いで。いつも診療所が終わってから、父と母に仕込まれていました。」


「なるほど、やはりお前の魔法は親から教えられたものだったか。」


「はい。父はとても厳しくて、きちんと習得するまでは魔法を他人に使う事を許してくれませんでした。 だから診療所でのわたしの仕事は、患者さんを呼び出したり、道具を片づけたりと雑用ばかりでしたけれど。 あ、でも、とても幸せな毎日でした。」


 リアが笑う。こんな風に笑うのは初めて見る。

 だがそんな事よりも、俺の中に生まれた2つの疑問が気になる。


 医者という確固たる地位があるのであれば、自由市民が奴隷になるとは考えにくい。

 更にリアは両親が病で倒れたと言ったが、回復魔法が使えるのならば病で倒れるというのはおかしい。低レベルの回復魔法であれば傷のみを治療する類の可能性もあるが、そのレベルでは医者として生活するのは難しいように思う。


「なぜ奴隷になった? それと、なぜ回復魔法が使えるのに病で倒れたのだ?」


「それは……。」


 リアは表情を曇らせた。辛い核心部分の話。


「話せ。」


「……はい。

 ある時、父のもとに往診の依頼が入りました。父は往診をやってはいなかったのですが、相手方がどうしてもと熱心に頼むので、父は仕方なく引き受けていました。その様子を見ていましたが、本当に熱心に見えて……それがまさか嘘だったなんて。」


 リアが唇を強く噛みしめる。

 なるほど、奴隷転落の話が見えてきた。


「わたしたちは家族で街はずれにある屋敷に行きました。

 本当なら父が一人で行くはずだったのですが、相手方の勧めがありまして。往診のお礼におもてなしをしたいので、家族で来て欲しいのだと。」


「それで攫われて奴隷になったわけか。」


「……はい。」


「回復魔法の使える亜人だ。さぞ高く売れた事であろうな。」


「……。」


「それで、カティスでは何をして、どういう病で倒れたのだ?」


「…………。」


「おい。」


「……はい。」


 さっさと答えないリアの姿勢が腹立たしい。

 奴隷の身でありながら、俺を待たせるというのがどうにも気に入らない。心情を察してやれば仕方が無い事と言えるが、なぜ察せねばならんのか。


「……わたしたちは奴隷としてカティスに連れてこられ、売られました。

 父と母には、確かに……たいそうな高値がついたのだと思います。奴隷商人が相手ともめているのを見ましたから。

 ですが当時のわたしは幼く、わたしには値段がつかなかったみたいです。それもまたもめる原因になっているようでした。指をさされてお荷物も一緒なのだから安くしろと叫んでいましたから……」


「バラバラにして売ればよかったのではないか? 全員一緒に売ろうとしては、足元を見られてしまうだろう。」


「それは、父と母の強硬な態度があったからです。わたしと一緒でないと、殺されても治療行為はしない。このまま家族をバラバラにするのなら、死んでやるとまで……。それで私は人質のような扱いになって、家族が離れる事はありませんでした。」


「ふむ、そもそもおまえは回復魔法が使えるではないか。価値が無いとは思わないが。」


「捕まった時に、絶対に父が魔法を使うな。使える事も言うなと。

 父の方針で診療所で魔法を誰かに使う事は禁止されていましたし、わたしが魔法を使える事を知っているのは両親だけだったから。」


「賢明な判断だな。回復魔法が使えることを知られれば厄介ごとが増える。

 知られていれば、おまえが自由市民になる事を奴隷主は許さなかっただろうな。ただ、それも昨日の有様を思えば、賢明な判断だったかどうか怪しいものではあるが。」


「……そう、ですね。」


「……話が脱線したな。病の事を聞かせろ。」


「わたしたちはカティスのアルタイル商会と言うところに買われて、

 父と母はカティスの西側にあるガインゴッツ炭鉱で働かされました。」


「アルタイル商会か。割と有名どころだな。」


 アルタイル商会はカティスの中堅どころ。

 最近、特に勢いのある新興勢力で、金属や貴金属を主に扱っている商会だったはず。冒険者ご用達の武具であるとか、貴族の為の宝飾品などと顧客層は広い。品質もそれなりに高く、アルタイル製の品だと言われれば、安物だとは誰も思わないだろう。


「ガインゴッツ炭鉱では魔鉄がとれるらしく。

 沢山の奴隷炭鉱夫たちが働かされて、大量の魔鉄が採掘されていたようです。ですが精製されていない魔鉄は、人体に悪い影響を与えるらしくて……。」


「なるほど、魔鉄の毒素にやられて倒れた者の治療。

 それをおまえの両親がやらされたわけだな。」


「そうです。わたしたちは、炭鉱の詰め所に住まわせられました。

 初めて訪れた時は……たくさんの奴隷の方々の遺体が…………地獄の様でした。生きている方もかなりひどい状態で…………。」


 相当に酷いありさまだったのであろう。

 胸元をぐっと抑えて俯くリアの顔色は相当に悪い。


「ですが。ですが、父と母が来てからは、とても良くなりました。

 確かに手遅れでどうしようもなかった方もいましたが、多くの方は快方に向かって。賑わう詰め所で、他の方々と仲良くなって優しくしていただいて、イルトリスの診療所にいた時みたいだなって……おもっていました……。」


