第3話
事件の翌日、いつも通りの時間に目が覚めたものの、学校が休みなので昼までベッドで寝ていようと思い、二度寝を始めることにした。
それを遮ったのは一本の電話だった。
「おいっす宮沢~起きてる?」
「……さっき起きた。そして二度寝しようとしているところだった」
「あー、そりゃごめん。メッセでいいかなーと思ったんだけど、そしたら無視するか寝てて気が付かないかなーと思って」
全くその通りであった。
「で、何用? 遊びになら行かないぞ。オンゲの誘いなら夜だったら一応夜に時間取れるけど」
「あーそろそろあの装備揃えたいしちょうど手伝ってもらいてぇわー。ってのは置いといて、違う用事だよ。昨日のあの事件さ、お前現場にの近くいたってマジ?」
「まぁ……」
「マジで!? クラスのやつからさあの袋がお前の前に落ちてきてやまっちとはなしてたの見たって聞いてさ」
やまっち……。数学担当でノリが軽く教師人の中でも比較的若い山田先生は、生徒との距離も近くあだ名で呼ばれている。もちろんほかの教師の前では辞めろよとは一応注意しているが。
「で、お前は中身見たの? というか落ちてきたんだろ? 上に人影とかいたか?」
「振り返った時ちらっとな。俺が上を見た時は窓は全部閉まってた。登校したのはいつも通りの時間だけど、あの時間ならそれなりに廊下歩いてるやつもいたし、あれを落とした犯人が廊下にいたら誰かしら見てたんじゃないか?」
「マジで見てたんか……。他の学年に聞いたけど、あの時間廊下から何か投げるようなやつはいなかったみたいだぞ。というかあんな黒い袋持ってるやついたら目立ちすぎるからあの時間に廊下から落とすのは無理だろ。それにお前の話だと窓閉まってたっていうし。さっと落として閉めた可能性はあるけど、目撃者も居ないしやっぱ窓からじゃないと思う。という事は」
「「屋上」か」
「その通り。でさ、もし暇だったら俺たちで犯人探さないか?」
「二人でって事か?」
「いや、いま犯人を捜すグループ作ってあってさ。お前も加わらないかなって。ほら、実質第一発見者みたいなもんじゃん?」
ああ、要は探偵ごっこに付き合えという事か……。
「ちなみに俺の予想だと、体育の小野田。あの二人の服とか態度とかやたら嫌って注意とか言い争いしてるのよく目撃されてた。それにさ、あいつの担当してるバスケ部のエースの川瀬の彼女がさ、福江にいじめられて不登校になっちゃって、それで川瀬が責任感じてバスケ部辞めちゃったじゃん。アイツいたら全国行けたかもしれないのに。それで行き過ぎた正義感がこうぐわーっと」
教師がわざわざそんなことで殺人なんか起こすわけがないだろう。リスクが高すぎる。と思ったが面倒なので黙っておいた。
他にもいじめられてたやつの逆襲やらいじめで死んだ霊の逆襲やら様々なうわさがあるらしい。
死んだ人間をネタに楽しむのはあまり趣味がいいとも思えない。
「悪いけど、そんなに興味ない。別に誰が犯人でもいいし……」
「そっか……。おっけー。あ、あと今日の夜は9時から集まろうぜ。素材集めの周回手伝ってくれ」
それだけ告げると電話は切れた。
その後興味が出たらと犯人予想というグループが送られてきた。人数から見て校内の1/3は入っているようだった。
二度寝を邪魔され、もうすっかり寝る気分ではなくなってしまった。少し予定より早いが、あの人に連絡した。
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