 リアは一度言葉を区切った。


「突然、父と母が回復魔法を使えなくなりました。

 炭鉱に来てから5年目。今から約一ヶ月前の事です……。」


「魔法が使えなくなった……!?」


「……はい。何故か二人同時に……。

 その日から……最悪な毎日が始まりました。本当につらい日々が……。」


「そうだろうな。」


 回復魔法があるからこそ、重宝されていたのだ。お荷物であるリアの存在も許してもらえていた。その根幹である回復魔法がなくなったとあれば、特別扱いの理由は一切なくなる。


「わたしを人質に随分と脅されました……。

 父と母が魔法を使えないのではなく、使わないのだとアルタイルの人は疑っていて……。」


 リアは服の袖をめくった。


「昨日……わたしの身体、見ましたよね……。

 この腕の傷と背中についた大きな傷は……その時のもので。」


「……そうか。」


「最初に腕を剣で抉られました……。

 それでも父と母が回復魔法を使わないのを見ると、剣を炎であぶり私の背中に……。痛くて、熱くて……泣きました。わたしも、父も母も……。使わないんじゃなくて、本当に使えないのに……。」


 リアは涙ぐみ、声を震わせながら説明した。

 俺は言葉が出てこなかった、同情なんかするつもりはない。

 だけど、このリアの様子を見ていたら圧倒されてしまう。


「……それでようやく本当に使えないのだと信じたようで。

 父と母は、炭鉱夫として重労働をさせられるようになりました。奴隷の炭鉱夫は男ばかりで、女の人なんかいなかったのに、母も同じように働かせられて。同じように働けるはずなんてないのに、できないと鞭で打たれていたみたいで。詰め所に戻ってくると、いつも新しい傷が増えていました……。

 わたしが回復魔法でなおそうとすると……怖い顔で怒って、絶対に人前で使うなって。」


「……。」


「炭鉱夫の人たちの態度も変わりました……。

 治療が出来なくなったことで、以前のように詰め所は地獄絵図のようになって。

 雰囲気も悪くなって……。


 わたしはずっと詰め所に残されているんですが働けなくなった人たちが死ぬまで詰め所に寝かされてて、父と母の悪口を叫ぶんです。治療が出来なくなったせいで、父と母は感謝の対象から憎悪の対象になってしまったようで。


 そこに娘のわたしがいるので、何度も殴られたり、蹴られたりして……。

 父と母も、働ける人は炭鉱に出ていて、だから、止める人なんか当然いなくて。


 怖くて怖くて、言いつけを破って、その人に回復魔法を使いました。

 だけど、わたしの回復魔法では魔黒病は治せなくて……。

 そうしたらその人、もっと怒って……あの時、父と母が間に合わなければ、あの日に命を落としていたと思います。


 わたし、その人が魔黒病で死んだ時、喜びました…………。

 目の前で血を吐いて倒れていく様を見て安心してしまって……。

 最初のころは、とても良くしてもらっていたのに…………。」


 リアが笑う。今度の笑みは黒い。深淵から世界をあざ笑うかのような。


「あとはもうなし崩しです。父は魔黒病で倒れ、しばらくして母も倒れました。

 母は死ぬ間際にアルタイルの人と交渉して、わたしを自由市民にしてくれました。

 本当言うと……わたしも一緒に死にたかったんですけどね……。」


 重苦しい間が空いて、俺は耐えられず……。


「……そうか、それは辛かっ―――」


 リアの凍るような視線で、言葉が詰まる。

 笑っているのに、目だけは槍のように冷たく鋭く刺さる。そんな上っ面だけの安い同情は許さないと言う強い意志。小さな少女が纏う灼熱の炎が吹き荒れている。


 俺は何を言おうとしているんだ。

 それは辛かったななどと……。これは、これでは、俺の嫌うもの、そのものではないか。同情だとか、愛想笑いだとか、上辺だけの……安っぽい。


「コホンッ……、だからどうした! 同情など……」


 リアの瞳から鋭さが消え、闇だけが残った。

 俺も少し調子を取り戻して、気になった事を聞く。


「突然、回復魔法が使えなくなったと言ったな。

 その直近で何か変わったことはなかったのか?」


「変わった事……。」


「例えば、魔鉄に直接触れたりしたとか。重症の者を治療したとか。」


 リアがハッとした顔をする。思い当たる節があるようだ。


「……あります!

 その前日に巨大な魔鉄が見つかって、炭鉱夫が総出で運ぶのも大変みたいで、

 父と母も、その日だけは手伝ったことが……。」


「それだな。

 おまえの両親は、そいつの毒素にあてられて魔黒病を潜伏させたのだろう。

 潜伏状態ならば魔法は使えただろうが。運が悪かったのは二人が同時に発症した事で、治療が出来なくなってしまった事だ。回復魔法は病や怪我などで、己の気が不健全になると難易度が跳ね上がるからな。どちらか一方だけであれば、こんな事にはならなかったのだろうがな。」


「…………うっ、うぅ。」


 リアが泣きだした。

 原因が分かったところで、何が変わるわけでもない。

 それこそ泣いたところで後の祭り、無駄な事だ。

 だが不思議とリアが泣くのを鬱陶しいと思う事は無かった。


 俺はここまでの情報を整理することにした。

 リアはもともとイルトリスの自由市民で医者の家系。

 往診の罠にかけられて、拉致されてカティスで奴隷として売られた。


 買いとったのはアルタイル商会。

 その後、ガインゴッツ炭鉱で魔黒病の治療をさせられる。

 巨大な魔石に触れた事で両親が同時に魔黒病にかかり、回復魔法が使えず死亡。

 死ぬ前に母親がアルタイル商会に頼んで、リアを奴隷から解放した。


 そんなところだが……、ふと気になる事ができた。

 魔黒病は直接魔石に触れなくても発症する。

 例えば、魔石の毒素が濃い場所に長くいれば発症するのだ。


 リアは炭鉱の詰め所にいたという。

 しかも、周囲には重篤な患者が多数で、接触もあったという。

 そんな状況にいれば――――。


「リア、ちょっとこっちに―――?」


 リアが身体をビクッと震わせて、赤くなった目でこちらを見る。

 なぜ、そんな驚いたような表情で俺を見るのか。


「なんだ?」


「あ、あの……名前を……」


 名前……?

 意識したつもりもない。考えてもみなかった。

 そもそも名前とは相手を呼ぶためのもの。識別するためのもので、そこに意味など……。


 それが何故、そのように嬉しそうな目をするのか。

 リアの反応が俺を狂わせる、不思議な感覚が俺の中に走る。慣れない感覚が不快だ。


「それがどうした。ただの呼び名だ。そこに意味など何もないだろうが。」


「……分かっています。

 分かっていますが、クソガキとか、役立たずとか、そんな風に呼ばれていて

 名前を呼ばれたのが久しぶりでしたので、慣れなくて驚いてしまって……すみません。」


「……いいから、こっちに来い。確かめたいことがある。」


「……はい?」


 リアが立ち上がり、数歩進んで俺の前までくる。

 俺はリアの手をとって、リアの気の巡りに意識を集中させる。

 自分の気を軽く流し込んで、循環してきた自分の気が淀んでいないか確かめる。


「あの、これはっ……あっ!」


 リアも俺が何をしているのか気が付いたようだ。

 回復魔法を習得しているだけあって察しが良い。


 流し込んだ気がリアの中で循環する。

 淀みなく流れているようでいて、小さなブレがある。

 注意していなければ見逃してしまいそうな程、先日治療した時には気づかなかった小さな小さな淀み。

 それは巨大な川の一角にある岩のように、少しだけ流れをゆがめる。


 その淀みに意識を集中し、どんどんと潜っていく。

 すると黒いもやのようなものに行き当たる。

 そこから漏れだしているのは、濃度こそ薄いが間違いなく黒い魔力。

 魔鉄の毒素である。


「おまえ、魔黒病にかかっているな。」


「……!?」


 リアの瞳に衝撃が走ったのが分かる。

 全ての始まりの病であり、自分たちを不幸のどん底に叩き落した病であり、親を殺した病である。

 そして、リアを世界で一人ぼっちの孤独に陥れた病。


 動揺で揺れた瞳が、次第に黒く冷たい瞳に変わっていく。

 目が据わるというのは、こういうことを言うのだろう。

 リアの覚悟か、願いか、諦めか、そんな感情が見て取れる。

 親と同じ病にかかって死ぬことができる……と。


 ……だがな。


「治すぞ。」

「いやっ!!」


 さっきは気圧されたが、今回は思い通りにはさせん。俺はリアの目を真正面から見据えて回復魔法を発動させた。気づいたリアが手を振りほどこうとするが、許すものか。


「俺との取引が先だ。死ぬことは許さん。」


 治療は一瞬で終わり、

 リアはその場に力なくへたりこんだ。



 気がつけばすっかり暗くなったのを見て、今日は寝ることにした。

 俺はリアを自分の寝室に連れて行き、大きめのソファで寝るように指示をする。


 自害はさせない、逃げることも許さない。

 俺は冒険者だ。人の足音がすれば寝ていても目がさめる。


 リアはソファの上で夜更けまで泣き続け、最後は泣き疲れて眠った。

 俺はその様子を、ベッドで本を読みながら眺めていた。

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